Garante Actriz 邦題 保証人の女優

Garante Actriz 邦題 保証人の女優

スターダムの女性。

 社での昼休み休憩はたいてい一人という事が多い。
近くのカフェで食事をしたり外出先のレストランでなどであるから。
 今日は午後から外出するからと珍しく部員と一緒に食事をとる。
 カフェでオーダーするものは大方何時も同じで神谷功の好物のよう。
 食事中に部員からあまり興味がない事を聞かれた。
「宇宙に他の生命がいるのだろうか?」
 という話なのだが、若者はこういう事に興味を持つのだろう。
 たいていは確率的にこの広い宇宙空間に生命体が存在しない方がおかしいというとことで終わるのだが。
 当然ながら見た訳でも無ければ見る事も出来そうもないのだから仕方がないという意見も少なくはない。
 青い惑星の科学levelでは、太陽系の幾つかの惑星に関する見解はあるのだが、実際に到達した惑星は数えるほどなのだから後は仮説になる。
 今から30年程前の理論物理の量子力学では三次元から四次元の玉を見るとした場合、玉の右側と左側では時間の速度が違うから団子の串刺し状態に見えると大学では教えられている。
 また、相対性理論のEinsteinが行き詰まった事とし、こんな事も言われている。
【「特異点」は、人工知能や人文科学などの研究分野の中にも出てくる言葉で、物理学者が宇宙を論じる際に出てくる場合は、「宇宙を理解するのに使う数式が誤作動する場所」を指す。例えば、「1/X」を含む方程式でXの値がゼロになると、方程式の値が無限大になってしまい、理論が成り立たなくなる。通常の場合、理論が成り立たなくなるのは方程式に何かが不足している時や、そんなことが起きるのは物理的にあり得ないケースだが、物理学にはそれで片付けることができない特異点がいくつかある。そのうち最も有名なのが、重力場が無限大になる「重力の特異点」。
 重力の特異点は、「これまでで最もうまく重力について説明している理論」と言われているアインシュタインの一般相対性理論に登場するもの。
 一般相対性理論を元にブラックホールを発見した物理学者のカール・シュワルツシルトは、まず一般相対性理論を普通の星のような球状の質量を持つシンプルな天体に当てはめてみた。すると、天体の中心からシュワルツシルト半径の距離だけ離れた位置に特異点、つまり一般相対性理論が成り立たなくなる場所があるという計算結果が出た。
 この特異点は、一般相対性理論を破綻させかねないものとして長い間議論の種となっていたが、研究が進むにつれ「シュワルツシルト半径より星の半径の方が大きければ問題ない」ことが分かる。例えば、太陽のシュワルツシルト半径は3kmなのに対して太陽の半径は約70万kmもあるので、太陽は一般相対性理論で十分に説明可能です。この特異点は、場所によっては特異点にならないことから「座標特異点」という。
 しかし、星の半径がシュワルツシルト半径を下回った場合の問題は解決されません。しかも、現実にある天体がシュワルツシルト半径より小さくなるほど強く圧縮されるとブラックホールになり、その中心では強力な重力で物体が無限に小さな点に押しつぶされてしまう。この点が「真の特異点」であり、また重力が無限大になることから「重力の特異点」と呼ばれることもある。
 宇宙検閲官仮説と「裸の特異点」
 特異点の問題が解決できないのでやはり一般相対性理論は破綻しているかというと、実はそうではない。なぜなら、光さえ脱出できないブラックホールの内側からは何も出てこられず、ブラックホールの内側を観測することもできないので、ある意味では「ブラックホールの中心にどんな特異点があろうとこの世界の事象とは何の関係もない」と言えるから。】




 功は審査案件で契約先を回った際、最後の家で保全に若干問題がある事に気が付いている。
 つい先頃起きたバブルの崩壊による不動産価値の減少で、根抵当権(継続的なリース契約などの場合の担保権)を設定してある不動産では担保能力が不足と。
 契約後なので出来れば保全を強化したいところだ。ところが世間では予測していなかった事が起きたのだから仕方ないと考える人もいる。
 地震の場合の保険などはあっても、好景気が続いていた時期にいきなり起こったバブルの崩壊は想定外で、簡単に保全を取るという事は出来ない。
 契約者には責任が無いと言えるが、大抵の場合よっぽど不動産を幾つも持っているなどで無ければ物的担保とし容易に保全出来るものではない。
 では、人的担保はとなると家族や親族にそういうものを補填できる者がいるのか、且つその者に相応の収入や資産があるのかが問題にされる。
 要は保証人になれる人間がいるのか?なのだが、契約者は頭を抱えた末に、芸能人の親族がいると言い出したのだが。
 契約者からは其の保証人からは最近親族になったようであるからあまり頼みたくはないというような表情が窺える。
 最近とは・・つい最近の事で、親族が養女にした女性で親族自身は亡くなったようだ。
 取り敢えず住所を聞いておく。
 養女なら法的には立派な子であり相続権もある者と言える。詳しい事情は分からないが。
 功はTVや映画は見ない方で業界など詳しくは知らない。其れでも妻が女優だから尋ねればある程度分かるかも知れず。
 契約者の話では最近業界入りした女性で名を煌美沙というが、其れは芸名の様で香川が正しい姓のようだ。
 此れが契約者に延滞や大きなネガ情報でもあれば急がなくてはならないが今のところ問題はない。
 其れでもその準備くらいはしておかないとと思う。個人情報とは、銀行系・信販系・消費者金融系の三つからの情報が取得でき、例えば、消費者金融会社の何処店又はATMで何時何分何秒に幾ら借りようとし、残額が幾らで延滞があるかどうか等も即座に分かる。
 社内でも個人情報取り扱い主任などの資格を持っていないと情報を社内のパソコンで見る事が出来ない。
 功は契約者には又来ますからと言いおき契約者宅を出る。
 帰りに最寄り駅の途中にある公園のベンチに座りながら社にTEL。
 担当者にその旨を話す。担当者から折り返しのスマフォが振動する。
「そういう名の人の情報は全国で二十五件該当しました。ところが住所が違うので・・」
 その人間の情報が取れない事になる。
 考えられるのは、美沙は一切の取引を何処ともしていない。
 つまり、現金取引しかしていないとか、クレジットカードを持っていないという事なのか。
 今の時代にはクレジットカードを全く持ち合わせないなどは珍しいケース。
 只、其れだけでは与信とし判断はできない。
 新しい保証人に資産があるかどうかを聞かなくてはならないし、クレジットカードの件なども同様。
 至急では無いから、契約者を通してでなく、功が直(じか)に調べる事にする。 

 

 


 先ずは、女優である妻の裕子にメールをし、その人物に関しての知っている限りの情報を教えて貰う。
 陽が西に傾きオレンジ色の光が照らしていたビルの壁伝いにゆっくりと下がっていく頃返信が来た。
「其の女優は新人で、つい最近業界でも名が知れだしたようよ?恐ろしく美しい女性で年齢は三十代。マネージャーと所属事務所は分かるわ。私と個人的な交際は無いので詳しい事は分からないけれど、おそらくマネージャーと一緒に此れから帰宅するかも知れないわね?」
社には直帰と告げ取り敢えず住所からあたってみる事にした。
 至急では無いのだから其処まで急がなくともと思うのだが、気になるというのが何か分からないものに引き寄せられるような・・。
 其処からそれ程遠くは無い成城学園前が最寄りの駅であり帰り道のようだ。
 成城学園といえば高級住宅街であるから養子縁組した父は金持ちなのかも知れない。
 マネージャーはおそらく車で送るだろうから、このままなら電車の方が先に着くだろう。
 其れで簡単に寄って行こうと考えていた。成城学園前駅は帰宅の人達で賑わっている。
 駅の南寄りに住所地がある筈。スマフォの地図を頼りに歩く事十五分掛かるかどうかの邸宅が其処だ。
 門には香川の表札。まあ大きな邸宅だが家族は他にもいないのかと思う。
 ご時世で個人情報に厳しくなっているから近所に聞く訳にもいかず、何か方法は?と思ったがやはり無理か。
 その一帯がお屋敷町のようでマンションと違い調べ様がないが、敷地の大きさを見ておく事にする。
 駅前に不動産屋があったようだから帰りに寄れば良い。後は社にある公示価や路線価などで確認するつもりだ。
 塀に沿い大きさを目分量程度に計る。
「何か御用事でも?」
 驚いた。
 近所の人のようだが、まあ家の周りをぶらぶらしている者がいれば何かと思うのは当然、増してやお屋敷では。
 何気なく、
「妻と同じ職場なので・・」
 と、話をしてみた。
「何方(どちら)さんの事?お嬢さん?貴方、奥さんと同じ職場って何方からいらしたの?何の用件?何処の方?」
 立て続けに聞かれる。
 全て事実を答えたが、契約者に許可を得ずに来たので会社名は言わず、同じ職場の人間という事でとおした。
「へえ、芸能界ねえ。何ていうお方ですか?ああ、存じてますよ有名じゃないですか、ねえ?其れで、貴方はマネージャー?」
「ええ、まあそんなところで。丁度、家が此処から近いものですから帰りに通っただけです」
 これ以上他人に何やかやと聞く訳にはいかない。其処に車のライトが此方に近づいてくる。
 其れでは失礼。と言っておき場所を変える事にした。 先程の人がいなくなってから少し遠くの電柱の陰に立っていると。
 車が止まりお礼の挨拶の後女性が降りてくる。妻から聞いた通りの美人のように見えたが・・その日は気が付かれる前に駅まで歩く事にした。
 ふと振り返ると、女性が此方を見ている。何か挙同不審者とでも思われたのか?
 実のところは分かろう筈も無いのに、など思いながらももう一回振り返る。
 瞳が光っているように見えたのは街燈の灯り反射のせいなのだろう。
 駅前の不動産屋で辺りの実勢価格を聞くが何というお宅?と聞かれたので適当に近くの番地を話す。
 敷地の形状と特徴さえ分かれば、例えば東側六メートル道路に面し百坪ほどの長方形、両側民家に接しなど。
 大体の実勢価も分かった事だしと帰途の車内の人になる。乗っている急行の次に止まる駅が住まいだ。
 丁度家に着く頃車のライトが近付いてきマンションの前で止まった。妻はマネージャーと一緒なのだろう。
「お帰り・・」
 ほぼ同時に二人でentranceに入りポストの中の郵便物などをバッグに詰め込んでからElevatorに。
「今日の女性・・何か?」
 家に入るや妻は居間のテーブルの上にスーパーで買ってきた食べ物を袋から出し並べている。
「いや、契約先の保証人になるかも知れないんで、まあ、心配する様な状況ではないけれど、此のバブルの崩壊で経済界も大きく変わった事だから、〆ていかないと」
 共稼ぎの夫婦が仕事の日には簡単に調理を済ませ、間も無く食卓を賑わす様に皿が並ぶ。
 食事をしながら聞いてみる。
「確かに美人だったようだ。最近って言ったよね?どんな女性なの?」
「見て来たんだ?何か新人にしては以前から役者をやっていた様な、演技は上手いし人気にしてもstudio内外でかなりのようよ。まるきし素人の女性ではないのかも知れないね?」
 妻が言うのなら間違いは無いだろう。
「staffなど業界で?外とはファンの事?内は局でもという事か?」
 何か妻の評価に従えば満点娘のようだが。
 妻が食事中にスマフォの画像を見せてくれた。いきなり人気がある連続ドラマの主役に決まり上手くこなしているようだ。  
「役者ってそんなにあっという間にトップに躍り出るものなの?昔は、役者も苦労してという者もいたようだけれどって、其れは君の方がよく知っているよね?」
 妻の話の中に、
「何か何時もスマフォを持っていると思っていたら何か違うようなの?」
 画面に数字から幾何模様など綺麗なものまでがいろいろな色に輝いたりしているという事。
 新型なのかも知れない?と妻は言うが、功はそのスマフォもどきに何か引っ掛かるようなものを感じる。
 其の晩は結局そんな話で終わり今度見に来ればという事で締めくくられる。





 翌日の社内。功が昨日信用情報を聞いた時に話した名前の事で結構盛り上がっているようだ。
 今の若いものには情報が伝わるのが早いようで人気者を見逃さないようだ。
 昨日の信用情報の担当者が。
「神谷さん。あの名前の人ですけれど、マジで現金取引だけなのかも知れないですね?クレジットにしてもひょっとしたら誰かの他人名義のカードの家族会員とか?其れにしても、情報には載る筈なんだけれど不思議ですね?まあ、問題は全く無さそうというしか無いですけれど」
 担当者がそう言うのだからそれ程外れてはいないだろうが、何処まで満点娘なのだろうと思う。
 社内では毎日と言っても良い程で、彼女の名前が出ない日は無かった。
 というのも、彼女は次々に主演を務めTVだけでなく映画にまで出演する様になった。
 オールマイティーであるかのように、歌を歌えば楽器も弾き踊りも上手のようだ。
 所属事務所やバックダンサーの中からも感嘆と憧れの声が上がっているという。
 何れ先日の契約の担当者に任せるのだが、その担当者多田光枝と共に契約先、ついでに妻に言われた通り実物を拝みに行く事にした。



 契約先に付いては功の方から光枝にデータはすべて開示してあったので、彼女から契約者に話を詰めて貰う事にした。
 要は・・。
「この度の件ですけれど、若し、保証人が其方の仰る方でしたら当方とし全く異存はありません」
 其れで契約者はその線で話を進めるという。此れでこの契約は盤石のものとなるだろう。
 保証人の資産価値・余剰・其れに役者としての収入は相当のモノだと思われる。
 保証人宅を出てから妻に連絡をし、部下と二人で見学に行くから宜しくと話す。
 ゆりかもめでフジTV局studioに。
 妻が前以て二人の見学を局に告げてくれてあったからすんなりと見学ができた。
 光枝は目の前で彼女を見るのは初めてだと感激をしているようだ。
 studioで収録が始まる前に打ち合わせをしている。
 妻が言っていたのだが、キュー(動きや台詞の合図)も彼女の場合は全く必要が無いというのかまるで先に気が付いている様で恰も何度も読みつくした台本のようだ。
 此れでは脚本家に監督やstaffも感心をする訳だ。パみる(立ち位置を通常はマーク)するのが普通なのだが、そんな事は必要無いとでも言いたげの様子だ。
 ランスルー(本番と同じセットや機材、進行で行うリハーサル)も必要無い程、とは言っても主役だけ理解していても収録は出来ないのだが彼女はぶっつけ(ぶっつけ本番)同然の待遇であった様。
 流石の妻も笑みを通り越し呆れ顔の様だった。
 本番中の演技は言うまでも無く最高。
 そうなると周囲の役者も其れに合わせ易くすんなりと収録が行われる事が多い。
 休憩中に、監督が笑顔で彼女に。
「君、まるで宇宙人だね?Einsteinも驚くんじゃない?」
 上機嫌のstaffや脚本家もそれにつられる様に。
「何かMagicでも見ているかのようだな。とんでもない天才が現れたものだ。美空(ひばり)の再来、いやそれ以上。何かやってよ美沙君?」
 其の言葉が終わるか終わらないうちに美沙の独演場となる。
 何と、カメラマンが振り回されている。つまり、カメラが移動するより早く、美沙がまるでカメラを磁石で自らに引き寄せているが如く。
 演技が気持ちよく演じられているという事になる。



 功が光枝と妻に囁く。
「あの子、やはり、此の惑星の・・でなく・・そんな気が・・」




 美沙がLastsceneを終えようとしている。
 一瞬ライトで良く見えなかったが、動きに目が追い付いていけなく無い?まるで光の速度で移動している様に立ち位置を変えれば周囲も其れに合わせる。
 当然ながらカメラは目一杯張り切り彼等の動きを収録している事になる。



 けつかっちん(丁度・・ピッタリに終了する)でstudioは笑顔に包まれていた。



 其の日の晩は、衛星がギリギリまで青い惑星に接近したかのように異常に大きく見え、夜空に花火の打ち上げが行われた様に星々も様々に色を変え煌めいている。
 まるで自分達の王女の活躍を称賛している様なおかしな情景だ。
 美沙のスマフォのようなMachineの画面には、相も変らず訳の分からない文字や絵模様が流れているようだ・・。
 


「職業というものは要するに、人のためにするものだということに、どうしても根本義を置かなければなりません。人のためにする結果が己のためになるのだから、元はどうしても他人本位である。すでに他人本位であるからには種類の選択分量の多少すべて他を目安にして働かなければならない。夏目漱石」



好人物は何よりも先に、天上の神に似たものである。
第一に、歓喜を語るに良い。
第二に、不平を訴えるのに良い。
第三に、いてもいなくても良い。芥川龍之介」


「更にそこから生まれるもののなき博学はくだらない。知識のコレクションに過ぎない、志賀直哉」



「by europe123」
https://youtu.be/eVMQH16oLQA

Garante Actriz 邦題 保証人の女優

緻密に光速の判断で・・。

Garante Actriz 邦題 保証人の女優

思いがけず保証人にとった女優の演技に・・。 何か、人離れした・・宇宙を感じた様な・・。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-01-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted