墜落の自意識
青津亮
淋しさの粘り垂れる白濁の液はわたしであり、
幾星霜を反映する穿たれた精巣は墜落の極致、
わたし淋しき粘着質な不気味な暗い躰横臥し、
不在という翳を抱く孤独に縋りつく色は清み、
わたしのわたしはその白濁の液の透明化現象、
冷然と眺め遣り鼻で嗤い突き放し虐めるよう、
ぬるりと熱い淋しさ散り玻璃彫刻に張り滔々、
果て乾き灰の如く疎外は蝙蝠の傘と付着記号。
わたしよわたしの審美の鏡を確認の為眺めよ、
ボオドレールは云う「常に鏡の前で生活せよ」
鏡の向う疎外に噎び壁に擦りつける我に反吐、
孤独を抱けされば犬死を期し合理より出でよ、
淋しさとろと粘り垂つ白濁の墜落はわが宿命、
火を撃つ如く暗みを矢を放て終末へそれ黎明、
水音立て堕ちよ摺り堕ちよ昇れ斃れるは泥濘、
乾き色喪失し地上に磔と張る翳よ我が詩の芸、
*
犬死よ、犬死よ、
犬死と黒き染みを張るわが躰を嗤い蹴っ飛ばすわたし。
墜落の自意識