髪の毛が長いの、まつげが長いの、美しいの
髪の毛が長いの、まつげが長いの、美しいの。
髪の毛が長いの、まつげが長いの、美しいの。
これはまだ私が一桁の歳の幼児だった頃の口癖。お絵描きするときにこの言葉を呟いていたらしい。
親が残しておいた絵を見ると、確かに髪は足首に達するかと思うほど長いし、まつげは顔の輪郭線からはみ出るほどに威勢がいい。
多分、私の美の基準は銀河鉄道999のメーテルによって形成されたんだと思う。長い髪への憧れはあったが、私の母が短い髪型を好んだため叶わなかった。母としては長い髪だと手入れが面倒で、短い髪の方が合理的だと思ったのだろう。小学校でのシラミ騒動もそれを後押しした。
以来、私自身は短髪を通しているが、長髪で美形の男性に魅かれたりして、相変わらずメーテルの美の呪縛から逃れられないままだ。
そしてまつげも長く太くなるよう、美容液で毎日手入れし、根元から立ち上がるようにパーマもかけている。
先日、松本零士先生が亡くなられたと知った。私の美の基準はメーテルだったと改めて思ったので、この文章を書いている。
松本先生。どうぞ安らかにおやすみください。美しいメーテルや人間の美しい物語をこの世に産み出してくださり感謝しています。
子どもの頃メーテルに憧れた者より。
髪の毛が長いの、まつげが長いの、美しいの