奇想詩『おかんに服買ってもらう』
おかんに服買ってもらう
頼んでもないのにおかんが服買ってくる
おかんの服のセンスがわからない
おかんが買った服はもう着ない
それでもおかんは服買ってくる
おかんの買った服を着てみる
おかんの買った服が案外似合う
おかんがおれの靴下の片割れを失くす
おかんがおれの靴下の片割れを履いている
おかんの買った服を売る
おかんの買った服が知らない他人に着られている
それはおかんがおれに買ってくれた服や
おかんはもう服を買ってこない
頼んでもおかんはもう服を買ってこない
頼んでもおかんはもう靴下を失くさない
おかんに服買ってきてほしい
おかんの買った服を着たい
おかんどこいったん?
俺に聞くなや
もう帰ってこうへんの?
知らんがな
おかん おかん おかん
じゃかしゃ!
おかんはもういない
奇想詩『おかんに服買ってもらう』
月刊ココア共和国2020年9月号掲載作品(傑作集)