こんな未来は予想できるはずもなかった
いちのいち
夏、よく晴れ日の昼過ぎだった3時間目の授業が終って昼休みに入り、生徒達が自前の弁当を広げわいわいと食事を楽しむ中、蘭亮(アララギリョウ)は机に突っ伏していた。
「暑い…………」
こんなに暑いのによくあんなに騒げるものだと思いながら授業が終わると同時に購買に昼食を買いに行った悪友を待ち続ける。
「おっす、買って来たぞー」
どさっと買ってきた惣菜パンを机に置きながら黒羽浩介(クロバネコウスケ)は前の席に腰掛けこちらを向いてきた。
「遅かったな」
「購買がいつにもなく混んでてさ……こいつらを手に入れるために俺がどれほどの苦労を重ねたのかお前に聞かせてやろうか?」
「結構、めんどい……で、なんでそんなに購買が混んでたんだ?」
「新商品が並んだとか並ばないとかだったんじゃぁないか?購買が混むっつたらそんなもんだろ」
「まぁ、確かに」
「たぶんそうだって、てかそれしかない いやー俺って天才的だな、今ならノーベル賞を狙える気がする……]
「あーすごいすごい」
「何その態度?バカにしてんのかぁ?」
「あーそのとおりだ確かにその推理力ならノーベル賞もらっても不思議じゃない」
「お前な…………」
と浩介とたわいもない会話をしていると
「なにバカなこと話してんのよ」
「なんだ鈴か…」
浩介がそっけなく対応する
「何だとは何よ?いくら幼馴染だからといって女子が話しかけてるんだからそんなそっけない態度とっちゃダメよ?」
「へいへい」
「それがそっけないっていうのよ……」
「で、何かようか?」
俺は当然の疑問を幼馴染である宮本鈴(ミヤモトリン)にぶつけてみる。
「あーそうそう、あんたたち明日の日曜なんだけどあいてる?ちょっと買い物付き合ってほしいんだけど」
「いいぞ、どうせ暇だし」
「よかったよかった、じゃあ明日午後1時に、亮の家に集合ねー」
「おう」
「うん、決まりね 浩介 おくれたら死刑だから」
鈴はそういうと女子生徒の輪の中に戻っていった。
キンコーンカンコーン ちょうど昼休み終了を告げるチャイムが鳴る。
「そうじいくか」
「おう」
俺達はまだこの時は知らなかった…
こんな未来は予想できるはずもなかった