奇想詩『続・射精殺人狂時代』

奇想詩『続・射精殺人狂時代』

これはある男の数奇な運命に関する覚書の続きである


超人男が世界を救わなくなったある日


醜い巨人が街に現れた


すぐに軍隊が出動した


現代兵器ではまったく歯が立たなかった


超人男はセックスをしながら


テレビ中継でその様子を見ていた


醜い巨人の顔はどことなく超人男に似ていた


醜い巨人は政府機関に接収された胎児瓶から生まれた怪物だった


母親を救うことのできなかった超人男と


母親を死に追いやった世間を抹殺しに


醜い巨人は街へとやってきた


醜い巨人を倒せるのは超人男しかいなかった


超人男はセックスを済ませてから街へ向かった


醜い巨人と超人男の力はほとんど互角だった


醜い巨人の四肢は引き千切られ


超人男も片腕を失った


死闘の末 醜い巨人は力尽きた


彼ら親子の戦いによって


街はことごとく破壊され


大勢の人々が命を落とした


超人男は世界を救ったと同時に世界を破壊した


超人男にはもう何も残されていなかった


超人男は政府に捕らえられ


パイプカット手術を施された


すると超人男の力が失われた


超人男はただの男になった


ただの男はつぶやいた


「人生はひとつの大きな冗談さ」

奇想詩『続・射精殺人狂時代』

月刊ココア共和国2022年8月号掲載作品(佳作集)

奇想詩『続・射精殺人狂時代』

月刊ココア共和国2022年8月号掲載作品(佳作集)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 成人向け
更新日
登録日
2022-12-11

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