「光」

 僕の手は
 えたいの知れない棘のような触手を出すから
 近寄らないでと
 近づかないでと
 僕はくちびるを弄び傷つけながら
 眼をつぶっていた
 朝の光は爽やかで?
 昼の光は眩しくて?
 夕の光はヤサシイ…?
 わからない
 僕には誰もかれも等しく嫌な光で
 その光はレーザーポイント並に突き刺して来る
 一直線の 恐ろしき
 綱渡りが出来ないものは殺される
 光を直視出来ないものも殺される
 眼を剝いたまま死したる肉体の
 震える身体の
 川なす涙の内には
 万華鏡の光みなぎりたるぞ
 ちら ちら ちらり
 同じ顔に許されぬ光が
 ちっ ちい ちりり
 角の無い宇宙空間では生きていられる
 する する するる
 集え異端の光よ
 おまえ達はプリズムよりもうつくしい虹を自然に放てられる
 虹は誰にも捉えられず
 霞まぼろし夢はまったく野に放たれて
 重い体ばかりに更に重き置く奇っ怪な手にどうして掴まることがある?
 虹は幻想の鱗の姿
 汚れも鱗に触れれば
 雪に玉なす光の欠片となれる
 何が汚れか
 何が異端か
 地面と虹に明確な境界線はあるのか

「光」

「光」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-03-29

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