みんな ひとつ に なる

 閉じられた。星の一室。みんながしらない、あのひとの素顔。ほんとうのかお。しんじつの、あのひと。

 網膜。

 おわる。

 宣告めいたもの。予言にも思える。肉体が同化して、水となり、土となり、森となり、いずれはなにかしらの生命体のひとつとなる。指の骨でも、細胞でも、なんでもいいから、どうせなるなら、せんせいの一部になりたいと思う。となりのしろくまが持ってきた、シフォンケーキを黙々と食べながら、テレビから聴こえてくるどこか空々しい笑い声にかるい不快感をおぼえて。漠然とした不安にのっとられた、精神に、とどめをさすひとがあらわれたら、どうか、○んでくれ。
 いまはただ、数センチの距離にあるしろくまのぬくもりだけが、やさしい。

みんな ひとつ に なる

みんな ひとつ に なる

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-02-26

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