奇想詩『包茎ペンギン』

奇想詩『包茎ペンギン』

おいらには悩みがある


おいらは包茎なんだ


〝ペンギンがいちいち包茎なんかで悩むな〟


って思ったかもしれないけど


人間はもっと悩んでるじゃないか


仮性だったらよかったんだけど


おいらは真性なんだ


真性は保険がおりるって聞いたけど


ペンギンは無理なんだろうな


おいらが包茎で悩み始めたのは


南極探検隊がおいらたちの村にやってきて


おいらのオチンチンを見た体育会系の隊員に


「こいつは包茎だ、まずいぞ」


って言われてから


(何がどう〝まずい〟のかおいらにはよくわからなかったんだけど)


おいらは悩むようになっちゃったんだ


そう言われるまで


オチンチンのことなんて考えたこともなかったし


オチンチンの皮に種類があるだなんて思いもしなかった


南極探検隊の調べによると


おいらの村のペンギンたちは


長老ペンギンさまを除いて


みんな包茎だった


そりゃそうさ


人間だって最初はみんな包茎なんだ


南極探検隊は長老ペンギンさまに興味津々で


包茎ペンギンのおいらたちには目もくれずに


長老ペンギンさまを人間界に連れていっちゃったんだ


長老ペンギンさまは今じゃ


〝世界初の露茎ペンギン〟


とかなんとか言われちゃってさ


雑誌の表紙を飾ったりなんかしてるんだよ


当の本人は何が起こっているのか


よくわかってないみたいだけどね


ウワサでは世界最高峰の包茎手術医が


おいらたちの村にやってきて


おいらたちを全員


露茎ペンギンにして


ひと儲けしてやろう


っていう計画すらあるらしいんだ


まったくもう やれやれだよ


けど 隊員が置いていったダッチワイフには


おいら感謝してるんだ

奇想詩『包茎ペンギン』

〈あとがき〉
包茎×ペンギン×ダッチワイフ(南極一号)な作品です。

奇想詩『包茎ペンギン』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 成人向け
更新日
登録日
2023-02-12

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