青硝子のペアリング
秘密にしてね、わたしの右手のくすりゆびをみて、宛ら
芸術神アポロンの太陽を 夢に引架けるようにして
かの恋人と対となる 愛と信頼の双を結ぶ、
青硝子の対指環をしているの、あなたにだけ、教えるわ。
右手のくすりゆびは 太陽神アポロンを司るらしい、
くわえてわたしの芸術を墜落めるの、ええ、所詮占い。
わたしはわたしの「我」を出血させる。「わたし」を売淫らない?
いいえ いいえ、幼子の石渡す笑みに似せ、売淫るわ、躰吊るわ。
恋人がいらっしゃるかって? あなたはそれを訊くのね、ええ、
いるわ いるわ! わたし、かれをずっと俟っているの、
お空にいらっしゃるわ、不在というものよ、不在というすべてよ、
つまりはわたしの淋しさよ、わたしは孤独と約束したの、とわに
恋人でいようって。不在がわが右薬指を埋める。守護れるわ。幾たびも、
契りを千切ろうと彷徨うたび、青硝子 両で想いた淋しいお歌を零すから。
青硝子のペアリング