Una hermosa geisha de lejos   邦題 遥かな・・美しい芸妓

Una hermosa geisha de lejos   邦題 遥かな・・美しい芸妓

京都では芸子というより、「芸妓」「舞妓」となる。

電車の停留所の辺りに立っている着物姿の美しい女性に、気付いた時・・身体が震える程・・驚いた・・。
 




 三田剛は所謂芸術家を名乗っている。
 元は、法律専門職であったが、其のお陰で彼女のお座敷に何回か接待されるうちに、彼女に顔を覚えて貰えるようになった。
 彼女と個人的にも交際するにつれ、贔屓客のlevelよりは少々良い印象を持ってくれるようになったようだ。
 親切な法律家であり、芸術家といっても写真家であったり物書きであったり。
 平安時代の庭園のような美しい背景は、彼女の艶やかな美しさを際立たせるには申し分無いと言える。
 彼女達は着物を着ていてこそ、見るものを魅了できる。今日は彼女の写真を撮るにあたり、少し変わったものを撮ろうと思った。
 常識ではありえないだろうが、着物からはだけた真白い肌を撮ってみたいと思った。
 後ろ向きに池の畔に立っている彼女は着物をうなじから腰骨まで下げ、現れた背中が印象的だ。
 最初は彼女から拒否をされるだろうと思ったのだが彼女は何も言わず、すらっとした彼女の背の滑らかな曲線を見た時、此れは絵になると思った。
 庭園に誰かがおれば、彼女の正面から見たら、此方からは写せない胸に乳房などが見られてしまうと、何か気になった。
 彼女の着物姿の写真は何度か撮っていて、そこそこの出来栄えだと思っていた。
 縁側で彼女が手すりに手を掛けているpauseを撮影したり、ワザと薄暗い長廊下に髪に手をあてているすらっとした全身を撮った。
 全て着物も何種類かに着替え、写真集として発表するつもりだ。
 ただ、このシーンについては写真集には載せられない。且つて、この様な芸妓の写真は見た事もなく、ただ彼女の記念にと。
 其れが終わったところで、近くの茶店に行き休憩をした。茶を啜りながら、彼女の笑顔が窺えたのでほっとした。
 



 写真だけでなく物書きでもあるから、彼女の物語を書いているが、芸妓ではなく舞子の身受け(水揚げ)だ。
 そうなると、現実の彼女とはかけ離れた物語で、もう少し綺麗なものに書き上げたかったと後悔もした。
 かなり前の時代という設定の物語だから、現実とは異なる。彼女が高齢の旦那に身受けをされるというのだが、何となく実際に映像化されたものが頭に浮かんだ。
 その映画監督は、女に関しては噂の堪えなかった人だから、女優は前張りをつけて撮影に臨んだのだが、監督の指示で前張りを付けずにやらせたようだ。
 という事は女優の局部も露わになる訳で、康太が後で其の話を聞いた時には、その様な事は好ましくないと思った。
 旦那は78歳という事だが、女優を身受けするという事は今は無い、当時をしのばせる貴重なシーンとして撮られたのだろう。
 エロ映画の様なものだから旦那の身体の動きや、女優の腿に血が流れたりと、さぞかし現実そのものだったのだろうが、多少脚色して書いた。
 物語であるから、ただそれだけで無く前後のストーリーを興味あるものにしなくてはならない。 
 現実にそういう事が行われていた時代背景を交え、女優、すなわち舞子の哀愁が感じられるものにした。



 この国では、男尊女卑が大昔からの決まりの様なものだった。
 何時の時代にも位の高い男には何人もの妾がいた。江戸の将軍のような大奥のようなものもある。
 其れが、明治の勝海舟や伊藤博文などにまで、何人かいたと記されており、戦後昭和33年の売春禁止法の時代まで女性は男の言いなりのようなもので、逆に女性の方も大奥のように女性が大勢いれば、何時になったら自分の順番が回ってくるのかと思っていたのかも知れない。
 そうしてみれば、人類の男女にはそういう事が通常であったと思える。
 そればかりか、現在でも結婚をすれば夫婦の行いとされるのだが、康太は若い年頃にはそういう事に何も感じる事は無かった。
 ところが、此処一年以上、何処からとも言えぬ声のようなものが聞こえだし、そのうち・・特におかしくは思えないようになっていった。
 暗示というものだと思うが、宇宙空間のある文明から送られて来ると思っている。
 其れは、時には予言のように思える事も有り、ピッタリの時期ではなくとも其の通りになる。
 ただ、人類にとり必ずしも良い事ばかりでは無いのが気にはなっていた。
 しかし、意図もせず送られて来るのでは拒否も出来ないのが現実だ。



 美月と康太の関係は単なる贔屓を越え、仲の良い男女として続いている。
 彼女も芸妓としては評判の艶やかな美しい女性だ。芸妓でもいろいろな将来があり、各界の何人もの男達との派手なスキャンダルの挙句50代でお金持ちとおさまったとか、80でも芸妓や師匠として名を残している者もいる。
 そうで無ければ、今は水揚げではなく、一般人と同様に結婚をし家庭に入るだろう。
 一般的な結婚となれば、花街とは関係が無く、女性は家事に男性は仕事に、子供をもうけと、芸妓であった事も何時の日にか遠い過去の事になるだろう。
 しかし、美月のような美しい女性は目立つのだろうと思う。二人の関係も、一応彼女は師匠という身分を経過し、結婚を、と考えている。




 康太は何とか物書きや写真家とし収入を得ている。最近の物語は児童書から、推理ものや過去の花街での想い出など多彩に亘っている。
 普通の毎日が続くように思えた。
 しかし、おかしな事が起こることになった。


 
 相変わらず美しさが衰えない彼女と寝所で身体を並べた際、彼女の美しい顔を見ると、身体が反応しなくなった。
 康太は困ったと思い、いろいろ調べてみたが、理由は分からない。
「悪いな・・どうしてしまったのか・・?」
 彼女は其れでも、心配をしてくれ。
「大丈夫よ・・その内何とかなるわよ・・」
 しかし、やはり、身体は反応をしない。かつての映画の事を思い出した。
 あの旦那は確か78歳だった筈だ。其れが・・自分は・・まだ・・若い・・。
 一体、どうなってしまったのかと悩み始める。
 花街時代の芸妓達で結婚をした女性で子供が出来たと聞いたが、至極当然だ。
 



 どうして、今頃こんな事に気付いたのかと言えば、二人の間にはそういう関係は無かった。
 其れで、今まで気が付かなかった。
 康太も、何時の日にか彼女とと思っていたせいか、そういう意味ではのんびり構えていたのかも知れない。
 彼女が其のことにつき、康太にあれこれ言う事は無かった。
 彼女も心配をしてくれ、寝所につくと、康太の身体に触れ、彼是と工夫をしてくれたのだが・・反応は無いままだった。
彼女は、直接は言わなかったが、健太のモノ周辺の分析データを取る。そして言う。
「極めて原始的な造りだわね、犬って知っているでしょう?あの雄は此の棒状の先に引っ掛り外れない様な突起をつけています。抜けないように、でも、構造は同じですね。
 其れに、女性の受け口は主として出産の産道に適して作られていますから、見た目が人類には興味が持てるのでしょうが、宇宙の文明の住民から見れば、単なる渦巻き状のholeとしてしか思えない。
 決して、色気も何も感じる・・まあ、そういうものに感動するように動物は創られたものですから。
 私達は・・ああ、気に障ったら御免なさい、頭脳のやり取りで上限に近い感情を交換しますから、肉じわや棒の塊では何の情感も感じません。
 本当に、愛する感情と共にその実感を感じるには、何方にしても頭脳が大きく感ずることが必要です。
 形状や状況からの感情の起伏によっては一時の満足しか感じないし、本来の愛情とは違った満足に繋がる・・ですから・・人類は・・相手を変えても・・不倫や浮気・・強いては暴力的な強制猥褻などが多発するのでしょう。
 小野小町という美しい女性の事が謎に包まれているのもそういう事に関係があり、彼女は並みの美女でなった理由は、此の惑星が想像していた美女を遥かに超えた美しさと能力を持ち合わせていたからです。
 康太は或る晩彼女に話をした。
「・・君、美しいのだから・・此れからだよ。別れて他の良い男性がいたら・・結婚を・・?」
 彼女は・・ただ・・首を横に振るだけだ・・。
「・・しかし・・君も苦しいだろう・・生身の身体だから・・其れに其の美しさなら余計に持ったいないと思うのが普通だよ・・」
 



 康太は彼女に・・。
「何処かに泊って来てもいいよ・・誰か真面目な人が見つかればいいけれど・・おかしな女性だと考えられたりしたら・・或いは夜道で襲われたりしたら・・」
 次々に悪い事ばかり浮かんで来る・・。




 突然、あの声が聞こえた。
 相変わらず・・以前と特段変わっている様には思えない。
「色々な事が出来るのなら・・何とかして貰えないだろうか・・?」
 其の声は黙っている。



 其の晩も二人で寝ていた時、声が聞こえた。
「物語は何処まで進みました?」
 いきなりおかしな事を言い出したのに・・何だろうと思う。
 隣に寝ている彼女の顔を見る。
「・・どうかしたの・・?」
 其の声に聞き覚えを感じた。
 先程の声に似ている。
 もう一度、彼女の目を見た。 
 彼女は、今まで工夫をしてくれていた康太の下腹部に触れた。
「・・貴方は困るだろうけれど・・私は・・無くてもいいのよ・・?」
 いきなりそんな事を言われても何の事か分からない。





「其の声・・似ているんだな・・?」
「・・そう?何時頃から聞こえ始めたの・・?」
 そう言われ、考えてみれば・・彼女を見つけてからだ。
「目を瞑って・・ゆっくり深呼吸をして・・?」




 頭が勝手に色々な事を考え始めた。
 其の中に・・彼女を庭園で映した映像も含まれていた。
 腰まで下げて立っている彼女の滑らかな背中は真っ白だ・・。
 その白さが・・次第に・・目の中で膨れていくような気がした・・。
「貴方・・私の事・・好きなんでしょう?」
「・・ああ、其れはそうだ・・他に好きな女性はいない・・どんなに綺麗な芸妓でも・・」
 そう言ってから・・あの頃、もう一人美しくて艶やかだと思った女性の事を思い出した・・」
「・・その人・・まだ好きなの・・?」
「・・いや・・」
「あまり美しいと思ったのはね・・私と同じ声の持主なのだから・・?」
 全く意味が分からなかったが・・。
「いや、あの中で二人だけ・・美しいのに・・年を取りそうもないなと思ったんだ。それが・・何か?」





 美月は目を瞑ると。
「其のまま・・目を瞑っていて・・今、送るから・・?」
 脳が痺れた様になり・・彼女のあの時の映像が再び現れ始めた。
「・・もう準備はできたわ。一緒に行きましょう・・あの声の惑星に・・その代わり・・ひょっとしたら・・此の惑星に何か変化が起きるかもしれないけれど・・心配しなくて大丈夫・・でも、私達は時間が過ぎていくのが遅く感じる筈・・実際の時間の何億倍の速さで移動するから・・私の事が本当に好きなら・・一緒でもいいでしょう?人類の動物としての快楽は・・味わえなくなるけれど・・また異なった・・頭脳に快楽が届く筈・・」 



 進化していない肉体・水分・酸素は重要ではないという。
「ある惑星では、コンパクトな頭脳が幾つも備わっていて・・肉体という此の惑星の成分はほぼ無いに等しい・・。言ってみれば、原始的な肉体は退化し、肝心な頭脳だけが幾つかに分離して其々異なる指示を出す事が出来るから・・余計なものがなくなり・・最終的にどうしても必要なものが残っている。病などは人類の肉体だから発生するので、頭脳には支障は生じない・・しかも計算一つにしても・・とてつもなく速いから・・時間の進み方とあわせ・・遥かな彼方からtunnel積算移動が可能だという事で・・私がこうして会いに来たの・・貴方を見つけたのは・・貴方より先だったの・・ 」




 康太は、でも、好きだという事は大事だと思うが、其れを此の惑星では交配による快感と思っているのかな・・?
「・・もっと素晴らしい快感は頭脳から頭脳に伝わるの・・肉体ではないから・・刺激も強いわよ・・」




 そう言った途端に脳に快感が伝わってくると・・周囲の景色は既に見えない程の速さで変わっていった。



「あの・・君の芸妓姿・・君と同じくらい好きなんだ・・もう一人は・・?」
「・・同じ芸妓よ・・だから貴方がいいなと思ったのよ。心配しないで・・私が貴方を一生守ってあげる・・安心して・・私も貴方を好きだから・・着くまで・・美しい芸妓の映像を見ていて・・」
 確かに・・太陽系の距離の何億倍の画像が・・見えない程だった・・。



 何れにしても、今、美月は傍にいてくれる。
 そして・・艶やかな美しさは何時までも変わりそうも無かった・・其処で・・。
「出来れば・・今まで通りの京都の芸妓でいてくれれば嬉しいし・・愛しているよ・・何処まで行っても・・」




 京都の花街の住民と何も変わらない女性の艶やかな美しさは・・何も変わりがないようだった・・。
 美月は真白い顔に、小さな紅のままで、微笑んでいた・・。</span>
「by europe123」」
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Una hermosa geisha de lejos   邦題 遥かな・・美しい芸妓

美しい芸妓をmodelにした男の話。

Una hermosa geisha de lejos   邦題 遥かな・・美しい芸妓

あまりにも美しいものは宇宙空間でしか見れないのだが、其れに遭遇した男。 宇宙から聞こえてくる事を、「暗示」という。 先ず、予言者で無ければ聞く事は出来無いだろう。 芸妓と男の行きつく先は、動物から進化していない人類の交尾ではなく、宇宙の文明の住民との結末に落ち着く。

  • 小説
  • 短編
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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-05

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