ルル、ときどき、きらい

 ルル。罪にまみれた世界で踊る。少女たちの群れ。機械のからだで、みんな、やさしい生命を表現している。闇を葬るほどの、スポットライトの雨に打たれて、街頭テレビに映される、しらないだれかの、にんげんの、ひとりひとつの、生。(まぶしい)
 わたしたちを、どう思っているのだろうか。
 あのひとは。
 無論、わたしと、ルルのことだが。わたしがねむっているあいだに、ルルが、あのひとになにか、よからぬことをしていないか、気になっているのだけれど、ねむけにはあらがえず。ルルがねむっているあいだは、あのひとは、わたしだけのもので、あのひとが読書をしているかたわらで、静かにそっとしている時間が、わたしには至福の時である。真夜中、ずっと、わたしとルルは、わたしと、ルルであってほしいのに、ときどき、神さまのきまぐれみたいに、わたしたちのままであることがあるから、そういうときはあのひとと一緒にいられるうれしさと、でも、ルルとはんぶんこみたいな、つまりはひとりじめできない悔しさとが混同して、メンタルやばいにきまっている。きっと。
 ルル。ときどき、あなたが、宇宙の果てまで飛んで行ってほしいと思う。
 ごめん。
 街頭テレビからながれる、だれかの生の主張。
 洗脳みたいで、こわいよ。

ルル、ときどき、きらい

ルル、ときどき、きらい

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-04-01

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