Battle Rain

雨の中の少女

俺の名前は 月居 空汰。身長168cm 体重48kgの高校1年生だ。高校1年生となれば恋の悩みとかあるかもしれないけど、俺の悩み事は...

「おはよう、空汰。」
「あぁ、おはようリナ。...って。ええ!?お前なにやってんだよ!」
「もう少し女らしくなるためにセクシーなビキニを着てみた。」
「それで女らしくなれたらOKAMAは苦労しね〜よ。早く服着ろ。」
「了解。」
コレが俺の日常の朝だ。セクシーなビキニを着て女らしくしようとしてるのがリナ、俺の同級生だ。コイツは妹でも姉でもなく、ましてや俺の親戚でもない。ある日町中で倒れてるのを見つけた少女だ。

ちょうど4ヶ月前の14日、バレンタインデー、どしゃぶりの雨が降っていたある日だ。
「ハァ...バレンタインデーに一人雨に濡れて帰宅かよ...あ〜寒っ。」
俺は2月の寒い雨の中凍えながら路地を歩いてた。
「ん?何だアレは?」
そんな見慣れた路地に何か奇妙な物体を発見した。近寄ってみるそれは...とある少女だった。
「お、おい!だ、大丈夫か!?」
俺は必死にその少女に呼びかけた。その少女は傷だらけで、とても弱っていたように見えた。まるで誰かと戦っていたように...。
「あ... 雨...降ってるのか?」
俺はよく意味がわからなかった。この娘は雨が降ってるのかどうかがわからないのか!?こんなどしゃぶりなのに!?
「あぁ、降ってるぞ。ザーザー、めっちゃ降ってる!」
僕がそう返事をしたら、
「そうか...」
と満足そうに微笑んだ。
「名前はなんていうんだ?」
「...イ....リ..ナ....リナ。名前は、リナだ。」
リナは自分の名前を忘れかけていたようだった。
「こんなところに居たら風邪ひいちゃうな、お前も俺も。とりあえず、家つれてくな、リナ。」
こういう時は普通、救急車を呼ぶなどをして病院に連れて行くだろう。だけど俺のかーさんは海外でも有名な医者で、ちょうど今日は休みを取って帰ってきてた所だったから、リナを家に連れて行く事にしたんだ。
家に帰った後はかーさんが傷を治したり、薬を飲ませるなどをしてリナたった2日間で元気を取り戻した。
だがかーさんはリナを気に入ってしまったために、家の住人が増えた。

そして、今にさかのぼる。一人称が『俺』であるリナは俺の命令により女らしくなろうと、毎日がんばってる。

雨を降らせる少女

毎日一緒に住んでると、いろいろな事を知ることだ。
リナがあの日雨の中で倒れていた理由は、リナは雨を降らせる少女だったからだ。
リナは守護界というところからきた、エクソシストだった。悪の世界からのディアブロズ、つまり悪魔を胎児する重大な役目を持っていた少女だった。しかも彼女が敵を倒すと雨が降るという不思議な雨が必ず降る。だからあの時リナを見つけたとき、雨が降ってると知ったとき、満足そうに微笑んだんだ。

雨が大好きな少女

「おはよう、空汰。」
「あぁ、おはよう、リナ。...って、うわぁ!?リナ何やってんだよ!?」
いつも通りの朝だ。俺が朝起きてリナを見ると、仰天することが待っている。
「もっと女らしくなるために、裸エプロンを着てみた。」
今日のリナは新婚夫婦の無くてはならないアイテムの白のフリフリの裸エプロンを着ていた。
「リナ、裸エプロンは新婚夫婦限定だよ。」
「...なるほど。じゃあ今すぐ空汰と結婚すれば、俺は女らしくなれるのか?」
リナの目は一瞬にして輝き始めて俺はちょっときゅんとした。
「原理的にはそうだけど!リナは...」
「リナは?」
リナは不思議そうな顔で俺をみつめた。
「リ、リナの顔はもう..美少女だから口調さえ変えれば...か...完璧に女らしくなれるよ。」
女の子の顔を褒めたことは産まれて初めてだったから照れくさかった俺はすぐに家を飛び出そうとした。
「俺はやくしないと学校遅れるから...」
「そっ...空汰...」
リナの声がして俺は立ち止まって振り返った。
「ん?」
「ありがとう...」
俺はリナのこんなにうれしそうな笑顔を初めて見た。
「あっ...あぁ...」

その日の学校はとても長く感じた。
「そ・ら・た〜〜!」
幼なじみの愛華が放課後に俺に話しかけてきた。
「おお!愛華!久しぶり」
久しぶりの愛華がうれしくて俺は笑顔で応えた。
「最近あまり話せなくてごめんね〜。クラスも違うし、部活が忙しくて会いにくる時間がなかったんだ〜。」
「いいよ。俺もちょっと最近ばたばたしててね。」
「そっか。高校大変だね。それより空汰一人だけど他の友達は!?」
俺はあまり人と話すのが得意じゃないから高校での新しい友達は誰もいなかった。
「あっ...その...まだ...1人しか...」
「えええ〜〜〜!だめだよ空汰〜!学校始まってもう2ヶ月も経ってるのにまだ友達1人しかいないの!?」
愛華の大きな目が10倍大きくなったみたいにびっくりしていた。俺のその1人の友達は俺の席の後ろに居る亀島という元気なやつだ。
「あはは...」
「そうだ!そんな空汰にぴったりな部活があるよ〜〜ん」
愛華は俺の周りを飛び回ってある紙を見せた。
「なにこれ?」
「えっへへ〜!部活登録証だよ〜。」
「...俺に?」
「うん!そうだよ〜!せっかくの高校生活なんだから、部活作っちゃいなよ!」
「えっ...俺が!?」
「そうそう!コレは私からの命令でぇ〜っす!ちゃんとやらないと、お仕置きだかね〜。」
愛華は幼稚園の時から柔道を習っていて、今ではなんと1級という超プロ。小ちゃいときからサンドバックのようにされてるけど...さすがにもうあんな痛い目には会いたくない...。
「う〜〜。はい...」
「んじゃ〜、私もう行っくね〜ん!ばいば〜〜い。」
スキップをして出て行った愛華のご機嫌の原因がわからなかったけど、気にしないことにした。

「フゥ〜...やっと帰れる...フンフンフン〜フフ〜ン♪」
俺は鼻歌を歌いながら帰っていった。今日はいい日だな〜って思って空を見上げたら雨が降り始めていた。
「まさか...」
全力疾走で家へ向かってドアを投げ開けた。
「リナ!」
思った通り、家の中にリナは居なかった。
荷物をおいて俺は何処ともなく走り続けた。
「リナーー!」
リナには役目があった。人間を悪魔から守るという重大な役目。その役目を果たすために人間界に来た。
だけどリナがいないと、心配になった。
「リナ!」
「...空汰?どうしたの?」
リナが塀の上で不思議そうに俺を見ていた。
でも何かが違った...

雨で救われる少女

「どうしたの?...空汰...?」
リナはまだ俺を不思議そうに見つめていた。
「私を探してたの?大丈夫だよ。戦いには勝った。」
何かが違う...
「...お前...リナじゃないだろ。」
「何言ってるの空汰?私はリナだよ。」
塀から飛び降りて近づいてきたリナから俺は遠ざかった。
「いや...違うな。」
「だってほら、雨が降ってるよ?」
リナが微笑んだ。
「本当のリナの降らせる雨はもっと、男らしくて、強い雨だよ!しかもリナはそんな話さないよ。」
「あーあ。気づかれたらしょうがないわねぇ〜!」
まばたき一回で俺の周りの世界が変わった。
周りには廃墟の建物ばかりが建っていて、すべてが無色だった...一つをのぞいては。
「私の名はリールーン。魔陀級3のムチの使い手よ〜。うふふ」
リールーンの名乗るその悪魔は炎で包まれたムチを左手に、短剣を左手にもっていた。
俺と敵のリールーンだけに色がついていた。地面は乾燥していて、米国の時代劇に出てきそうなところだった。
「リナはどこだ!?」
「アイツ?っふ...そこのホルダーに捕まってるわよ。」
リールーンが指差した先には大きな釜戸あり、その中にリルが捕らわれていた。
「リナを出せ!」
「そんな簡単には渡さないわ〜。私はそのリナのパートナーのあんたと勝負がしたいのよ〜。」
リナはとても最強と言っていた。リナが勝てない相手に俺が勝てるのか!?
「あんた結構上等らしいね...さぁ、かかってきなさい!!!!あははははは!」
かん高い笑い声とともに、炎に包まれたムチが俺の顔面に向かって降ってきた。
【Battle Rainと唱えろ。】
いきなりリナの声が頭の中で聞こえた。
「BATTLE RAIN!」
俺はできるだけ大きな声で叫んだ。つぶっていた目を開いたら、俺は元の世界に戻っていた。
「リナ!?」
「...そ...空汰...うっ!」
リナが30m程先で倒れていた。俺が初めてリナを見つけたときのように傷だらけで、弱っていた。
「リナ!今のはなんだったんだ!?」
「今のは悪魔だ...Battle Rainは危険に陥ったときに使うゲームでいう『逃げる』の選択肢だ。だがそのかわりに...大量の体力を消費する...うっ..うう!!!」
リナの右肩にはあのリールーンが持っていた短剣が刺さっていた。
「リナ!!!病院へつれてくぞ!」
「うっ...!だめだ...家に...家につれてけ...」
「は!?だめだよ!どうして!?」
「コレは...魔術だ。俺の荷物にあるマイデュユの本で治療できる...」
「わかったよ!」
俺はリナをお姫様だっこで走って家に帰った。時計をみたら4:30。学校をでてから15分しかたっていなかった。

その後リナは俺にマイデュユの本のあるページを読ませ、眠りについた。
次の日にはリナは回復していたようだった。
「おはよう、空汰。」
「あぁ、おはよう、リナ。ってハァア!?お前何やってんだよ!?」
「もっと女らしくなるためにセクシーポーズの練習...」
「いらねーよ!お前はブラビアアイドルかっ!」
「違う。」
「知ってるよ!ああ!もう!今日も遅刻するわ!」
「空汰...」
「何?」
「いってらっしゃい」
その日のリナはいつもより生き生きしているように見えた。
「あぁ。いってきます。」


ザワザワザワ
「はーっい!ええ...今日わ、あー...編入生がいます!居月 リナさんです!」
「はあああああああ!?リナ!???」
その日の俺はリナが学校に来て驚いたが、うれしかった。
なぜなら俺は....

新しい雨の少女

ザワザワザワ
「はーっい!ええ...今日わ、あー...編入生がいます!居月 リナさんです!」
「はあああああああ!?リナ!???」
「居月 リナだ。よろしく。」
冷静なリナの瞳は俺を直視していた。言葉を失っていた俺に近づいてきたリナは俺の事をもう一度直視してとなりの席の子になにやら耳打ちをした。その女の子はおびえながらうなづいて、後ろの端の席に移動した。
「おはよう空汰。」
そんな一言を言って机をぐっと引きずって俺の机にくっつけた。
「...知らない人に囲まれるのは慣れないから...空汰の隣に座るだけだ。」
シーンと静まり帰っていた教室が一瞬にして騒がしくなり、先生はきょとんとしていた。
「り、リナちゃん!リナちゃんメアド交換しようよ!」
「リナちゃん握手して!」
「リナちゃんかわいいな!」
「リナちゃん俺とつきあって!」
男子が一気にリナの周りに集まって告白やら、話し掛けていた。一気に話しかけれていたリナは嫌そうに抵抗していた。
「うっ、うわぁ!【そ、空汰ぁ...助けろ...コイツらを離させろ〜...】う、うぅぅ〜〜〜」
「おい、お前ら!リナが嫌がってんだろ、ちょっと離れてやれよ。」
俺は話したことのないクラスメイトに言った。だがみんな俺のことを無視していた。
「おい!聞こえねーのかよ、離れろ。」
今度は強めにやや叫びながらリナを守るようにみんなを押しのけた。
「は?」
「なんだコイツ。」
ムカつき始めていたクラスメイトを見たリナが立ち上がった。
「あっ!時間だ!」
リナの左手にはいつもの戦闘に使っている剣を持っていた。右手にも同じようなガラスで作られたように透明な剣があった。
「空汰、リールーンとの対戦していた時に戻らないといけない。この剣でリールーンと戦え。今日のみんなの記憶はリセットされるからこのことは大丈夫だ。」
俺はよく意味がわからなかったが、
「お、おぅ。わかった。」
と返事をした。それを聞いたリナは深呼吸をした後になにかを唱えた。
「Battle Back」

初めて戦った雨の少年

「フゥ〜。手間かけさせるわね...」
俺の視界には以前見たことのある廃墟ばかりが建っている無色の風景が映っていた。その中に色のついたリールーンが居た。
「この前は逃げるしか手段が無かった。だけど、今日の俺は戦える準備ができてるからな。」
とは言ったもの、俺戦ったことねーぞ!大丈夫か!?
「そう?っふ。まぁ。リナちゃん〜。あなたのパートナーが苦しむところ、じぃ〜〜っと見ていなさ〜い。あはははははははは。」
頭に響くかん高いリールーンの笑いと共にどこかでもう起こったような場面が始まっていた。そう、炎に包まれたムチが俺の顔面に向かって降ってきた。
「そんなことさせねーよ。」
俺はリナに渡された剣で身を守った。
「あーら。いいわね〜。身を守ることはできるみたいだね〜。でも攻撃はできるのかしら!?」
リールーンは30m程後ろに跳びムチを『バチッ!』とならした。
「ほ〜〜〜ら。早くかかってきなさいよ!」
「そんなに死にてーのか?わかったよ...」
俺はリールーンへ向かって全速力で走った。
「はああああああああああああああっ!」
気がついたら俺の剣は水色の何かを発していた。俺が大きく剣を振り上げるとリールーンは凍り、剣を上からリールーンに当てると『ドカーーーーーーン!」と大きな音と共にリールーンの姿は無くなっていた。そして風景は元の現実世界に戻っていた。俺はすぐに振り向いた。
「リナ!」
リナは無事なのか?
「空汰!」
リナが駆け寄ってきた。
「リナ!無事でよかったよ。」
「あ、あぁ。」
リナは目をそらした。
「なぁ、リナ。なんでお前に倒せなかった敵、俺が倒せたんだ?正直言えば、結構簡単だったし。」
「それか。俺、実は炎に弱いんだよ。だ、だから炎の相手からできるだけ逃げようとしてるんだけど...だ、誰にも言うなよ!こんな弱点周りに知らされたら恥だからな。」
「わかったよ。でもお前よく敵爆発させてるじゃないか。」
リナが嫌いな敵は必ず最後に爆発させてるんだけど、まさか爆発させてるリナが炎に弱いなんて思いもしなかった。」
「俺の親友のエリンは炎の使い手なんだよ。それでよくこのハンドメイドの爆弾をくれるんだよ。」
リナがポケットから出したのはかわいいピンクのハートの形をした爆弾だった。
「かわいいな」
俺は意外性にくすぐられてクスッと笑った。
「う、うるさいな!エリンはこういうのが趣味なんだからしょうがないでしょ!」
と言われて足にけりをいれられた。
「うごっ!痛っ〜〜〜!」
「へ、変なこと言うからだろ。」
「うぅぅ...ごめんなさい...」
「あっ!それより早くクリスタル集めないと!」
そんな事を言ってリナは慌ててリールーンと出会ったある電柱の下へ駆け寄った。
「クリスタル?何だそれ?」
俺はのろのろと歩きながらリナを追いかけた。
「本当はクリスタルじゃなくて、ケールっていうんだけど。悪魔の命みたいなものだ。」
「お〜。結構きれいだな!でもなんでそんなの集めるんだ?趣味?」
「ううん。守護界ケール収集市部局に送るんだよ。1年間で一番集まったカップルには賞状が送られて、クラスが一個あがるんだよ!」
リナはいつもこいう話をしているとき生き生きして見えて、俺まで生き生きしてくる。
「リナと俺のクラスはまだ最下級だよな?」
「いやいや!俺の元々のクラスはSだから、空汰と俺のカップルもSクラスだぜ。」
「えっ!?でも俺リナに出会ってから1年もまだかかってないぞ?」
「俺、前はソロでこういうのやってるから、継続されてるんだよ...雨も降ってきたし、早く帰ろう。」
リナの表情がちょっと暗くなったようにみえたけど、俺にはよくわからなかった。
「ま、まてよ!」

雨の中の少女と少年

家に帰った後、リナは部屋に引きこもったまま出てこなかった。
「リナ、大丈夫か?具合が悪いなら薬あるからな!」
「ちょっと疲れたみたいだから明日は学校休む。」
「お、おぅ!」


その後の1週間ちゃんと学校には行っていたがしばらく俺には話してくれなかった。でもそんなある日リナがやっと俺に話しかけてきてくれた。
「空汰...」
リナは俺と目を合わせようとしなかった。
「どうした?」
俺できるだけいつも通りに笑顔で返事をした。
「近くに居る...。覚悟しとけ。」
「あぁ、わかった。炎系だったら、俺が行くな。」
俺が立ち上がり一緒に帰ろうと誘おうとするとリナは俺を押さえつけ攻撃姿勢に入った。
「うわぁ〜!」
「空汰の頭の中は読めてる。」
「あ...そうですか...」
「驚かしてすまない。」
「あ、あぁ...別にいいぞ...。ははははは。」
なんとなく気まずい空気の中リナが俺の手を握った。
「ほ、ほらっ!行こう!」
「お、おおぅ!」
リナと俺は不意打ちをされないように周りをいつも以上に気にして家へ向かった。そうしたら...
「ガアアアアアアアアオオオオオオオオ!」
聞いたことのないとても恐ろしい鳴き声が聞こえた。
「来た!」
リナと俺は攻撃態勢に入った。
「この鳴き声は怪獣系のヤイグレンだな...引っ掻かれると同時に毒を入れられるから引っ掻かれないように注意しろ。」
「了解。そういうリナもな。」
「あ、あたりまえだろ!」
瞬きをして目を明けたら風景はまたあの廃墟の所だった。リナが言っていたヤイグレンという怪獣系の悪魔の姿はとてもひどかった。目は怒りに満ちていて、頭には5本の角が生えていた。体は黒と茶色が混ざった毛深いからだで身長は役4mもあった。右手にはヤイグレン自身より大きなオノを持っていた。
「リーナー!!!自分、お前、コロス!」
「っ」
リナが何かを言い返そうとしたが俺はヤイグレンに腹を立てていた。
「そうはさせないな!」
「う〜〜〜ん!?お前、誰!?」
ヤイグレンの目がギョロッと俺の方を向いた。
「お前を消す人間だよ。」
俺はヤイグレンを早く倒したかった。
「空汰落ち着け!」
リナが慌てた。
「とっとと倒そうぜ!」
俺は振り返らずに応えたがリナが俺を引き止めた。
「コイツ、ただのヤイグレンじゃない!最強の中の最強だ!」
「え?」
俺は最強の中の最強の程度がわからなかった。
「普通のヤイグレンは武器は持っていない。角や爪を武器変わりに使うんだ。本当に強い者は武器を非利き手に持つなんて超最強だぞ!コイツは危険だ!俺に任せろ。」
「そんな奴にお前を犠牲にしたくないよ。俺に任せろ。」
俺はヤイグレンの足の間を抜けて後ろに廻った。
「はああああああああああ!」
俺は剣で身を守るようにしてヤイグレンの背中を駆け上った。そして5本の角が乗っている頭の上に飛び乗り剣を構えた。
「さようなら!!!」
剣は水色に発光しヤイグレンを凍らせた。その間にどの怪獣の弱点でもある首をめがけて目が剣を刺した。
「ウオオオオオオオン!」
「え!?」
ヤイグレンはまだ生きていた。傷一つついていなかった。
「どうして!?」
「ヤイグレンにはバリヤ機能みたいなものがあるの、それをしている間に攻撃をしても、体力の無駄なだけだ。」
リナがヤイグレンの足をめがけながら俺に教えてくれた。
「ガアア!ウガア!!!ウウウウウア!」
ヤングレインはリナを力強く振り払おうとして足をバタバタし始めてその足にあたったリナは100m程遠くに振り払われた。
「キャーーーーーー!」
「リナ!!」
「そ、空汰、さっきのもう一度やってみろ。」
「うん!わかった!!」
リナに言われた通り、もう一度さっきのようにヤイグレンの足の間を抜けて後ろに廻って背中を駆け上った。今度ジャンプでヤイグレンの上を飛び越えて剣を振り上げた。凍っているのを確認して今度は頭のてっぺんから半分に切り裂くように剣を振り下げた。
「リナ、爆弾パス!」
「お、おぅ!」
リナにエリンのハンドメイド爆弾を渡された俺はヤイグレンの口の中に放り込んだ。
「グワアアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオ!」
大きな鳴き声と共に爆発の喧騒が耳に響いた。目を閉じて開くともとの世界に戻っていた。
「リナ、大丈夫か?」
「あぁ、平気だ...うっ.」
「平気じゃないだろ...」
「平気だ!Battle Heal」
リナが『Battle Heal』と唱えたら右肘と右の脚にあった傷がすぐに消え去った。
「平気って言っただろ。帰ろう。」
リナは少し微笑んでいた。
「そういえばさ...」
夕暮れの空を見上げていたリナに俺は気になっていたことを聞いた。
「リールーンか俺はリナのパートナーとかなんとやらって言って俺もそれにノッてリールーンと話してたけど、俺達いつパートナーになったんだ?」
「えっ...」
 リナが大きく目を開いて立ち止まった。
「あれ...どうした?」
「空汰、本当に覚えていないのか?」
俺はちょっと不安になった。
「え...何をだ?」
「契約したこと...忘れちゃったか...」
リナが俺の事をちょっと寂しそうな目でみてきた。
「こうやって、契約したんだよ...」
そんな事を言ったリナは俺に今までよりもっと近くに近寄り、顔を上げた。
俺の唇にリナのやわらかい唇が重なった。

新しい未来への雨

「おはよう、空汰」
「あぁ、おはよう、リナ。...ってええ!?リナなにやってるんだよ!?」
「そ、その...空汰と普通のキスをしたから、次は空汰と結婚するためにウェディングドレスを来てみた。」
「っ...そ、そんな。...似合ってんぞ。」
「えっ...」
「先行く...。」
「りょ、了解した!」


〜つづく〜

Battle Rain

Battle Rain

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 雨の中の少女
  2. 雨を降らせる少女
  3. 雨が大好きな少女
  4. 雨で救われる少女
  5. 新しい雨の少女
  6. 初めて戦った雨の少年
  7. 雨の中の少女と少年
  8. 新しい未来への雨