償い
陽にみずみしく照る 混沌に清んだ小河が
畝りうねってひとけなき森の奥につづいている
わたしはその 忘れられた畔に一人佇んで
罪にいたむ掌 ひらいては閉じをし見つめている
わたしは世界との結びをもたないと
そのいたみを伝えるため ひとを疵つけてきた
わたしは助けてくれといいたかったのだが
その惨めさすらわたしは認められず いま此処にある
有難いことに この期に及んでもわたしの元には
小河を伝って無言のお便りとしての葉舟がとどくのだ
そのかわゆらしい舟を丁寧にひらき あたたかみに触れ涙し
また誰かの為になると希って わたしの結い方で綴じる
わたしに結われた 久遠の生命の流れがとおくへ棚引き
誰かの為になると 希みの歌を込めたそれ 遥かへ往く
このほかに わたしは罪の償いをすることができぬのか
ひたむきに わたしは命の営みの流れに淋しいわたしを侍らせる
償い