遠泳

バグったままの遠泳
いちばんになりたいひとたちを
軽蔑する手前の手前
私だっていちばんになりたくて
水を掻いて掻いて掻いている
「どこにも辿り着けないよ」なんて嘘
でも
「どこへだって行けるさ」なんていうのも嘘
楽しすぎる水槽で
たまに手を握り合ったりもする
私と私

美しすぎるものを見て死んでしまったひとたちに
憧れたりなんかしない
私はしない
しないけど
少し泣いていい?
泣いていい


ヒスノイズ
ずっと聞こえている
ずっと聴いている
明け方まで

遠泳

遠泳

詩誌『月刊ココア共和国 2023年3月号』(電子版)に佳作として掲載された詩作品です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-02-28

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