祈らば断て

 あなたの 祈りは──
 合された てのひらより
 さらさらと毀れて往き 遥かに燦る夢の城を
 赫々と流々とうつしながら 砂音立てて墜落して、

 つややかな 若草の枝先に
 小鳥のようにとまり、清む囀りで無音を歌い
 時々くらいは しろい木洩れ日を照らして
 神さまの住むお空を照らして きらきら潤んで雫の光る。

 ただ、それだけです。
 ただ、それだけです。
 祈りの効果現象は唯それだけです。それでいいではありません?

 祈りを善としたいなら 善を巡る箴言に祈りを代入せよ、
 「祈りとは 唯それだけでよいもので、
 そこから引かれる報いの線の拡がりを──自ら断て」

祈らば断て

祈らば断て

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-31

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