磁場

とりあえず書きに来ました。

今年の十月の訳あって初旬、実家に帰省して、関東圏に戻って、また実家に帰省して、関東圏に戻ってっていう事をやったんですけども、その際に秋田駅から地元の最寄り駅に至る電車に乗ったんですけども。いやまあ、そら乗るんですけども。
そのローカル線っていうと失礼かもしれないんだけど、まあとにかく、その電車内でずっと寝てたんですよね。私。ついでに言うと姉も。あ、姉と二人帰ったんです。姉と二人で行ったり来たりをしたんです。父が死んだもんですから。
その電車内で、二人でずっと、寝てて。家かっていう位。ここは家なのか、家の延長か。っていうくらい二人して延々と寝たんですよね。電車内で。新幹線では寝なかったのに。その電車内で。延々と。
で、あれは何だろう。何だったんだろう。あの時のあれ、あの感じは。って今思い出すと、父の死よりそっちの方が気になってきてて。
それで思い出したんですけども、子供の頃、学生時代かな、秋田に何かの用事で行った時も、あの電車で寝てたなあ。ってそんな事も思い出して。帰りなんて口開けて寝てたっていうから。その当時の一緒に行った知り合いに言われたんですけども。そういう事。
だから、思ったんですよね。
「あの電車何かあるのかな」
って。そんな事。
行きの、実家に戻る時なんて多少まあ、緊張感とかあったし。父があぶねえっていうから。そんで二回目は父が死んだっていうし。だから姉と二人で、弾丸トラベル的に帰ったんです。喪服とかどうしようとかさ、喪主は誰なんだとか。連絡はどこにしたらいいんだとか。色々あって。だから、緊張もありました。お葬式も久しぶりだし。あと父親だから。実の。実際どうだか知らねえけども。でも一応はその人の精子で出来てるから。その人の精子由来で出来てるっていう話だから。で、その精子の人の生死だから。
だから、新幹線まではすごくこう、気を張ってたっていうかなあ。何だろう。自然と。そういうスタンスっていうか。未体験ゾーンに対しての不安。こう、想像してしまう不安。頭が勝手に想像しちゃう不安。
そう言うのがあって、眠れない。みたいな。そういうメンタルで私も姉も帰ったんですけどね。
その電車に乗った途端。
もう、布団敷いて寝てるんですか。っていう位二人してグーグー寝てしまってですね。
危うく地元の駅で降り過ごすところだったし。
だから、ね、今思うとおかしいなって思うんです。あれなんだったろうなって。父の葬儀がつつがなく終わって、焼いて骨になって墓に入れて、無事に終わった事も相まって。あとそれなりに時間が経過したことも相まって。
「あの、あれ、電車のあれは何だったんだろうなあ」
って。思うんですよね。
私達家族だけが、一族だけが眠りに落ちる磁場かなんかなんじゃないかなって。そういう作用が働いていたんじゃないかなって。抗いがたいそういう何か、そういうのが働いていたとしか思えないんですよね。
本屋に行くとトイレに行きたくなるみたいな人いるじゃないですか。そういう感じで。

磁場

磁場

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-02

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