メメ nt モリ
メメは、すぐに心臓を捧げたがる。好きになったひとに。ミツギモノ感覚で。つまりは、愛情過多。
二十三時のコンビニのまえで、モリが、鬱屈な表情で立ったままみかんゼリーを食べている。さいきんは灰皿を置いてある場所が少ないと、モリはつねにぼやいている。好きなひとができたために、メメに放っておかれていることも、モリがじくじくとしたいらだちをかかえている原因である。今夜は月がみえない。
わたしはときどき、怪獣の声をきく。
うたっている、と思うときがある。
泣いている、とわかるときもある。
意外と、感情がだだもれているのだから、愛しいなって。たとえ、どんなに醜悪な姿でも、凶暴でも、ゆるしてしまいそうだ、と自嘲する。
わたしなんて、一瞬で、ふみつぶされるくらい、巨体だったとしても。
メメ nt モリ