自殺

深いところにもぐる頃

 多分、入水自殺したら

 ああ、死ぬんじゃなかった

 そう思いながら
 必死に生きようともがき苦しんで
 最後の最後まで無駄に足搔きながら
 絶望して
 後悔して

 段々とゆっくりと

 息が出来なくなって
 苦しみを越えたら
 頭がぼぉーとしてきて
 鼻の奥がツーンとなって
 耳の奥まで水が入りこんで

 海水と一体化してゆく中
 自分がまだ海の光が届くまだまだ浅い深さにいるのにも関わらず
 深い深い底にいる錯覚を得ながら
 朧げな記憶の中

 脳みそまで海水が侵食する感覚と一緒に口が痺れて感じなくなって
 腕も足も筋肉が痺れて不気味な痛みだけが体を支配して
 視覚すらも多分朧気になるんだろう
 味覚すらももう塩っけに浸されて

 水と同化してゆく中で
 ゆっくり
 じっくりともう戻れないという現実に絶望しながら心の中で呟きながら沈んでゆくのだ

 ああ、死ぬんじゃなかったと

自殺

自殺

車に轢かれるのも痛いだろうなあ……

  • 自由詩
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-03-04

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