まきし騒動
1話 1ヶ月後の準備
我々は、来月からアメリカ・ニューメキシコ州に漂う。
そう、自分の家のリビングで50代手前のスーツをキメた男性が言った。それに息子のシーミアが答える。
あのさ、頭大丈夫?漂うってなんだよ? 仕事で移住するだけだろ。かっこよく言っても無駄。てか、ニューメキシコ州のどこなの?先月答えなかったね。
今日は家族会議の日。
それは…… 。
どうせ、忘れたのか聞き忘れたのかどっちかでしょ。本当に火山しか興味ないんだから。
う、うるさいな! 火山は関係ない!し、し、知ってるもーん!!
うざいな、そのしゃべりかた。
ちょっとぉ! お父さんに失礼じゃない!?
いつもの事じゃん。それで?
今回は言える! 忘れてなぞないぞ! フハハハハッ! サウスバレーだ!
忘れたって言っちゃってるし。誤爆したな。サウスバレーか。どこそれ?
知らないのかい!
と、シーミアとルトラは話し合う。
やめやめ! そんなコメディアンごっこはおしまい!
と、母のレノが冷静に言う。レノはその場を立ち上がり、冷蔵庫を開けて飲み物をとる。
コメディアンごっこって…… 。
まあ我々はアメリカに行く。ニューメキシコ州だからスペイン語は通じるし、サンフェルナンドよりいいモノ売ってる。楽しみにしよう。
そうルトラは言う。
ルトラは学者をしている。10年前までは火山学者をしていたが、いまは岩石学者、火山灰編年学者として活躍している。トリニダード・トバゴのローミッシェルマッド火山を研究し、有名に。今回は、ニューメキシコ州のサンディア大学からスカウトがあり、移住することにした。アメリカやメキシコ、ドミニカ共和国の火山を研究して欲しいのと、サンディア大学での火山学教授として、教鞭を振る舞って欲しいとの事だ。
これはチャンスだ。学者人生誰もが羨む道だ。
ところで私、そのサンディア大学に進学するから。
と、タミアが伝える。するとルトラが答える。
なんで? 私と同じ道に行くのか?
は? 違うわよ! スポーツがそこそこ強くて、パパと一緒の大学なら少し楽できるから!
なるほど、賢い。
その辺にして、そろそろ準備しましょ。あと1ヶ月しかない。居るものは?
と、レノが言う。
ぼくは、枕を新しくする!
枕だって!? シーミアはマルコム・グラッドウェルにでもなるつもりかしら?
レノはシーミアにツッコむ。
マ、マルコム・グラッドウェル?
シーミアは不思議そうななんとも言えない顔をする。
知らないのか? 睡眠研究してたジャーナリスト。
知ってるよ。逆に眠らなくても大丈夫だね!アル・ハーピンみたいな。
それは無理ね、何十年も寝ずに入れるのはアル・ハーピンだけだ。
と、ルトラが言う。
あら! なら、枕は要らないわね!
わかった! ごめんよ、枕に抱きついて寝るのが好きなんなんだ! じゃないと寝れない。
ほら。
ほらじゃない。準備してくる。
ついでに、捨てるものと捨てないもの分けなさい!
わかったよ!
シーミアは自分の部屋で捨てるものと捨てないものを分ける事にした。
階段を上がり、木製なのでダンダンッと木製らしい足音と共に、部屋に向かった。
その後、1時間部屋から出なかった。不審におもったレノは部屋に行く。
ねえ、まだやってるの?
と、ノックした後すぐに扉をあける。
んー どれもいるやつばかりだ。
まった! そのグローブとかいるの?
え? このボクシンググローブ? いるよ? だってお父さんとの思い出じゃないか。よくその辺でボクシングしてた。
いまやるの?
やらない。
なら、いらないわね。
ちょっとまってよ! いるってば!
こんなのが? じゃあこれは?
レノは野球のボールを手にする。
いるいる! だって思い出じゃないか。
いらないでしょ、あなた野球しないし、キャッチボールしてるところも見たことない。
まあ、たしかに…… 。
わかった、ではこうしよう。マンケンシュマットの方法。彼は服1枚だけ残して他は全て捨てて、燃やした。まあ実際1枚だけは流石に困るから、服と教科書とあなたの好きなこのネッシーの枕は残してあける。
ひでぇな。けど、かえっていいかも。
すると、レノは服と教科書、ネッシーの枕を残し、他は外で燃やした。すぐに燃えた。UFO雑誌なんてスグだ。
これで、いいわね。
レノは言う。姉のタミアはそもそも物が少ない。卓球道具ぐらいだ。あとスポーツ雑誌。タミアはスポーツ雑誌1冊残して他の雑誌は捨てた。他に捨てる物が無かった。
こうして、アメリカに行く準備を進めた。1ヶ月後には非日常の始まりだ。
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