una mujer que es demasiado buena 邦題 良過ぎた女性

una mujer que es demasiado buena 邦題 良過ぎた女性

小説を書くにしても、好みがあり、中には人の書いたものは認めたくないという人もいる。小説には絶対にいいねを送らないで、他のものに義理付けだ。
 部員の岩田浩二が言っていた。
「結婚サイトに登録したが、ブログの様に義理でいいねを送る事は無いのだが、いたずら半分で送って来る者がいて、管理者からメーるで「誰さんから・・いいねが来ています・・早速質問をしてみよう・・」が来るのは良いのだが、其の通りにしてみれば、プロフィールが公開されていません。何だこれはと呆れてしまう」
 加藤裕は其れを聞くたびに。
「世の中、そんなものだよ。真面目な人間なんてそんなにいないよ。やめたほうがいいんじゃない・・」と答える。
 戦争も至る所で勃発したり、国内でさえ訳の分からない連中が議員になっていて、どう考えても得策ではない政策がはびこったままだ。
「世間なんてそんなものじゃないの・・所詮人間のやる事は・・何処か間の抜けたところがある」
 浩二は、
「そう言われても・・彼女がいた方が楽しいから・・」
というから、社内や、何かの趣味の会などで探してみたらというしかない。
 浩二はまだ二十代だ。
 此れから幾らも見つかるのではと思う。若いという事は、何よりも有利だ。裕が同じくらいの時には毎日のように飲みに行ったり、休みの日に遊園地に行ったり、暇では無かった記憶がある。
 男女に限らず相性はある。駄目な相手には、幾ら粘ってもダメで、切り上げた方が良いと判断すればやめれば良いだけだ。
 若い時には、少し話していればすぐに打ち解ける事が多い。自然に互いの会話が繋がっていき、悪い方向にはいかず、一回だったり、二回だったりするうちに、何時の間にか・・じゃあ、飲みにでも行こうかという事になる筈だ。
 其れが、途中でというか第一段階で、此れは駄目だなという事もある。何も、駄目な方は斬り捨て、脈がありそうな方と話を進めれば良いだけの簡単な事だ。
 裕は、そんないたずらなど、とんでもないから、忘れて、次に期待したらと言った。
 年齢が上なら、相手にされない事は当たり前だが、若いのにという事は、何か原因が無い限りあり得ない、暗いとか・・話下手だとか・・。
 浩二には、次にアタックして・・とは言ってもいいねを待つしかないか?来る事を期待するよと励ました。
 ブログの義理いいねと異なり、必ず来るとは限らない。彼の事は其処で考えるのをやめた。




 社が終わり、妻に電話をしてみた。
 ロケ先に行っていたから、暫くは会えなかったが、相変わらずの様子で、特に何も変わった事は無かった様に思えた。
 二人の唯一の縁というものがあるとすれば、同じ大学で卒業間際に二人で協力しあったということぐらいだ。
 其れから、夜になれば彼女も忙しい女優業だから、遅くなる事もある。
 増してや、業界には二枚目も御曹司も幾らもいるだろう。彼女だって良家の娘だ。
 結婚前に、無理かなと思って、妻に言った事がある。仕事との両立は難しいかも知れないが、僕も出来るだけは手伝うが、やはり、或る意味主婦でいて貰いたいと。
 というのも、結婚以前にある女性と出会いがあったのだが、彼女は慶応病院の副院長で仕事が忙しいから、其れには口を出さない事など幾つかの条件を提示した。
 最も、拘ったのは、仮に将来、裕が介護が必要になっても、面倒は見れない。
 出張はあるし、夜遅くなったり、夕食も仲間と済ませて来る事も多いからと言われた。
 其れで、美人ではあったが、其れでは夫婦になった意味が無いのではと、何方からともなく通らかざるを得なかった、嫌な思い出がある。
 夕食にしても、勘ぐれば誰と一緒に食べているのか?出張も泊りなら・・おかしな事だって有り得る。
 近頃の女性は更に輪をかけたように遠慮なく自己主張が多いのが特徴だ。


 待ち合わせ場所は・・新宿駅の京王デパートの宝飾品売り場だ。学生時代はハチ公前が多かったが、彼女の顔が知れ渡っているから、デパートにした。
 やがて、マスクのサングラス姿の女性が此方に近付いてくる。途中で手を振ったから間違い無いだろう。
 其れに、学生時代の二人の面影は残しているから、先ほど浮かんだ女性とは全く異なると思う。
 カフェに入り二人の会話は、locationでどんな事をしたのかから始まった。専門的な事は言われても分からないから、何かいい事や悪い事があったかを。
 裕が期待している事は、映画の筋書きなどは分からないから、ロケ先での、良い事や嫌な事があって・・と妻の気持ちに参加してみる事だ。
 気に入っている役者はいるようだが、特に役者同士というだけで、其の役者にも妻はいるようだ。
 自分の立場で考えれば、何人か飲みに行ったりしている女性の事につき、特にこの女性は綺麗だと思っても、拘りは持たないのと同じだ。
 
 
 

 
 



 
 話は次第に佳境に入っていく。
 彼女が業界の話題から逸れ、学生時代の苦労話に代わった時、二人は当時の二人に戻っている。
「ねえ、やはり、ロケ先で意気があったなどあったの?この前会った時に・・何か思い掛けない失敗から、却って和やかな雰囲気に代わって行ったって・・」
 口には出さないが、京子には、芝居で濡れ場だろうと何だろうと、演技には集中するだろうが・・と言った事がある。
 長い付き合いの彼女だから、そんな事も言える。業界でも夫婦円満な家庭は其れを守っている。
 役者は役柄に徹する事が大事で、私情を挟んではという事は当然だが、案外、最近は其れが乱れているようだ。
 京子の方からも、貴方も詰まらない事に係わらないようにねと言われている。仕事柄、幹部として接待が多いし、綺麗どころに会う機会が少なくはない。
 水商売なら、切れ目はつけやすいが、素人ではうっかりすると、一時の・・よけいな事になりかねない。
 そんな時には、京子の顔を思い出すのと、あの女性の条件を考えぞっとしない事もある。
 京子は長い付き合いから、裕が考え事をしだすと。
「何か、考えている事があるの・・私に出来る事なら・・言ってみて・・」と。そこまで言ってくれる妻などいるのだろうかと思う。
 そもそも、二人が交際しだした時に・・彼女という女性は本当に優しいという事に気がついた。
 其れが、家事や料理は得意だという女性はいるだろうが、其れに更に厄介な仕事と両立しなければならない。
 無理はするなとは言ってはあるが・・気丈な性格で、弱音を吐きたくないのだろう。
 それどころか、近頃は裕の方が、体調に不安を覚える事があるくらいだ。




 社では本名で登録してあるから、まさか、職業までは気付かれないだろうと思う。
 其れが・・或る日、京子が会社の近くまで来た事があった。銀座通りのデパートで並んで歩いていた時に、記者に後をつけられた。
 おまけに、社の女性達も店で顔を合わせた。そんな時には、普通の女性の方が気が疲れないななどと思ってしまう。
 社の連中には、用があって偶然会う必要があったとは言ったが、何れは分かるだろう。
 記者は其れが商売だからしつこいのは当然だが。店の中でフラッシュを焚いた時には、流石に注意をした。
 身分証を提示し、あまり付きまとうのはやめてくれと言った。連中も其れを上手く処理したようで、裕の顔がはっきりしないように撮っていた。
 しかし、二人は逢引きでは無いのだから、おしどり夫婦と言いたかったのだろう。
 不倫ならスクープだろうが・・ネタとしては詰まらない事になる。其の後は、彼等の追及は無かったが、夫婦が共に行動するのは当然至極だ。
 社の連中には適当に・・あしらっておいた。
 浩二には、それとなく言っておいたが、上司の事だから、増してや相談相手だからと・・。
「しかし・・羨ましいですね・・」
 其の浩二が用があるという。




 二人で飲みに行った先で聞いた限りでは、ある女性と交際し始めたという事だった。
 其の話を聞いている内に・・嫌な記憶が蘇って来た。
「美人で・・役職も・・収入も・・」
 あまり・・何でも揃っているのも・・何処か欠けたところがあるくらいの方が・・好ましいのだが・・。
 酌をしながらもう少し突っ込んで聞いてみた。
「其れって、何の仕事をやっているの・・?まさか・・病院とか?」
 浩二は、驚いたように。
「あれ?よく分かりましたね・・其れで・・」
 裕は其の後は聞かなくても・・大体分かった。
 年齢は・・十五程度違った筈だ・・浩二とほぼ同年齢。
 浩二が小気味さそうにぐい飲みを一気に飲むと。
「決めようかと思っているんです・・ちょっと・・条件は厳しいけれど・・」
 裕は自分もグラスを開けると。
「其の女性って、何年か・・登録者としてずっと載っているんじゃない?美人で・・相手を選んで選んでという感じでは・・?」
 浩二は裕の空になったグラスにビールを注ぐ。 
「そう・・そうなんですよ・・性格は明るそうだし・・仕事熱心のようだし・・何か施設の建て直しをしたいとか・・」
「病院かい・・?」
 浩二は、頷きながら・・良き理解者がいたと喜んでいるようだ。
 笑みを浮かべている浩二に、
「何か・・欠点のようなものは無いの・・?」
「さあ・・無いんじゃないかな・・あるとすれば・・?」
「あるとすれば・・?」
「仕事が忙しくて・・」
「其れで・・君は・・一人ぼっちの夜もあるって・・泊って来る時もあるんじゃない・・?」
「さあ、其処までは・・はっきり聞いていないから・・」
「よく聞いておいた方がいいよ・・結婚したら・・こんなはずじゃ無かったとか・・?何か欠点でもあった方が・・可愛くていいくらいなんだがね・・?」
「・・じゃあ、加藤さんの奥さんにも・・まさか・・女優さんだから・・欠点など無いでしょうし・・あったにしても・・家事が苦手とか・・そんなていどでしょう?」
「・・うん?男好きで・・泊ったりするんだ・・」
「ええ?そりゃ、何処かの二枚目の役者さんなんかに・・ですか?」
「・・ああ、そんなところかな・・二枚目じゃ無いようだよ・・よくは知らないが・・ブ男らしいよ・・」
「泊まるって・・ホテルでしょうね・・そりゃあ・・」
「・・うん、其れが違うんだな・・僕の隣・・いや、冗談・・」




 帰りに千鳥足の二人はまだ話をしながら・・歩き・
「・・君には・・言いにくいけれど・・その女性やめとけ・・」
 浩二は一瞬ふらっとした。
「ええ・・?どうしてですか・・?」 
 裕は酔ってはいない、酒は強い。
 浩二の目を見ながら。
「それ・・僕が前に付き合っていた女性だよ・・よくホテルに行ったりね・・そんなの嫌だろう・・?」
 浩二は驚きを超え・・声も出なかった。
 其れは、まるきし嘘だ。やめさせるための口実・・。




 朝早く出勤してしてきて・・二人が挨拶をした時・・浩二が、頭を掻きながら。
「加藤さん・・破談になりましたよ・・僕に、いろいろ条件を出してきて・・出張って・・泊るみたいですよ・・院長と」
 此れで、言いたい事は言ったが、其れで良かったかは・・別に、後悔はしていない。
「・・君は若いんだから・・まだ幾らもあるよ・・お似合いの相手がね・・少なくとも・・君の事を思って、自分の事よりも優先して大事にしてくれる・・」




「加藤さん・・決まりましたよ・・今どは固い・・家事は得意で料理は得意だし・・」
 裕は笑いながら、白板に、直帰と書き、地下鉄銀座駅の階段を下りて行った。

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