ピザ生地

本当はこの時じゃないんだけど

先日、ピザ生地を作ったんです。ピザの為の諸々を準備してたんで。シーフードとか、ピザ用チーズとか。強力粉とか薄力粉とか、砂糖とかドライイーストとかオリーブオイルとか。諸々。
で、果たしてこれが正しいピザ生地なのかどうかというのは私にはわかりません。ネットで三つくらいピザ生地の作り方を見て、それを参考にしてまず作ってみて、で、それを何度かやってるうちにどんどんと自己流になってきたというか。まあ、自己流って言ってもあれですよ。
「レシピによって、強力粉と薄力粉の配合の割合が違うなあ。でもなあ、強力粉だけ無くなって薄力粉が余っちゃうみたいなのは避けたいなあ。どっちも同じ速度で無くなるようにしたいなあ」
って。だから強力粉も薄力粉もどっちも同じくらいの分量を配合しているだけですけども。後は、何度かやってるうちに気が付いたんですけども、ピザ生地ってまあ、必要なもの全部ボールに入れてね。それで水入れて練って。んで、存分に練って、丸くして、ボールにラップして、放置して。あとは次の日まで放置なんです。そんで、次の日見た時にそれが膨らんでいたらいいんです。膨らむんです。膨らんだら完成です。で、膨らむんですよ。ピザ生地って。大抵。どんだけ適当にやっても膨らむんです。私みたいなもんが適当にやっても膨らむんです。あれって。
「あ、やべ、水入れすぎた」
って思って、失敗したって思った時もありました。風呂上りに保湿クリーム塗ったみたいな感じの。テカテカのびちゃびちゃなピザ生地をこさえた時もありました。でも、次の日みたら膨らんでました。膨らんだら後はね、焼いたら、伸ばしてオーブントースターで焼いたら、ピザ的なものを乗せて焼いたら焼きあがりますからね。
ドライイーストと砂糖さえちゃんと入れたら、膨らむんですよ。ピザ生地って。ドライイーストとドライイーストがちゃんと機能するように砂糖入れたら。もう出来ます。ドライイーストがね、食べるんですって。砂糖を。そんでそれが発酵だか何かになるんですって。だから、ドライイーストと砂糖入れたらできますから。分量とか全然気にしなくなったのはそれが理由でもあります。
「膨らむなあ。別に膨らむんだなあ」
って思って。あんなにびちゃびちゃで、失敗した。さすがに失敗したと思ったのに。膨らむんだなあって思ったから。
そんな私的には簡単にできるピザ生地です。それを先日久々に作ったんです。
で、その時に今までは無かった初めての経験だったんですけども、久々だったからなのかな。久々に作ったからなのかな。ピザ生地をね、練ってる時です。練ってる時でした。ボールに強力粉と薄力粉とドライイーストと砂糖と塩とオリーブオイルと入れて、それに水を入れてさ。練ってる時に、一押しごとに、一挙手ごとに、
「……」
なんか、嫌なことを思い出したんです。ピザ生地を練る、一挙手ごとに。混ぜて、上から押し込む、その時に、それを一回やる度に、なんか、嫌な事。昔の。嫌な事。記憶が。
「ああ……」
思い出してきて。脳みそから。記憶野に出てきて。
例えば、子供の頃の馬鹿な自分とか、学生時代の馬鹿な自分とか。千葉に居た時の馬鹿な自分とか。埼玉に引っ越して着てきたばかりの頃の馬鹿な自分とか。そういうのが、一挙手ごとに。ピザ生地を上から押し込むごとに、出てきて。記憶に。記憶の中の視野の部分に。出てきて。なんか、走馬灯みたいに。なんか、なんでか知らないけど。なんか。出てきて。

だから、あれですね。そういうので嫌になる度に、限界になる度に、あああああああってなって、大声出して包丁振り回してました。部屋で。ゲロ吐きそうでしたね。嫌で。嫌すぎて。でもゲロは我慢した。良かった。

ピザ生地

ピザ生地

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-08

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