肉の花

 お前は肉だ、
 犬死した詩人よ お前はただ肉だ、
 肉でしかないものだ、犬死した詩人よ、
 お前は肉だ、肉の他なんでもない欠片の一つ一つがお前の全部だ、

 そいつは地の深みで散った、ズタと頭が血と曳かれ、
 四肢 バラバラに砕け迸り 解体した言葉の如く砕け、
 そいつは深みのふかみで毀れた、お前は肉片だ、肉片がすべてだ、
 犬死詩人よ、お前はいま手足もげ腐った蛸のように死んでいる。

 お前は肉だ、肉片だ、死んだ物質だ、
 そうではあるが 君よ、お前の肉は一領域光と投槍に抛ったように、
 お前が何よりも憎み穢し愛し信じ壊し抱いた 青空に──

 お前を幾たびも突き放した 硬質冷然な神殿・青空に──
 其処にべったりと翳が張るように咲いてる お前の肉が。花が。
 肉の花 肉の花… 花に供物と抛られた腐れ肉、そいつ肉の花だお前だ。

肉の花

肉の花

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 青年向け
更新日
登録日
2023-03-20

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