Poem 醒めない夢
誰も知らなかった世界。
poem
会社からの帰り道。
そよそよと吹いて来た風に記憶があるような事がある。
長い間にはいろいろな事があるが、仕事で外出する事が多かった。
そんな折なのだが、何処かに立ち寄った時に風や大気に五感が反応する事があった。
其れは匂いであったり温度であったり、或いは子供の頃に同じ環境に包まれた事があるなど。
そっくりであると思いながら過去の光景を思い出している。
はっきりとは思い出せないまでも・・確かにあの頃、仕事が終り一息ついた時など・・悪い記憶では無かった。
其れが再び繰り返され・・既に、記憶を辿っている。
辿り着いた光景には、亡くなった家族の面影が感じられたり、一人きりだったりと。
其れでも、直前の光景とは全く異なる世界に入り込んでいる事は間違いが無い。
其のうち一つの世界の事を思い出した時には、様々な感傷等に浸りながら夢を見る。
様々とは謂っても、良い気持ちなのだから夢は楽しいに決まっている。
桜では派手過ぎる。藤の花が似合いそうで、何とも言えない良い匂いを放っている。
以前は、其の世界に暫くいて、元の光景に戻る事が多かった。ところが、目に映っている花は・・今度は首を傾げ乍ら尋ね出した。
「・・どう?此れなら・・?」
夢の旅人は・・頷くと。
「・・そうだね・・その先を曲がれば公園があるんだよね?」
足は公園のブランコの前で止まった。
宙に大きく弧を描きながら・・背景の空の青い色に染み入るように・・。
暫く此処に居よう・・そう思った時・・身体は小さくなっていた・・。
ふと、隣のブランコを見る。
「・・やあ・・久し振り?」
そう話し掛け・・思い切り笑顔を作っているのは・・ああ・・待っていてくれたんだ・・。
「・・随分・・掛かったんだね?」
其れがどういう意味なのか・・すぐに分かった。
二つのブランコは・・誰も乗せずに・・振り子のように揺れているが・・。
どうやら・・今度は・・この夢から覚める事は無さそうだ・・。
「by europe123 ORGBIT」
https://youtu.be/TibQnxeGdPc
Poem 醒めない夢
時が流れていく。