線描画

いつ書いたかか不明です。

 朝、ふかみどりのふっくらと柔らかい夢にうずめていた頬をあげるようにベッドから躰を起こした詩人は、ましろくうつろうレースカーテンをあけはなって、そこから射しこむ、黎明のはっきりとした透明性を、いぶかしく想うことから生活をはじめるのだった。
 くっきりと輪郭を曳く物質たちは、こんなにも朦朧としてみえるのに、どうして朝の光は、輪郭どころか如何なる線も不在しているのに、こんなにも明瞭に、しかも硬く死のように冷たいのか。

線描画

線描画

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-11-30

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