気球
本物の気球を見たことがない
寒いから、ってだけの理由でバイトをサボった日
ぼくは一日中テレビを見ていた
なんとかフェスティバルとかいうものの特集で
たくさんの気球を見た
誰でも追いつけそうな速度で
誰にも届かないところまで
上昇していく気球たち
いや、映像だからゆっくりに見えるだけで
ほんとはそこそこの速さで飛んでいるのかもしれない
いいなあ気球
人類は楽しいこともするんだなあ
テレビを消すと真っ黒な画面にぼくの姿が映った
ぼくの首から上は気球にそっくりだった
そこそこの速さで上昇していくぼくの頭部
想像してみてほしい
ぼくの頬にどんなスポンサーのロゴが付いているのかを
気球