月の日

(モンブランばかり食べていたかったときがある。なんだか、まいにち、うまくいかないのは、ぜんぶ、まわりのせいだと思っていたことも。ちいさなこどもがにこにこしているのに、わたしは、にこともしてあげられなかった。買ったばかりの漫画を、なんで買ったしまったのだろうと、買った直後に後悔して、なまえもしらない、テレビのなかのひとにいらいらしてしまう。夜はもう、一生明けないはずだったのに、いつのまにか、朝、という存在が復活していて、あしたには、ひさしぶりの朝がやってきますって、ニュース番組でやっていて、憂鬱になったから、ひきだしにしのばせていた、やめたはずのたばこを一本、吸って、頭痛薬を飲んだ。眠ろうかと思ったけれど、眠ったらすぐに朝がくるから、それはゆるせなくて、パソコンの前で、だれかがつくった動画をてきとうに流していた)

 ふいに、咆哮。

 怪獣がかなしんでいるのだ。
 もうすぐ、わたしたちの世界(よる)は、おわります。

月の日

月の日

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-01-14

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