Asuntos extremadamente lamentab 邦題 極めて遺憾なaffairs

Asuntos extremadamente lamentab 邦題 極めて遺憾なaffairs

かなり昔のくだらない話。


 表通りを歩いている。銀座はやはり高級感の窺える街。
 歩道の標識は「自転車通行禁止」。只の歩道では無いよと言わんばかりで車道より三十センチ程高い。
 すれ違う通行人が振り向いては見ていく。男性ばかりでなく女性も、老若男女の視線を纏めて奪っている。
 説明するまでも無いのだが彼女は飛び抜けた美女。今時のタレント?可愛いと言われたにしても所詮お子様。
 そうであれば見逃さないのが彼等の仕事。いきなり声を掛けられ一旦は知り合いでもと思うが・・また?
 後をついて来るだけなら仕事にはならないだろう。歩いて行く傍(かたわ)らに纏いつき何とか話をと。
 何時も乍らすらっと伸びた脚からの風通しは良く爽快な気分。
 スカウトの言う事など決まり切っている。modelか女優か差し詰めそんなところだろう。
 男の顔を見ているうちに何か可哀想になり、仕方ないから女優になってあげようかと言ったら、喜んだ事。
「其の代わり・・当然主役よ?」
 しめたと思った男が。
「演技の経験・・あります?」
 というから、
「・・生まれつき素養があるから大丈夫よ」
 と。
 男の表情は一層明るくなり。
「・・今企画している映画の撮影が近いから・・」
 まあ、それ程疑う事も無いだろうと。
「・・どんな映画?私に相応しいんでしょうね?」
 と言えば。
「今はanimationブームですから売り上げナンバーワンだった【不滅の八重歯】を超える売り上げが目標で?」
 というから。
「何よ、animation等所詮漫画じゃない。馬鹿にしないでね?」
 と言えば申し訳なさそうに頭を掻いている。ジャニーズ何とかという事務所の名前を言ったから。
「其れって子供達のいるところじゃない?」
 と。とはいってもあまり面倒なのは嫌だから。
「付き人を一人つけてくれれば其れでいいわ」
 と言ったら男は少し考えていたが。
「何とかご希望通りにさせて戴きます」
 と、苦笑いを。
 どうやら加賀麗子の思い通りになりそうだ。近くのホテルで詳細を説明したいと言うから、スカウトの車で表玄関に乗り付けることになった。
 17階のラウンジでスカウトがスマフォで誰かに連絡をしている。
 相手との会話までは分からないが何とか事務所の担当者の様で了解したという事のよう。
 スカウトは麗子の表情を窺うように。
「・・その前に付き人の条件は・・?」
 と聞きながら徐(おもむろ)に、先程の事務所所属らしい嵐というタレントメンバーの写真を見せる。
 麗子は桜井とかいうタレントの写真を指で弾くと。
「・・此れ?私好み(わたしごのみ)では無いわ、子供はやめてくれる?」
 と言うと、スカウトは何枚かの写真を代わる代わる取り出して見せる。
 其の中から麗子が決めたのは年輩の阿部寛とかいう男だった。
 スカウトは少し首を傾げ・・呟きながら、再び電話をするが、今度は担当者では無い様で本人なのかも。
「・・先程の連中は目下(もっか)大人気なのに・・此の男の何処がいいんだろう・・?」
 小一時間もしないうちに彼がやって来たから話をするが一応役者だと言う。
 スカウトはああ言ったが男は思ったより人気があるようで兎に角背が高い。優男で無いところが却って気兼ねがいらない様な気がする。
 予定の作品は「その男の悲劇」というタイトルで付き人も準主役で出演すると言う。
 勿論主役は玲子なのだが、持てない男を励ましながらというよく分からないストーリー。
 



 業界で。
 麗子は美女優でstaffや監督達からも圧倒的な信頼を受けている。
 代々の大物美女は最終的に監督に惚れられ結婚する事も少なくない。
 若尾文子や八千草薫もそんなコースを歩み、業界では役者同士の結婚とは一線を画した存在だった。
 残念ながら八千草薫は監督の命日に亡くなったし、若尾文子はおしどり夫婦なのかも知れない。
 麗子にも監督からのポーズはあるのだが、其処は美の次に魔の字がつく程の女優。
 其れで業界での人気に限らずマスコミが勝手に浮名を流してしまったりし麗子に関する記事だらけ。
 一方、ストーリー上ではやはり業界で美女と称される女優足立ゆかりが共演しており、彼女も目立つ存在。
 役柄が信販会社の管理職である寛は彼女の上司で、若い男性の憧れはゆかりだ。
 恋愛ものだから男女の心理を描きながら、一見ゆかりが主役のように思わしているのだが脚本は違う。
 自分に惚れる男性達に誠意を持ち付き合うゆかりの姿がアップされるのが前段。
 寛は課長として男達とは一回り大きな目で彼女を見ている。
 一方、麗子は人事部の管理職役で役員連中からも絶大な信頼を受けている。
 審査課などではゆかりを誘っては飲みに行く男性が後を絶たない。
 ゆかりは自分の美貌に自信を持っており、そういう連中と飲みには行くものの口説き落とされる寸前に上手く交わしている。
 そんな折飲みに行った際にゆかりが泥酔状態で危ない目にあう。
 そんな事が何回かあった後に、今度は課全体の飲み会が催される。
 部下達に酌をして回る寛がゆかりに話し掛けているのを彼等が見、随分仲が良さそうだと勘ぐる。
 寛は全員に平等に回っているのだが、その間にゆかりに酌をしようとする課員で順番待ちのような状況に。
 彼等がゆかりに近付いては。
「ねえ、今度一緒に・・」
「この後でもどう?」
 流石に愛想の良いゆかりもどうしてよいだろうかと思案気に考え始める。
「此の中から自分が好みの男性は・・?」
 ところが、密かに中年の寛に信頼感のようなものを感じ始めた彼女は、飲み会の席で、つい、寛にお返しの酌をしながら目を見。
「阿部さん・・偶には・・など・・」
 その意味が分かった寛だが年齢の差がある部下に手を出すなどはとんでもないと考える。
「・・ああ、また機会でもあれば皆で、でも君は随分人気のようだからあまりおじさんになど拘わらない方が・・?」
 とまでしか。
 




 そんな折、ゆかりの身に危機が迫る。社からの帰り道でマスクで顔を隠したスーツ姿の男に公園に連れ込まれる。
 丁度仕事が終わり公園の前を通りかかったのは、寛だった。
 事の次第に気が付き暴漢を得意の剣道で鍛えた腕っぷしで追い払うのだが、彼女は意識を失っている。
 暴漢は何とか逃げ追うせたのだが、彼女は半ば公衆トイレで強姦(今は強制猥褻罪と名称が変わり定義の範囲も広くなり、親告罪であったものがそうでは無くなった。昔は、プライバシーの都合上被害者が自己申告をするという事だったのだが。)をされる寸前の状態で下半身が一部露出。
 寛は必死になり彼女を保護しようとするのだが・・意識を回復した時の彼女は目の前にいる寛を見、大声を出しながら助けを求める。
 丁度通り掛かった通行人が通報し警察官が急行。暴漢の来ていたスーツの色が偶然にも寛のスーツと同じだとの事が公園内の街灯で照らされている彼女の証言で。
 彼女も半信半疑でしかも寛には好感を感じていたから・・そうは言ったものの暫く社を休む事になった。
 一方、嫌疑をかけられた寛は取り調べを受け、社内でもとんでもない輩(やから)だという噂が拡がる。
 事は、当然ながら人事の問題まで発展していく。
 ところが、社員全員が彼を非難している時も、麗子だけは彼の性格からそういう事はあり得ないと確信を持っていた。
 麗子には美に魔が付くように人類よりは敏感な勘というものが働く。
 結局、役員達からも寛の解雇が言い渡されたのだが、其処は役員達にも絶大な信頼を受けている麗子。
 役員達も美魔女であるのにまさか、人事の長である彼女が被疑者の肩を持つ事は無いだろうと思い始める。
 社内で会議が開かれた結果麗子の意見が、役員達の寛に対する間違った嫌疑を翻す事になった。
 颯爽(さっそう)と一同の前でその事を説明する彼女の姿勢に一同も惚れ直す。
 因みに、関係はないが、彼女は常にノーパン・ノーブラがモットーだったのだが、椅子から立ちあがった際に太腿の上の真っ白な臀部辺りがちらっと見える。
 スウェーデンの首相が下着無しで物議をかもしたのもつい最近のニュースで報道されたが、個人の自由と言える。
 



 其の頃、ゆかりも社に復帰をしていたのだが、社員の同情も余所(よそ)に、真犯人が再び同様の犯罪を行い逮捕されたとの朗報が。
 そうなれば、犯行時はマスクで顔が分からなかったのだが、警察の家宅捜査で家から犯行時と同じ色のスーツが発見され連続強姦未遂犯は事の次第を自白した。
 事件は一転し寛の無罪放免となる。其の時の付き添いは麗子とゆかりだった。
 ゆかりは申し訳なさそうに項垂(うなだ)れていたが、間(ま)を取り持ったのは麗子だった。
「貴女、今回は飛んだ事でさぞかし傷ついたでしょうね?・・其れで・・話によれば暴漢に危うく下半身迄露出されそうだったのを寛さんが・・私と同じような格好じゃ・・ビックリするわよね・・?」
 ゆかりにはその意味は分からなかったが、三人は社に無事戻り、彼の汚名は完全に払拭された。
 中には男性社員で。
「危ねえ・・俺も・・ひょっとしたら・・やばかったな・・?」
 それくらいゆかりの人気は高かったのだが、ゆかりの関心はおじさんの寛に注がれていた。
 二人がひょっとしたら、いや、しなくとも交際が始まるような気がした麗子が茶目っ気たっぷりに、彼の頬に自分の頬を一瞬だけ擦りつけ。
「あら?此れじゃ髭が濃すぎて・・くすぐったいわよ・・偶には手入れしなきゃ?でも、なかなかいい男、うん、貴方の特許なのよね・・」
 此れは・・役者としてのアドリブだ。
 



 其れからの二人はシナリオでは勿論円満に。
 無事撮影は終了した。
 二人の演技はひょっとしたら?




 しかし、あくまでも寛は麗子の付き人でもある。
 






 
 
 
 
 撮影終了後、付き人の彼と並んで歩く麗子が呟いた。
「貴方も一応人気の有る役者だし何時までも付き人にというわけにもいかないわね?彼女との此れからがあるしね?」
 何を言われるのかと緊張気味の彼に聞こえたかどうか・・?
「あの、そろそろ付き人変える事にするわ。あれはお芝居だけれど、私、そもそもノーパンなのね。風通しが良くって夏は応えられないのよ」
 美魔女の言葉はしんどい。
 驚いたのは彼だけではないだろうに・・。 


「女には大きな人道の立場から来る愛情よりも、多少義理をはずれても自分だけに集注される親切を嬉しがる性質が、男よりも強いように思われます。夏目漱石」



「忍従はロマンティックな卑屈である。芥川龍之介」



「自由な、調和のとれた、何気ない、殊に何気ないといふことは日常生活で一番望ましい気がしている。志賀直哉」 


「go straight this street by europe123」
https://youtu.be/euCnlTeo6xg

「Latin  Composed and Arranged by europe123」
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Asuntos extremadamente lamentab 邦題 極めて遺憾なaffairs

あまり書きたくないlevel。

Asuntos extremadamente lamentab 邦題 極めて遺憾なaffairs

美人女優のスカウトから撮影の一末までの話。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-29

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