異世界トリップ

[ 400字小説 / 04 ]

 
バイトからの帰り道。一匹の子猫に遭遇した。まだ目も開いていないような小さな子猫。周りを見渡しても親猫の姿は見えない。
「ちょ!」
その時、一匹のカラスが子猫に襲いかかった。弱った子猫を掴んで飛び上がろうとする。カラスが道路の真ん中まで子猫を引きずって行ったところで、俺は道路に飛び出してカラスを追い払った。

カラスを追い払うのに成功し、慌てて子猫に近づいたその時、大きなトラックが目の前に。思わず目をキツく閉じたが、思ったような衝撃は襲って来ない。恐る恐る目を開けたら、俺は見知らぬ川のほとりにいた。
「マジかよ……」
どうやら異世界に転移してしまったらしい。その川は仄暗く、対岸では先週亡くなったはずの親友が手を振っている。

異世界は異世界でも冥土に来てしまったようだ。ということは、異世界転移だけじゃなく、転生も経験できるのだろうか。
ただ、子猫も一緒だったことに俺は少しだけ胸を痛めた。

異世界トリップ

2022/10/09

【備考】
こちらは上限400字のショートショート投稿サイト『ショートショートガーデン』に『野辺りな』名義で投稿したものです。活動の中心は創作系SNS『くるっぷ』とTwitterで、Twitterに140字小説や54字の物語を投稿中。その他、短編系の投稿サイトも利用中

異世界トリップ

助けた子猫と一緒に転移した先は……

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-05

Copyrighted
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