「愛を知りてゆくひとの」
愛していました―一切を
誰のこともきらえなかった
誰のことも無関心になど出来なかった
どうしようもなく―
愛していました
愛してしまっていた
愛することしか出来なかった
私は誰もきらいになれなかった
いかりかなしみにくしみけんおなげきさみしさうれしさいぢらしさあたたかさつめたさぬくもりなみだ
私の心は誰かを拒みはしても
誰かを崖から突き落す事はしなかった
私は愛していた
ただ 愛していました
私の心は誰かをきらうのにはあまりに脆すぎたのです
私は愛したままゆきます
一切を愛したまま
愛に抱かれてくるまれてなでられて
ああ…なんと空に雲の無いことよ
「愛を知りてゆくひとの」