何時か何処かであの彼女に・・。

何時か何処かであの彼女に・・。

私が女性との結婚に恵まれなかった事。

 街を歩く事も滅多に無くなり、専ら趣味の小説をレストランで朝八時半頃から夕刻17時くらいまで書く毎日。
 其れで、人との出会いも先ず無く、顔を合わせるとしたら店員さんか客くらいという事になる。
 以前、学友の女性と親友だった事はある。人に言えば驚く事が少なくないが、ミスコンから女優になった。
 親友だから怪しい関係では無く、何かと話易く世話もやいて貰ったりしたのだが、残念ながら亡くなってしまった。想い出は尽きない。
 同じキャンパスであれば会話に違和感はなく、互いに相手の話しているlevelの知識や感性などを理解できる。
 学歴がどうだという訳ではないとは言うものの、過去失敗した事がありやはり、ツーカーの方が気が疲れない。
 特に社会でも法律・政治・等の他に文学や美術・音楽と幅広くなっていくほどそういう事が大事になる。
 近頃の女性の趣味は様々だが、拘る者は一緒にスポーツや旅行をやりたいというケースが多い。
 昔は趣味と生活は別物という考え方だったから、何処の夫婦も其々やりたい事は仲間とやるなどが多かった。
 子供では無いのだし、朝から晩まで一緒でなければいけない事は無い筈。
 実際学友夫婦はそのパターンが殆ど。其れが、どういう訳か時代が変わってしまうと、常に共にとなっている。
 今の女性でも特に離婚をした者はそういう傾向が強い様だ。
 其れに、言いだした事は頑として譲る気はない様で、中には年下其れも約十歳希望なども少なくない。
 常識で考えれば、今は其れで「可愛い」「扱いやすい」で通るだろうが、十年先は二人の考えは変わるだろう。
 やはり、女性は自分は美人で若く見えるを主張し止まないのだが、十年先の相手の気持ちは男なら分かる。
 よくTVでやっているものに、化粧品などで若く見せる者が多い。
 実際は九十でも化粧品で六十歳に変身するというものだが、夫婦ともなれば素顔を見る事が多くなるから、そのMagicは他人様で夫婦間ではおそらく亭主は感激をしない。
 そうしてみると男女の考え方はかなり異なり、ちょっとも譲らないままでも何とか気に入った場合しかマッチはしない事になる。
 其れ程難しいのは司法試験以上という事になる。其れだけでは無い。
 持ち家かどうかや、兎に角現役で働いていないとダメなど又条件が付く。
 その様なstatusに関しては、物ではなく金銭が足りていて、どうせ男性の方が先に亡くなるのだからと思う。
 探し始めてそろそろ限界の年齢になっている。やめるしか無くなる。
 私の場合には過去の経験から容姿もそうですが、学歴がどうしても気になるのは、会話が繋がらない事があったので。
 



 そんな事を考えているうちに、最早これまでという時期になった。
 街には出ないし、此れといって出会いのきっかけが掴めない。
 ところが、珍しく美術館に言った時、会が趣味なのか真剣に絵画を見て立ち止まっている女性が。
 彼女に合わせるようにゆっくりと次の絵画を見ていく。彼女は案外絵画好きという事の様だ。
 あまり一緒に歩いているからと、此方を一瞬見てはすぐに視線を絵画に移す。
 此処まで美術に興味があるのであれば、今までの中ではまだ気が合いそうだと思う。
 どうせこの辺りでやめにするのだからと、この女性で最後にしようと思った。
 何とかきっかけが掴めればと思いながら、館内のcafeにでも・・と思ったのだが、突然男性が現れ、二人はいなくなる。
 Lastもあっけなく終わった。まあ、却って気が楽になったような気もする。
 女性と合わせなければならないというのも、考えてみれば結構面倒だ。
 そんな事を考えながら、美術館を出、下町の方角に歩いてみる事にした。
 下町なりの風情もなかなか良いものと思う。道もやや細くなっている昔からの町を歩いていると、芸者の置屋では無いだろうが、一軒の家から着物姿の女性が。
 着物姿は絶好の好物だから、兎に角彼女の後をついて歩きながら、途中までご一緒する事にした。
 下町情緒の中に相応しい、ちょっとしたcafeというか店に気付き、其処で休んで行こうかと思う。
 偶然だろうが彼女も店に入り、少し離れた席で何かをオーダーしたようだ。
 私は自らはおでんを頼みながら、店内を見回してみた。彼女以外にも着物姿の女性が何人かいるのに気が付く。
 器量は十人並みと言ったところだが、着物姿は皆決まっている。
 もう、最後であるからと、その内の誰かでも良いから、お近づきに慣れないかなど思う。
 彼女達を何回か見ていると、暖簾を潜って新たな女性が。
 此れも着物が似合う・・いや、其れだけではなく・・運が悪く女優並みの美女だ。
 そうなると、縁は無いものと思うしか無くなる。其れで潔く店を出再び下町の風情を味わおうと思った。
 少し歩いたところで脚が止まった。
 というのも、外見は兎も角此方を振り返った女性の顔は先程の女優とそっくりなのだ。
 此れは又運が悪いものだと、彼女の脇を通り過ぎて歩き出した。
 彼女の姿が遠ざかって行きそうだ・・と、何気なしに振り返ってみると。
 彼女はどうやら下駄の鼻緒が切れた様で立往生をしている様だ。
 私は下げていたバッグの中から丁度入れてあった布切れを取り出すと、両手で裂いてから紐上にし、彼女の目を見ながら。
「・・良かったら、簡単に鼻緒の代わりをこさえる事は出来ますが・・?」
 断られれば仕方ないと思いながら彼女に目を遣ると、案外笑顔のまま少し考えてから。
「宜しかったら・・」
 応急措置で鼻緒をこさえ彼女の足に合うかどうかを確認してから、挨拶をし歩き始める。
 背後から声がし。
「・・あの、其処のお店で珈琲でもご馳走させて貰えますでしょうか?」
 其処の店というのは先程の店で、戻る事になる。其れに一度入った店に特別拘りがあるのでも無いから。
「・・いや、それ程杓子定規にお考えなさらなくとも・・」
 と言い、先に向かおうとした。
 背後から再び声が聞こえ。
 振り向くと・・今度は女性の姿は二人。
 双子の様に見た顔が並んでいる。
 やはり、先程の女性とこの女性は姉妹か何かなのか?
 今度は二人揃い笑顔を伴い。
「・・あの、宜しかったら其処の下駄屋で鼻緒を一緒に見て頂けませんか?」
「・・それはまた?お二人でお好きな鼻緒をご覧になり適当なものをお探しになれば・・?」
 ところが、二人の眼差しは・・どうしても見て貰いたいと、どういう訳なのか訴えている。
 仕様がないからその場はお付き合いをする事にした。 


 店内で、彼女達からああでもないこうでも無いと質問攻めにあいながら、何とか二人が気に入りそうなものを決める事が出来た。
 其れで、彼女達とは・・と、店を出て行こうとする私に・・。
「・・有難う御座いました。度重なる我が儘ですが・・宜しかったらすぐ其処が私達の家ですから・・?」
 という訳で再び断り切れずに。
 まあ、女優の様な二人であるから悪い気はしないが、だからと言いこの場限りという事になるだけだ。
 家の玄関から廊下を歩き部屋に入る。
 お茶をと言われたが・・そう何回も飲むほど腹は空いていない。
「・・何か、貴方様は芸術的なセンスがおありなのですか?」
「・・いや・・少し」
 二人は突然立ち上がると。
「・・其れでしたら、着物を見て頂けませんでしょうか?」
 私は美女の着物姿なら・・まあ、悪くは無いだろうと思い。
「・・目の保養になりそうな別嬪さんの着物姿が見られのなら?」
 其のまま、着物のファッションショーを拝見する事になった。
 美女二人の着物姿は艶やかだが、顔は似ていても好みは異なるようで、其れぞれ艶やかな着物姿で登場した。
「・・ああ、此れはお美しい・・お二人共それぞれ個性にあった着物姿で・・?」
 ところが、其れだけでは済まなかった。
 結局、その後も夕食をというところ迄発展していく。何回か断ったのだが結局、夜遅くまでお邪魔してしまった。
「では、此れで・・」
 二人は、其れからも・・解放してくれそうもなく。
「・・宜しかったらお泊りになっていらしたら?」
 幾らなんでも初対面で其れは出来過ぎというもの。
 しかし、強引に振り切ってかえるのも・・。



 寝間に布団を敷いて貰い寝る事になったのだが、布団は三つ並べてある。
 もうそうなればなるようにしかならないと、兎に角掛布団を被って寝る事にした。
 すると、ふたりが。
「・・やはり、芸術のセンスがある方は・・少し違いますね?」
「・・はあ?違うとは?」
「・・女性にはご興味が無いという事の様で・・?」
 そういう訳ではないのだが、そう言われてみて気が付いた。
 今まで散々女性との縁談を求めて来たのだが、考えてみれば、いざそうなってしまったら拙いのかも知れない。
 あまり長く一人住まいをし過ぎたせいなのか、その・・要は女性の外見には反応するのだが・・。
 その証拠に、二人の美女を前にしても、少しもそう言うおかしな気が起きない。
 その点、女性は灰になるまで・・と言う言葉が示す様に・・老いても盛んだという事。
 私は、そうか、却って縁が無くて良かったのかも知れない・・そう思った。
 其れで、何とか早く寝てしまおうと・・奇がついたら朝になっていた。
「どうですか?寝心地は宜しかったでしょうか?」
「はあ、其れが、ぐっすり寝込んでしまたので?」
 朝食を頂きながら二人が。
「・・実は、私達、そう言うお方がいないかと・・?」
 私は、そうでは無いのじゃないのかな?と半信半疑だった。
 兎に角、世は性欲の世になっており、ニュースにも毎日のように、強制猥褻の記事が後を絶たず、男女共に其れしか興味が無いようなご時世になってしまっている。
 女子トイレの盗撮。都庁で真昼間から職員男女が交尾を。おまけに、且つて流行した性病迄流行って来ていて、感染者の殆どが二十代の女性とか? 
 幼稚な世界になってしまい、フェイスブックなどに登場する女性は半裸で胸が大きく、童顔ばかり。
 其処に持って来、先日もニュースで報道された様に、宇宙人から襲われない様なおまじないと称し、若い女性を何人もハーレムの様にしていた男性が捕まったとか。
 何せ、八十代の男性が、親族の女性に睡眠剤を飲ませ淫らな行為を・・と言うのだから、梅毒が流行ってもおかしくはない。



 その点、自慢にはならないが、私は、とんとそういう事には関心が無い。
 女性の着物姿は素晴らしく、真白いうなじや背中はまだしも、それ以外の部品には幻滅を感じる。
 ところが、女性にしては希少価値の様な二人も、同じだというから驚いた。
 


 其れからダメ男の私と二人の変人の女性とは度々顔を合わせる事になった。
 まあ、今の世で・・こういう事は先ず無いだろうが・・兎に角気があったというのも軌跡に近い。
 私の結婚願望は遠の昔に無くなっていた。二人も珍しい美人女優に近く、其の美しさを見ているだけで充分というもの。
 


 其れから、二人は町でスカウトにあったそうで、本物の女優に・・其れも美人姉妹という事で・・マスコミも大いに騒いだそうだ。
 しかし、二人は手当は充分に頂いても、必ず家に戻って来て、私に、撮影やスタッフなどの話をしてくれた。
 業界には今時の女性が大騒ぎする様な二枚目のタレントも多くいるようだが、二人はそんな連中にも興味が無い様だ。
 


 私は思う。
 且つての女優の親友と同じ様に彼女達も今風の女性では無い。
 ひょっとしたら、親友がそんな彼女達に巡り合わせたのかも知れず。
 私も、此れで女性に不自由する事は無くなった。二人が偶に着物姿でファッションショーを催してくれるのだから、願ったりかなったり。
 


 何も男女が行う事が同じ事でなくとも良いのでは?
 こんな芸術的な三人の生活もあるのだとつくずく思う。
 今の世は少しおかし過ぎる・・まあ、男女共にそういう事が楽しみな事は動物なのだから仕方がない。
 


 其のうち、私が気が付いたのは、男性のお得意の者は、私の場合には退化してしまっていた。
 其れで、三人で風呂に入る事もあるのだが・・そこでまた驚いた。
 彼女達の下半身には黒々とした者見られるのだが・・どうやら、その下は何も無く滑らかな構造の様だ。
 一つ心配したのは・・彼女達何れは子供を産むのでは・・?
 その心配は無用だった。




 生活しながら分かった事だが、どうも・・三人とも人類では無い様だ。
 何処かで間違えて・・青い惑星に到来したという事の様。
 其れなら・・今まで私は・・何も女性のお尻を追い掛ける様な事などしなくても、いや、出来なかったのは、当然だったという事になる・・。



 三人で夜空を見上げ、衛星や其々見事に煌めいている星々を眺めていると・・其の中に自分達の郷里がある様な気がしてくる。
 それ以外無いだろう。
 参人は何時の日にか郷里に戻れると思った。そして、或る晩・・巨大な船が現れると、三人を乗せ一瞬で遥かな彼方まで・・宇宙空間を・・まるで光の迷路の様な・・美しい光景が次から次へと現れては過ぎ去っていった。
 終点に付く時に・・私はふと、親友の女優の姿を思い出した。
 二人は既に女優を辞めて来たのは勿論だが、どうやら思い出した親友の姿は、二人の女優に負けず劣らず艶やかだった。
 



 其の後どうしたかって?
 其れは、人類には説明したところで・・到底理解できないもの・・と思う・・。
 欲望の無い世界・・其れが進化した文明の真の姿だと・・。
 只管感性を磨き・・そう言う意味での「美」をどこまでも追及していく・・其れが一生の課題である



 「by europe123 monotonous」
 https://youtu.be/dugG3yVnaSU  

何時か何処かであの彼女に・・。

そして、且つては親友の美しい女優がいてくれた事。

何時か何処かであの彼女に・・。

それらは嘘偽りでは無く・・人類には理解の出来ない・・構造上異なる進化した文明が存在しているという事実に落ち着く。 二人の女優に私・・そしてあの親友の女優・・。 女性は美しく艶やかなのだが・・人類は今、随分と退化していく過程を辿っている様だ。 誠に御愁傷様なのだが・・所詮、別の生命体であるのだから・・無理もないと言えるのだろう・・。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-02-21

Copyrighted
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