メメ nt モリ

 メメは、すぐに心臓を捧げたがる。好きになったひとに。ミツギモノ感覚で。つまりは、愛情過多。

 二十三時のコンビニのまえで、モリが、鬱屈な表情で立ったままみかんゼリーを食べている。さいきんは灰皿を置いてある場所が少ないと、モリはつねにぼやいている。好きなひとができたために、メメに放っておかれていることも、モリがじくじくとしたいらだちをかかえている原因である。今夜は月がみえない。

 わたしはときどき、怪獣の声をきく。
 うたっている、と思うときがある。
 泣いている、とわかるときもある。
 意外と、感情がだだもれているのだから、愛しいなって。たとえ、どんなに醜悪な姿でも、凶暴でも、ゆるしてしまいそうだ、と自嘲する。
 わたしなんて、一瞬で、ふみつぶされるくらい、巨体だったとしても。

メメ nt モリ

メメ nt モリ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-01-12

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