墜落の自意識

 淋しさの粘り垂れる白濁の液はわたしであり、
 幾星霜を反映する穿たれた精巣は墜落の極致、
 わたし淋しき粘着質な不気味な暗い躰横臥し、
 不在という翳を抱く孤独に縋りつく色は清み、

 わたしのわたしはその白濁の液の透明化現象、
 冷然と眺め遣り鼻で嗤い突き放し虐めるよう、
 ぬるりと熱い淋しさ散り玻璃彫刻に張り滔々、
 果て乾き灰の如く疎外は蝙蝠の傘と付着記号。

 わたしよわたしの審美の鏡を確認の為眺めよ、
 ボオドレールは云う「常に鏡の前で生活せよ」
 鏡の向う疎外に噎び壁に擦りつける我に反吐、
 孤独を抱けされば犬死を期し合理より出でよ、

 淋しさとろと粘り垂つ白濁の墜落はわが宿命、
 火を撃つ如く暗みを矢を放て終末へそれ黎明、
 水音立て堕ちよ摺り堕ちよ昇れ斃れるは泥濘、
 乾き色喪失し地上に磔と張る翳よ我が詩の芸、

  *

 犬死よ、犬死よ、
 犬死と黒き染みを張るわが躰を嗤い蹴っ飛ばすわたし。

墜落の自意識

墜落の自意識

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-03-19

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