春来たれど/新作短歌
日増しに暖かくなり、花の季節ももうすぐそこに、でも心の春は・・・。
覗かれて 母に抱かれし幼子は
白きマスクの顔に泣きだし
バレンタイン 思わぬ少女の片手には
大好き文字のチョコ あな嬉し
奪われし 愛する者に泣く人々よ
世の常とはいえ ともにただ泣く
わが友の 歳と病にまた一人
あれまた一人と消えゆく寂しさ
世の春よ 人の心をさしおいて
なぜに花咲く 無情のこの機に
汚れなき澄んだ瞳に映る世は
愛と平和に満ちたものこそ
恐るべき自然の驚異を目の前に
されど生きねばならぬ生き物
人は皆 地球人と呼び合おう
違いを超えて 争いをやめて
沈みゆく船の上で争う愚かさ
未来を見つめて共に歩む賢さ
春来たれど/新作短歌