雪がよく降りますね。

 その日はとてもたくさんの雪が降っていて、なんだか世界のすべてが覆い尽くされてしまいそうな・・・そんな日でした。
私の住んでいる町「あさのゆきほ」も、その日はあらゆるものを包み隠され、
この町の歴史とか、明日とか、そういう日々ってものを無いものに
されてしまうようでした。
 でも、きっといつも通りなら明日にはこの雪はやんで、朝日と一緒に溶けてしまう。
人々はまたいつも通りの日常を迎えるでしょう。
私も明日は仕事が入っています。
今日は早く眠ってしまいましょう。
カーテンを閉めて、ランプの光を消します。
それと、目を閉じて・・・何かにささやかなお祈りを。
私はそのまま目を開けず、眠りにつきました。

その後もしばらく雪は降り続いたようですけれど
朝にはわずかばかりの雪の塊を残してすっかりやんでいました。
澄み切った青空は、シンとした空気に相性がよくて・・・私の肺の中に心地よい空気を運びました。

雪がよく降りますね。

世界の誰かが、そのとき考えていたようなことを書いたつもりです。
すごく短くて小説なんてくくりではないような気がするのですが。
ちょっとした日記と思っていただければ・・・

雪がよく降りますね。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-28

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted