透明な水
精緻微細 無垢なる硝子細工熔かした如く、
清む透明をしていらっしゃる さらさら清楚な水音だ、
いきれは冷たく、きんと硬質な優美の星が線と曳くよう、
扨て グラスに注ごう、宝玉のような氷を容れて。
立ち昇る香気、純粋な水の硬質な冷たさ、
シトラスやレモンですら、こんな湧水にはナンセンス、
不純を剥ぎ落した如く、水晶の燦爛な光の翳、
屹度 これは究極の清水、夢の湖にも汲めないそれ。
それでは乾杯。私は独りで杯を掲げ、
ぐいと飲み干し──楚々たる透明な口当たりを
想像していた私、銀の散り灼けるような痛みに喉はわななき、
眸、紫の吐く炎に刹那で轟とけぶる、きよらかな水晶とは、
穢れたわが身には毒よりも病的、アルコホルよりよっぽど酩酊させる、
清楚とは──瑕負う魂の険しき陰翳、血飛沫、赤悪酒、苦き不断の闘い。
透明な水