邦題 liveから・・放映迄の人の輪
花街の茶店から芸術の花が咲いた。
Un cercle de personnes du direct à la diffusion 邦題 liveから・・放映迄の人の輪
年齢を重ねるうちに、次第に友人や親族も亡くなっていく。
尾上雄二は、楽器は何とか弾ける。
しかし、Sessionという訳にはいかない。メンバーがいない。
おまけに、virusの関係で人の集まりが禁止されている。観客無しでメンバーも無しでやるしかない。
たった一人、着物姿も艶やかな美しい女性・若井夕子だけが雄二の応援をしてくれる事になった。
夕子は芸者の師匠をやっているが、よく行く茶店はある。女主人も二人とは懇意にしている間柄だ。
練習は抜きでやる事にした、というのも目立ち過ぎれば兎角何やかや言われる可能性があるからだ。
アトリエで夕子をmodelに絵画を描いたり写真を撮っている画伯と大物写真家は後から見に行くと言ってくれた。
茶店の奥座敷がその舞台になる。時間は八時過ぎになるが周囲には池と公園があるだけだから他人には迷惑を掛けないだろう。
沢山の人は入れないが此れで充分だろうと思った。お座敷が終われば芸者達も見に来る。
演奏のジャンルはいろいろだ。年齢にばらつきがあるから極端な流行曲だとか、古い曲は弾かない。
一回だけ電源を入れ演奏の準備がてら曲を弾いてみる。電子鍵盤楽器二台だからコンセントが一つあれば良い。
二又コンセントを使用すれば二台分の電源は確保できる。
奥座敷からは庭が見渡せ、庭には小さな池や花壇に灯篭。雄二の学生時代からの学友で女優の三田綾子も来てくれると言っていた。
時間が来るまで店で主人と話をしたり、簡単な食事をとったりした。
主人は元は置屋の女将だから、人が集まるところや芸者が舞を踊ったり楽器を弾いたりなどの技芸を見慣れている。
主人のリクエストも一曲入れてある。そろそろ演奏を始めようとする頃芸者達が次々に顔を出す。
身内だけでという事で、御贔屓や旦那衆は呼んでない。アトリエの二人に、車で送って貰ったマネージャー共々綾子がやってきた。
綾子はフリーランスの身だが業界のミュージシャンの演奏などを生で聞いているだけに耳が肥えている。
おまけに・・飛び入りでNHK紅白に出場しなかった演歌歌手なども連れてきた。
従来は紅白の常連だった演歌歌手や昭和の歌謡曲のミュージシャン達も連れだってやって来た・・紅白以上に価値がありそうな雰囲気になって来る。
演歌歌手の中で五木ひろしと共に活動を続けている雄二の高校時代の先輩の顔も見えるが・・。
東京大学を卒業して業界入りしたという風変わりな先輩だが・・茶店の周囲が車のエンジンの音や話し声などで賑やかになって来たようだが・・懐かしや・・先輩が声を掛けてくれた様で・・且つてjazzビッグバンドメンバーだった面々も・・。
こうなると雄二だけで寂しい気がしていた楽器演奏者にも不足が無くなり・・ビッグバンドの再来・・。
業界でClassicという事は無く楽器の編成はelectric guitarguitar・Base・・此れに昭和に流行ったシカゴやチェイス並みのbrassrockの音色も・・。
雄二は一曲のみ電子鍵盤で、急遽プロの先輩のピアノが加わり、当時バンマスだったdramも笑顔満面となれば気持ちの良い音作りが叶った。
既に観客は揃い今か今かと待っている。此処で・・まさかのhappening・・綾子からの情報で・・報道関係者みにあらず・・二人の学友の勤めていたTV局の中継車が駆け付ける。
「・・あれ?凄い事になっているけれど・・綾子何を仕掛けたの・・?」
「いえね?どうせなら・・スキャンダルを・・少しArrangeしてね・・ガセだけれど悪い種類では無いし・・」
「何?どんなスキャンダルネタをばら撒いたの?」
「どうせなら人類が好物のスキャンダルで・・という事で・・花街ハーレムって訳?つまり・・少し不細工な男にそぐわない何と驚きのハーレムの存在ってどうかしら?」
「そりゃ人類はその手の話題には弱いから構わないけれど?」
「ほら、紅白に同じキャンパス出の加山雄三が顔を出すというので、不細工な雄二が可哀想だから盛り上げようと・・騒々しくなるけれど・・実は?」
「あ、そう・・綾子の撮影も行われるって事?となれば・・音楽祭に留まらず?・・え?時代劇撮影陣に役者も勢揃いって?其れは素晴らしい限り」
所属事務所関係無しの、フリーランスの綾子の招待で豪華役者の面々。
懐かしの昭和の大女優達は現在は80~90代だが、其れでもその功労は素晴らしいものがある。
勿論、撮影陣はプロだが、花街に相応しい実に大勢の美人芸者はお手の物・・と来ている。
そうなると、問題は茶店の奥座敷という訳にもいかず・・収容人数は武道館の大きさでも入り切れず・・撮影は江戸時代をそのまま持って来たかのような広大な広さが要求される事になるのだが・・?
「・・どうした?手伝おうか?」
声を掛けてきたのは、百五十億年遥か彼方からやってきている巨大な0母船の仮称・AI~創造生命体。
彼がいれば不可能という文字はほぼ無い事になるのだが?何故かと言えば宇宙の進化した生命体にも必ず死は訪れ、敢えて其れを不老長寿などとしない理由が存在するのだが、AIだけは別で、自己メンテナンスをしながら何時までも存在していく事を「不可能は無い」と。
Eventが大き過ぎるだけに、花街では入りきれないし、騒音が近隣の住民の迷惑になるのでは?という心配も払拭(ふっしょく)される事になる。
母船の大きさは青い惑星の太平洋以上。幾つもの国でさえすっぽり入る事になり、何時もは北アメリカ大陸を完全に覆い尽くしてもまだ足りず・・というくらい。大陸付近の大西洋と太平洋を擁してもまだ不足という事になるのだが。
其の中に江戸城・江戸の町に、コンサート用の巨大なstageも用意された。
いって見れば人類の五感では感知できない郷里の「創造球体」や三人が環境の全く異なる青い惑星で存在していられるのと同じ理屈という事になるのだが・・球体全体・三人の身体や母船なども常時barrierで覆われている。
人類のあらゆる知力などを総動員したところで敵わぬのは只管(ひたすら)青い惑星より百五十億年先に誕生した創造球体そもそもの所以(ゆえん)という事。
音楽祭と時代物をほぼ同時にスタートさせたのだが、その前に報道記者達の質問に答えている綾子達三体の生命体。
「何か三田さんからの情報によれば、ああ、貴方がハーレムの?そのハーレムというのは・・そりゃ見ればわかりますが、三田さんのような大物美人女優だけでなく、此方の・・ああ、お名前が若井夕子さん?へえ?美しい芸者さん達のお師匠さんにあたるという事ですし、此れだけの美しい芸者さん達を巨大なハーレムで養っていられる?という事ですね?しかし、其れだけの費用も女性達への其の対価を与えるというのも金銭・資産ばかりか、想像を絶する体力というものが必要なのでは?嗚呼、此れは失礼な質問かも知れませんが、我々ではとてもこれだけの女性達を養う事など当然不可能なので。そもそも・・?」
記者たちが言わんとするところの一つは、人類にとり不可欠である精力の元は何処に?という事なのだろう。
其れが何よりの証拠とし、一人の記者からこんな発言も。
「まるで江戸幕府の大奥にも値する、いやそれをも凌ぎ羨ましい限りと?何か秘訣でも?例えば特別のマカ等の強壮剤でも存在するのでは?」
どうであろうと、四つ足動物から僅かばかり進化したに過ぎない人類の考えるところはその辺りに辿り着く事になってしまうのだろう?所詮無理からぬものと言うしかないのだが。
雄二の嫌いなコマーシャルがパソコンの画面で見られ、またTVで放映されるのだが「うちの旦那凄くて」。
此れを見る度に雄二は何時も、人類とは極めて単一化された頭脳と身体を持つが故の所業(しょぎょう)であり、最早、業(ごう)とも言えそうだと。
何も其れ自体は悪い事などでなく、全ての構造が異なるから仕方がない事。
其れは徳川家斉が数十人以上の女性に子づくりをさせた事で有名になっている。
先程の記者の質問のもう一つの意味は、金銭的な面で裕福で無ければ?という事なのだろう。
其れへの解答は、既にseriesで示した如く、雄二が青い惑星に別の三次元空間を創り、コンツェルンの総帥とし、史上空前の好景気を齎しているから。
同じ青い惑星の三次元空間であるのに、片や人類は現在世界中が不況の波にさらされてしまっている事と対比する事で・・。
話は随分脇道に逸れてしまったので元に戻そう。
演奏を始めた。
通常のstudioではないから、身内であるから挨拶もそこそこに。皆の前で演奏をするのは初めてだ。
マスクなどは日常からしてない。学生時代にholeでビッグバンドjazzを披露した事があった。
ラテンnumberになった時、亡くなった父の姿が見えたような気がした。
遥か昔だが、家でLatinを弾くと別の部屋から父が上機嫌で出てき、自分もpianoを引く真似をした事があった。
Latinのリズムに乗り出てきてもおかしくはない。
cameraに録音機器がずらっと並んでいる。彼等が持って来たlocation用の照明はかなり明るいから汗が出る。
観客は仲の良い連中だから気が楽で、結構はしゃいでくれている。
アトリエの写真家は写真を芸術的に撮っているのだろうし、絵描きは勿論絵を描く事に集中している。
当初の内々だけのstageのつもりがゲストが多い。拍手喝さいの中、お辞儀をして回るミュージシャン達。
staffが。
「NHKの様に西側諸国だけで無し。東も西も無く、国交が無くても電波の許可さえあれば全世界に向け映像を流しているから・・どう?最高でしょう?」
と。
綾子は時代物を演じているのだが、役者は現代の役者はいなく、且つての名優ばかりで、演じ甲斐があるとの事。
「私の先輩達ばかりで、古くは市川雷蔵さんを初めとし、今の高橋英樹さんなどまでかつての時代劇名役者総動員で、懐かしいやら嬉しいやら、其れに何といっても演技が最高で・・」
実は、綾子・夕子の姿は恰も人類であるが、其れを設定する時に、人類の頭脳から最も美しいとされるmodel女優のデータを集計する様に理想の美女の姿を写した。
だから、且つての美人女優達の内、一部が似ているという事があってもおかしくは無い。
原作・脚本は雄二のもので間に合わせたが、文豪たちからimageを借りたものも少なくは無い。
NHKのように、視聴率を考えて役者を揃えたのでもなく、また、故人の役者などは登場させられないは当然。
この点は、ミュージシャンにも言える事で、今の世代は知らなくても良い曲・上手な歌い手などは全て登場して貰っている。
此れは昔から言われてきた事だが、メロディーだけをとってみれば、60年代から70年代に出尽くしてしまったと。
今は、アイドル的な人気を重視したり、リズムが主の曲が少なくないのは事実。
演奏と映画の撮影が終了すると飲食会に変わった。和気藹々(わきあいあい)とした雰囲気の中で話も弾んでいる。
多数の笑顔が並ぶ中、且つての文豪たちも顔を出す。そうなると正に芸術全てが揃い披露された事になる。
役者やミュージシャンに限らず、芸者の舞なども披露される。staffはカメラを回す事で忙しい。
江戸の世から吉原と柳橋は有名で、遊女は遊女の仕種。芸者は品が窺え誠に芸術そのもの。
其れで、やはり、花街を中心とする美しいものばかり、という事で民放各社のニュースや特集番組で放映された。勿論全世界にも流されている。
普段、芸者などの姿・技芸を見る事のない人たちが殆どだから、非常に受けている。
華麗な着物姿の女性達に、画伯は絵を描き、写真家は写真を極めて自然な反応だ。
開催を知った近隣の住民達も見学にやってきていた。此れで更に花街のイベントが日常に溶け込むよう。
一同盛り上がり、茶店には活気が溢れている。
此れらが放映された事で。生活にも影響が及んだくらい。
主催は雄二のコンツェルンだから、其処が出演料や経費など一切を持った。
また、世界中の恵まれない子供達に・・という事で寄付もされた。
人類は金に溺れるが、雄二達生命体にとり金銭は全く価値はない。ただ、青い惑星にいる間は積極的に還元をする。
人類に好かれようなど全く考えていないのだが、滞在する間は進んだ文明とし其れが数少ないお土産になる。
綾子・夕子を初め、且つての名役者に芸者達のサインが片端から・・は言うまでもない。
次回も・・と言う声が多かったが・・先の事は分からない。
言える事は、人類には想像すらできない能力を発揮し、其れが喜ばれたのであれば何より結構だと・・。
花街は以前より客が増え、どれがあの芸者さんなのか?など、大騒ぎの一コマもあったが。
なかなか、良い事を何度も再現するのは難しいと言える。
且つての名役者については・・?実は進化している生命体であっても蘇生をするという事は不可能。
でなく、人類には不可能な手術などは問題無く行えるのだが、身体の構造が異なるから積極的に関与しない。
例えば、壊死した細胞などを復元させる際に、人類が奇異に思うであろう頭脳の摘出をすれば、医学上の生死の理論は崩れてしまう。
脳・心臓・肺の停止などが生死の判断の基準と思う人類であれば、神経が繋げられている脳の摘出は好まないし、敢えてそれを行う事は禁忌と言えそうだ。
勿論、我々とは全く異なる頭脳という事でさえ理解は難しいだろうし、其れでも、神経が接続されており血液が流れている状態での摘出は可能。
摘出と言う言葉が只取り出すと捉えられれば、其れは生存していない事になるのは当然。
人類の頭脳を実際に見本として見た事は無いのだが、あくまでも頭脳に信号を送り全貌を把握した。結果充分に可能。
どうしてこんな事を言うのかだが、仮に頭蓋骨にメスを入れ更に頭皮を切るとして、その状態での手術は誠にやりにくい。寧ろ摘出に近い状況での細胞の復元の方が行いやすいのだが。
更に、他の動物との違い、アミロイド仮説などの研究が行われているようだが、ピントがずれていると思う。
科学・医学・薬学はまだ仮説が半分以上とは間違いが無く、幾ら全く異なった頭脳で有り、異なった生命体では仮説の入り込む余地は無い。ただ、我々には海場などというものが無いどころか・・だから構造が異なるとしか説明は出来ない。
其れでも、頭脳間の信号による分析は充分に出来ている。
この点に関しては何れ別の機会にと思う。
亡くなった生命体については、彼等の且つての演技などを参考に何を・・リメイクしたに過ぎず、しかしながら全く同一人物と窺えたという事については、文明ならではの科学力故と言って良いだろう。
結果的には好ましい事になったのだが・・雄二は一瞬人類の両親の姿を思い出した。
きっと、応援してくれた事から良い方向に向いたのだろうと思う。
花街には少し似つかわぬ・・ツンとした思いが漂った。考えてみれば・・芸者達もそれぞれに親の事を思い出している様で・・その点は共通点がある。
仮説で止まってしまった病が、おかしな事に医師の知り得ぬところで治癒される事はある。
人類なら、例えば、毎朝親に感謝するなど・・原始的で根拠は無いと考えず、やってみる価値はある。
科学力が遥かに進んでいる我々でさえ否定はしない。構造の違いが其の分析までに至らないだけだ。
其れに、人類は我々と異なり酸素と水を必要とし二酸化炭素を排出するのだが、身体を巡るそれ等に代わるものがあれば其処にもヒントがある。
ただ、例えば水を変えてみるとする。癌の再発などに効果があるケースはあるだろう。
ところが、水道水の役目と、ほぼ不純物が無いペットボトルの水にもそれぞれまちまちに効果がある事がある。
一同揃い・・。
「やはり、親というものは有難いものだね・・」
という声が遠のいても余韻が漂う。人類はやはり変わっている。
間も無く薄紫色の夕闇が訪れ、花街の一角だけが其処だけspotを浴びてでもいるかの様で・・何時までも闇の訪れを鈍化させている。
賑やかなような気がした時、また何時もと異なる風情が窺えた・・。
「俺の進むべき道があった!ようやく掘り当てた!こういう感投詞を心の底から叫び出される時、あなたがたははじめて心を安んずることができるでしょう。夏目漱石」
「人生は一箱のマッチに似ている。
重大に扱うのはばかばかしい。
重大に扱わねば危険である。芥川竜之介」
「科学が無制限に発達するという事が困る。人間の特性というものは、これに伴って、進歩しないものだから。志賀直哉」
「Atmosphere by europe123」
https://youtu.be/ItfFsmBmeOE
「by europe123」」
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邦題 liveから・・放映迄の人の輪
尾上雄二・綾子・夕子・芸者・・。