奇想詩『おかんに服買ってもらう』

奇想詩『おかんに服買ってもらう』

おかんに服買ってもらう


頼んでもないのにおかんが服買ってくる


おかんの服のセンスがわからない


おかんが買った服はもう着ない


それでもおかんは服買ってくる


おかんの買った服を着てみる


おかんの買った服が案外似合う


おかんがおれの靴下の片割れを失くす


おかんがおれの靴下の片割れを履いている


おかんの買った服を売る


おかんの買った服が知らない他人に着られている


それはおかんがおれに買ってくれた服や


おかんはもう服を買ってこない


頼んでもおかんはもう服を買ってこない


頼んでもおかんはもう靴下を失くさない


おかんに服買ってきてほしい


おかんの買った服を着たい


おかんどこいったん?


俺に聞くなや


もう帰ってこうへんの?


知らんがな


おかん おかん おかん


じゃかしゃ!


おかんはもういない

奇想詩『おかんに服買ってもらう』

月刊ココア共和国2020年9月号掲載作品(傑作集)

奇想詩『おかんに服買ってもらう』

月刊ココア共和国2020年9月号掲載作品(傑作集)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-31

Copyrighted
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