一方通行

[400字小説/14]

どうしようもないことがあった時ほど、わたしは笑うようにしている。でもこれって特別なことじゃなく、誰もがみんな、そうしていることで。
「えー、良かったじゃん」
だから、好きなひとに好きな人ができるたび、わたしは笑った。もちろん心からの笑顔ではなかったけれど、その時、その瞬間にでき得る限りの笑顔を見せた。

人が人を好きになるのは、とても当たり前のことで。わたしも人を好きになる。ただ、好きになったひとが、わたしを好きになってくれたことは、今まで一度もなくて。

世間では別れの季節だけれど、有り難いことに、わたしたちが別れることはない。というのもわたしが彼女の親友だからで、この関係を壊さない限り、わたしは彼女と一緒にいられるのだろう。だから、
「え。恋人と別れた?」
彼女が恋人と別れるたび、親友の仮面をかぶって彼女を励ましながら、実は胸が高鳴っていることも、彼女への想いと一緒に胸にしまった。

一方通行

こちらは毎日19時にお題が出題される書く習慣アプリのお題『胸が高鳴る』で描き下ろした散文を400字にまとめたもので、上限400字のショートショート投稿サイト『ショートショートガーデン』へも投稿しています。

一方通行

この胸の高鳴りはきっと気のせいだ

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-03-20

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