おやすみサンデー
ゆるされるなら、どうか。
魚たちの夢を共有する、夜の、ダクトから吐き出される生ぬるい息が街に沈殿する頃に、一瞬、きのうまでのじぶんを見失う。かたわらで、体温をもたないからだのエヌが、わたしを冷却するみたいに寄り添い、だいじょうぶだよ、と呪文のようにくりかえす。テレビのなかにも、インターネットのなかにも、だれかを狂わせる情報がいりまじり、嘘が、真実を上塗りしたとき、世界は一ミリずつ歪み、生命体の神経思考回路を犯して。
「あなたは、あなただ」と、エヌ。
わたしは生まれてから一度も縁のない、街のかたすみにある教会のことを思い出しながら、目を閉じる。
おやすみサンデー