魂鎮めの巫女は祓わない

根の国にて

営々と築いた国を奪われ(とこしへ)に隠れて王となり幾千霜

口惜しい口惜しい

死者の礼をもって封じ込めるとは!思うまま謝罪されたとて許せる理由は皆無なり!

口惜しい口惜しい

許さぬぞ許さぬぞ!必ずや中つ国を取り戻し忌々しき血筋を根絶してくれる!

口惜しい口惜しい

宿願を果たすまで羅刹にも夜叉にもなろうぞ!刺し違えたとて後悔はせぬ!

口惜しい口惜しい

決して忘れぬぞ!彼奴が我にしたことを!

口惜しい口惜しい

我が息子達を自害に追い込みかの地に閉じ込めたこと忘れぬぞ!

我は願う。かの血筋を滅ぼすことを

我は願う。中つ国の平定を

我は願う。根の国から出ることを


きっと誰にも止められない
きっと誰にも分からない
この胸を焦がすような無念は。この悔しさは。

魂鎮めの巫女は祓わない

魂鎮めの巫女は祓わない

「殺されるか監禁されるか、どちらが好みだ?」修学旅行先の出雲大社で少年にそう囁かれた後、幽子(ゆうこ)の信じていた日常は終わりを告げた。 何かの冗談だと思い、あの言葉をすっかり忘れて登校した幽子を待ち受けていたのは転校生として現れたあの少年だった。武瑠(たける)と名乗った彼は幽子に契約書を渡す。そこには幽子と彼の両親が結んだ契約であること、そして幽子が15歳になったら彼の両親に幽子を預ける旨の文言が連なっていた。 武瑠の正体は影で帝に仕え、仇なす存在から帝を守る家の末弟だった。そのため帝に敵対する存在に近い幽子を監視するために転校してきたと告げられる。 幽子は彼の家に迎え入れられ、毎日封印を施され、霊力制御を彼の協力の下行い、自らの内にある怨霊を封じ込めにかかるが、彼女を疎ましく思う一派が現れて……? 日本神話ファンタジー、ここに開演!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • ミステリー
  • 青年向け
更新日
登録日
2023-04-05

CC BY-NC-ND
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