バッハよ オルガンよ 不在よ
バッハよ そのそのオルガンを弾く指をとめておくれ、
あなたのオルガン音楽はいつもわたしを狼狽えさせる、
光と打ち「我」という肉を神経で包含し一つの神経と剥く、
バッハよ あなたの音楽はわたしをまるで跪かせるのだ。
バッハよ そのオルガンを弾く指をとめておくれ、
あなたはわたしから「我」を投げだそうともするようだ、
あなたはわたしからわたしを薙げるように刈るようだ、
手折られる花と摘む如く剥ぐばかりか、静謐に凪ぐわが身なんだ。
バッハよ そのオルガンを弾く指をとめておくれ、
嗚バッハよ そのましろく叩く不在と満ちみちる、
オルガン弾く指の天揺れる不在というすべてをやめておくれ、
バッハよ そのオルガンを弾く指をとめておくれ、
亡きひとの音楽ははや亡きけれど、黎明と在りそれ不在、
あなたはわたしを旋律聴く魂という不在と化し、結ぶつもりか?
バッハよ オルガンよ 不在よ