忘れもの

湿度で火傷する
している
焼かれていた
それは
少女が抱いていたぬいぐるみ
少女だった が抱いていたはらわた

れっきとした劣等感が大地で威張る
圧倒的列島感蒸す夏の国
「夏って恋みたい」というのがわからなくなった日

育てきれない腐った植物と金魚を焼いた
8月の終わり
迎え火で花火をした
僕らはどこかおかしいのかも
線香花火が潰れたあとに気がついた

忘れ物を思い出した
ぬいぐるみと私は
入れ物だったことを
今も変われないということを

みんなどうせ
何を考えていても
ここにたどり着くくせに
何世紀も変われないくせに
手先だけが器用になっていく
入れ物がほしい、ほしい人ばかり

私の植木鉢は壊れている
植物と金魚を腐らせてしまうから
湿度が何なのかわからないから
誰の種でも流れてしまう

夏は持続しない

忘れもの

忘れもの

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-01-06

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