夢、うつつ。
君の面影、わたしの追憶。
後に残るのはむなしさと、ぬぐえぬ涙。
雨はいつか止むはずなのに、わたしの心は晴れぬまま。
傘が要らなくなる日は訪れるのだろうか。
わたしが愛したもの。
夢をみた。何度も何度も繰り返し、君が出てくる夢を。
夢の中は再現自在で、君はいつもわたしにぬくもりをくれる。
愛情を、おぼれてしまうほどの、やさしさをくれる。
夢だからこそ、できること。
けれど、欲張りなわたしには愛情だけでは足りずに、
「もっと」求めてしまう。
それは現実世界のわたしも同じことで、夢から覚めればいつも君を欲してる。
送信ボタンを一つ押せば、きっと君に届くことはわかっているのに
届かない「言葉」を見たくなくて、唇を噛みしめては今日を抱きしめて動き出す。
そんな、毎日。
それでも、夢の中は幸せでいっぱいだった。
許されない感情も、届かない言葉も、縮まらない距離も
阻まれるものは何一つとしてなくて、ただ、純粋に傍に居られるから。
ただ、君の傍にいる。それだけで、幸せなはずなのに、
悲しくなるのは、つらくなるのは、きっと。
夢の中でさえも、君はわたしの「欲しい」言葉をくれないから。
わたしの声は君に届かない。
君の声も、わたしには届かない。
幸せだと思っているその瞬間はただの見せかけで、
本当は夢の中でも「現実」はそこにいる。
それでもいい。見せかけだったとしても、
騙されている間は傍にいられるなら、それでも、いい。
そう思っているはずなのに、受け止められないのは
夢の中にも今も、わたしの「愛した」君はどこにもいなくて、
そこにあるのは空虚だけだから。
なんて、哀れな空なのだろう。
夢、うつつ。