花の誘いに／新作短歌

「花見に行った？もう満開やでえ。」散歩帰りの友がいった。

　
　しばらくは天気続きに花見ごろ
　　　けれども財布の中はまだ冬

　声だけで　かすんで見えぬ上げひばり
　　　わが社も同じ　春遠の空

　肉質を落として焼けば正直な
　　　孫に気づかれ　俄かトイレに

　計画の立てる間もなく2・3人
　　　入院検査で花見どころか

　高齢に体調崩せし友の庭
　　　紅の枝垂れの花も少なく

　町会の役の周りを決めかねて
　　　今年も我が身に引き受けし春

　幼子の一人歩きを連れ戻し
　　　母に諭せば　草むしりの間にと

　木蓮の下には　花もも源平も　　
　　　今や盛りの友の庭先　

　近隣の人　皆家族と思いつも
　　　妻の実家に住まうこの身は

　杉が過ぎて　桧と続く花粉の飛散
　　　くしゃみ止まらず妻にも嫌われ

　ATM　待ち並ぶ人に声かけて
　　　聴けば同じく暮らしづらいと

　いかに覚さん　愛別離苦の苦しみを
　　　今も抱く友　目の前にして　

　春うらら　花満開のこの宵も
　　　家でおぼろの　夢の花見か

　
☆　今夜は少し川柳めいたものになったかも
　　この前、二段階右折違反とかで切符を
　　切られたせいかな。（いずみ）