蛙の歌

いまから2000年も前のこと

その島には4人の家族と、3人の仮面をかぶったおかしな人間が住んでいた。

少年は蛙になり、頭にフックのついたオウムと、力持ちのオットンガエル、物知りなウサギなどと一緒に人間に戻る旅に出る。


いまから2000年も前のこと
ある島のある家族とある動物たちの静かな物語


ある日・・・・

夕暮れ時。
お母さんが僕を殺し。
お父さんが僕を食べた。
妹のマリが僕の骨を集めて木箱にしまった。

木箱は海に流され向かいの島に着いた。

その島には3人の人間が住んでいて、赤、黒、白の仮面をそれぞれかぶっていた。

赤い奴が石けりをして、白い奴が釣りをして、黒い奴が泥んこ遊びをしていた。
そのうち赤い奴が、僕の木箱を見つけて、釣りをしていた白い奴に見せた。
白い奴は驚いた面持ちで僕のろうそくに灯をともし、僕は蛙に姿を変えた。
黒い奴はそれに便乗してかしないか、泥で1匹の蛙を作って何かを呟いた。

赤い奴が木箱を海に再び流し、本の島に着いた頃には、夜はすっかり老けていた。

僕は疲れたから少し眠りについたとさ。

さて、さっきまで浜辺で寝ていた蛙くんでした。
が、すでに日は老け、辺りは真っ暗になっていました。

ああ、そう、この話を見ている読者諸君にいっておくがこの話はただの蛙の日常を描いた話ではない。
人間であった蛙の物語だ。それがどうしただって? ・・・大した意味はあるけどないよ。

この蛙くん、実は義理の母親に殺されそのあと見ず知らずの親父さんに食われた後、その骨を妹に集められてって・・・
本当に陰気な話だよね。。。


まぁそんな事はどうでもいい。


そんなこんなをしていると蛙くん、小鳥が食べたくなったのか石を持って空をかっことして飛ぶ1羽の鳥に投げました。
するとね、その石、蛙くんの意思とは裏腹に、自身の頭に当たったんだ。
そしたらね、蛙くんは何を思ったか歌い始めたんだ。

「けろっけろっけろ
 お母さんが僕を殺し
 お父さんが僕を食べた
 妹のマリちゃんが僕の肉を拾って集めて木箱に入れた
 ぐわっぐわっぐわ
 なんてきれいな蛙なんだ僕は」

するとその鳥、あろうことか蛙くんの前に降りてきて

「なんてひどい歌なんだ、もっと俺に聞かせてくれよ。」

すると蛙くん
「酷い歌なのになんで聴きたいんだい?」

「酷い臭いの方がより嗅ぎたくなるだろ、あれと一緒さ」

鳥にそんなとこあるのかと蛙くん、次はこんなことをオウム君に言った
「ただじゃ歌いたくない、恥ずかしいもんね。」

「・・・しゃァねえなわかったよ、これやるから酷い歌とっとと聞かせろ。」

オウムは首に巻いていた紅水晶の勾玉を蛙にやった。
「こんなにいいもんをくれるのかい!!
 歌う、歌うよ、僕歌う!!」

すると蛙くん
「けろっけろっけろ
 お母さんが僕を殺し
 お父さんが僕を食べた
 妹のマリちゃんが僕の肉を拾って集めて木箱に入れた
 ぐわっぐわっぐわ
 なんてきれいな蛙なんだ僕は」

「ああ酷い、まったく酷い、悪いけど俺はこれで失礼するよ。飼い主が待っているんだ。」
そう言ってオウムは、月の間叩く漆黒な夜空へ隠すように姿を消した。

蛙の歌

蛙の歌

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-29

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