雪物語
短編です。
多少病んでた時期に書いたものとかいろいろ。
物語・壱――わかんないよ、死なせてよ。
気がついたら、もう何もかもが嫌になっていた。何もかも信じたくなかった。
友達も、家族も、学校も、家も、人全ても、現実も、世界さえ。
苦しくて、悲しくて、辛くて、信じたくなくて。
死にたいと、何度そう願ったことか。
だけど、結局は死ねなくて。
結局は何もできなくて。
一人ぼっち。
一人じゃ何も出来なくて。
寂しくて、きつくて、怖くて、恐くて。
死なせてと、何度叫んだことかもわからなくて。
自分の存在価値も、存在する意味も、何もかもわからなくなった。
嫌だ。嫌だ。と泣き叫んだ。
それでもやっぱり自分は何かを求めていて。
自分は愛を求めていて。
どう足掻いてもそれは掴めなくて。
誰も、手なんか差し出してくれなくて。
殺してくれ、殺してくれと誰かに言った。
だけど誰も見向きもしないで、通り過ぎていく。
「あぁ、誰か。お願い。
殺してよ、お願いだから。
もう嫌だよ、こんな世界。
お願いだから僕を殺してよ!!」
誰も聞いてはくれない。
誰も見てはくれない。
誰も手なんか差し出してくれない。
どれだけ願っても、どれだけ足掻いても。
どれだけ叫んでも、どれだけ手を伸ばしても。
誰にも、届かなくて。
愛なんて、誰もくれなくて。
誰にも、必要とされなくて。
ただ、今日も、僕は。
愛と死を求める。
優しさなんていらない。
友情なんていらない。
愛情なんていらない。
全てが全て、くだらない。
どうせ、皆、〝偽り〟でしかないんだから。
「もう全て捨てて、楽になりたいんだ」
自分を裏切った〝親友〟は、そう言ってた。
自分も楽になりたい。
偽りの優しさなんていらない。
偽りの友情なんていらない。
偽りの愛情なんていらない。
自分の周りには全て〝偽り〟しかない。
そんなのいらない。
「〝本物〟が欲しいんだ」
何度願っても、それは叶わない。
本物なんてこの世界のどこにもないのだから。
人って何?
人類って何?
動物って何?
現実って何?
世界って何?
地球って何?
宇宙って何?
何の為にあるの?
人は何で、死ぬのに生まれてくるの?
わかんないよ。
何で。何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で?
感情なんていらない。
友達なんていらない。
家族なんていらない。
動物なんていらない。
自分なんていらない。
物語・弐――友情とは。人間不信。
夢を見た。
まだ、楽しかったあの頃の夢。
みんなで笑いあって、それが楽しくて。
ずっと、こんな楽しい日々が続くと思ってた。
そうだって、信じ込んでた。
だけど、それは幻想だったんだよね。
私の思い込みだったんだよね。
ある日学校にいったら何も話してくれなくなってて、その人たちだけで話してて。
たった一人、取り残されたような感覚だった。
そんな日が何日か続いて、私は気づいた。
あの人たちにとっては、私はただの遊び道具だったんだ、って―――
涙が溢れた。
気付いてしまったら、止まらない。
その日から私は、人を避けるようになった。
元々から気づいてもらえない体質だったし、私自信も人が苦手で……人見知りだったし。
新しい友達はそのうち出来た。
………………だけど、その人達を本物の、本当の友達と思うことが出来なかった。
新しい友達と一緒に居ると、楽しかった。
だけど、やっぱりあの人たちといた方が、楽しいと感じた。
だから、私は新しい友達でさえも避け始めた。
自分勝手だと言うことは、わかってはいた。
だけど、逃げたかったんだ。
私はまた、一人になった。
いつの間にか、人間が怖くなって………人間不信になった。
怖かった。
また、居なくなるのが。
それなら、自分から逃げてしまえと。
まだ、その事を引き摺っていた。
「ばかみたい…ばかみたいっ」
泣きながら、呟いた。
ばかみたい、自分って何でこうなんだろう。
そんなことを考えたら、もっと涙が溢れた。
もう嫌だ。
「………ひっく」
あぁ、もう。
「死にたいよっ…」
どうでもよくなってきた。
あるのは、死にたいと言う願望だけ。
もう、疲れたよ。
全て、どうでもよくなった。
そういえば。
人の人生は、生まれたときから決まっているって言うのを聞いた事がある。
最初から、こう決まっていたのかなって――
そう呟いて、屋上から飛び降りた。
物語・参――七つの星
あるところに、小さな幼い少女がいました。
その少女は冒険家で、幼いながらにも色々な国を歩き回りました。
いつものように旅をしていたそんなある日のこと。
街で出会ったおばあさんが少女にこう言いました。
「七つの星を束ねし時、其方は幸福に包まれるであろう」
それを聞いた少女は、目を輝かせておばあさんの話を最後まで聞かずに飛び出して行きました。
一つ目は草原の中に。
二つ目は大地の中に。
三つ目は海の奥底に。
四つ目は霧の中に。
五つ目は月の中に。
六つ目は太陽の中にありました。
そして、七つ目は…少女の手のひらの中に。
少女は大層喜んで、街の人々に言いふらしました。
――――――――私は幸福になった、と。
その時、街は不幸のどん底に陥っていました。
その原因など、知る由もありません。
少女が幸福になればなるほど、街の人々は不幸になっていきます。
少女は不思議に感じておばあさんに問いました。
「なぜ街の人は不幸なの?」
おばあさんは言いました。
「お前が幸せになればなるほど、周りのやつらは不幸になるんだよ」
つまり、少女は周りの幸福を自分のものにしていたことになるのです。
これを聞いて少女は驚いて、
「それならいらないよ、こんなもの!」
七つの星を叩きつけるように捨ててしまいました。
するとどうでしょう。
少女の体は窶れて行き、やがて棒のように細くなって死んでしまいました。
幸福が彼女から出て行ったのです。
そうして街の人々は平和に、幸福に暮らしました。
おしまい。
物語・詩――――
「ここ、どこ?」
気がつくと見知らぬ景色。
嗅ぎなれぬ臭い。
感じたことない温度。
「あれ……」
私ってなんだっけ。
灰色の冷たい床にぴとりと頬をつけて目を瞑る。記憶を辿る。
「……」
答えは見つからない。
なんだろう、すごくもやもやする。つっかえる。思い出したいことが、知りたいことが、なんなのかわからない。
思考回路が追いつかなくて、耳にてを当てた。
(私は、何?)
「……起き、た?」
声が頭上に降り注いだ。
いきなり現れたその声の主を、床に頭をつけたまま凝視した。
「あ……ごめ、ね、驚かせ、た?」
口は『ごめんね、驚かせちゃった?』と動いているのにとぎれとぎれに声は聞こえる。何日食を取らなければなるのだろう、どれくらい声を出さなければなるのだろう。そう思うくらいに声がかすれていた。
ふにゃ、と笑いかけてくる男の子は、10歳前後で、私と同い年ぐらいなのに、疲れ果てた声だった。
……あれ、私の歳って?
「ゆ、に。おしご、おわた」
ペタペタと裸足で走る音と掠れた声が聞こえた。
起き上がって視線を向けると、身長130ぐらいだろうという小さな女の子。
雪物語