月の日
(モンブランばかり食べていたかったときがある。なんだか、まいにち、うまくいかないのは、ぜんぶ、まわりのせいだと思っていたことも。ちいさなこどもがにこにこしているのに、わたしは、にこともしてあげられなかった。買ったばかりの漫画を、なんで買ったしまったのだろうと、買った直後に後悔して、なまえもしらない、テレビのなかのひとにいらいらしてしまう。夜はもう、一生明けないはずだったのに、いつのまにか、朝、という存在が復活していて、あしたには、ひさしぶりの朝がやってきますって、ニュース番組でやっていて、憂鬱になったから、ひきだしにしのばせていた、やめたはずのたばこを一本、吸って、頭痛薬を飲んだ。眠ろうかと思ったけれど、眠ったらすぐに朝がくるから、それはゆるせなくて、パソコンの前で、だれかがつくった動画をてきとうに流していた)
ふいに、咆哮。
怪獣がかなしんでいるのだ。
もうすぐ、わたしたちの世界は、おわります。
月の日