転がる者に意思はない

ダンゴムシが好きだ
小さくて丸くてのんびりして皮膚にのせると幾本もの足をこちょこちょと動かす君が好きだ
危険を感じると丸まって身を守る君が好きだ
私も仕事で注意を受けた時に丸まりたいと思う
小さなダンゴムシになれればいいのにと思う

けど、私が丸まればそれを見た人達は手のひらで転がし始めるかもしれない
私は嫌がるだろうか、それともただただ耐え忍ぶだろうか
もしくは慣れて疑問にも思わず無心でいるだろうか
これでは人と一緒である

いや、きっとダンゴムシは違う
その差ははっきりしている
丸いから転がるのではない
意思がないから転がるのだ
小さくても丸くてものんびりしているように見えていても彼らは生きることに専念している

今の日本は、年間2万人以上が自殺をするらしい
どうか人にもダンゴムシのような自分を守る力が身についてほしいと思わずにはいられない

転がる者に意思はない

転がる者に意思はない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-01-24

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