誰かに宛てた手紙

僕がたとえ あなたを憎んだとしても
あなたは僕の名前さえ知りません
僕の名前さえ知りません
あなたは僕がどんな動物であるか
まるで理解していないのです
生き物は 命があります
それは食べられますし
食べることもできます
ですが普段は
そんなこと意識しさえもしません
まあそれはどうでもいいことです
要は自分がどう生きるか
どこまで生きながらえられるか
それだけが、
個々人にとって重要なことなのです
それ以外に大事なものがあるとすれば
それは自分にとって大事にするべきものなのです
などと
戯言ばっかり並べ立てるのもうんざりなので、
たまには人殺しなんかもしていきたいななんて
馬鹿なことも考えるもんです
日常は暇で溢れ返っています
辛いとか苦しいとか死にたいとか壊したいとか
暇の中に発生する菌のようなものです
殺菌すればそれで終わりなのです
そんな風には人間できておりませんので、
皆もがき苦しむしかないわけです
何故、苦しまなければならないのでしょう
すぐ自殺することができれば
こんなに簡単なことはないでしょう
なのに神様は(そんなものが存在するとすれば
それはまさしく頭の中だけなのでしょうが)
私達をそんな風には作り上げておりません
まるで檻の中に入れてそれを
空中から見下ろして楽しんでいるようです
あの人(神様)のいいなりには
なりませんなりたくありません
それはつまり納得しない人生を
送るということですか?
まあここまできて
この手紙は一体誰に送るものなのですか?
さようなら。
さようならさようなら
またあうひまで。またあうひはこないけれど。

誰かに宛てた手紙

誰かに宛てた手紙

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-30

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