髄液を抜かれながら

「死ぬべくして死ぬ人がいるのよ。彼が何かを感じるにはあまりにも遅すぎた」ひとりでに彼女がそう言った。
「どういうこと?」遠くを見つめる彼女に僕がそう尋ねた。
「生き抜くために捨てたものがあるの。拾いに戻れるタイミングもあったんだけど、彼は戻らなかった。あるいは戻れなかったのかもしれない」
「彼はそのことを悔やんでいるの?」
「ええ、きっと」

髄液を抜かれながら

髄液を抜かれながら

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-03-07

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