寂しさというやつは
寂しさというやつは
私をとらえて
離さなかった
コーヒーを淹れてみても
花を植えてみても
レンジを磨いてみても
去らなかった
人の中に入ってみても
ヤマアラシのジレンマにまみれてみても
一人でいても
二人でいても
家族といても
去らなかった
ボールになって
飛んでゆきたい
ぽんぽんと
弾んでゆきたい
軽い
へなへなの
やわなボールになって
どこまでも
転がってゆきたい
すべてから
離れて
そうして
内側から蹴られて
破損して
何かを産み出す
産み出されたものと
私は漂う
ただそれだけを見て
産み出て来たものだけを見て
忘れるんだ
寂しさを
寂しさというやつは