電車
私にとって電車というものは、私を運ぶバッグである。誰かが私を、バッグに、他の人たちと混ぜて入れて、歩く。その人はとても大きくて、歩幅が大きいものだから、私は速く移動できる。ゆらゆら揺れるけれど、もう慣れた。私はその人に身を任せて、バッグの底に立つことができる。ときどきその人が小石にぶつかりこけることがあるけれども、私は、いい具合に一歩足を踏み出したり、後ろに後ずさったりすればよいだけなので、大丈夫なのだ。
私はその人のバッグを拒否することがある。
「きょうは、むり。」
特に、2日間の天国が過ぎてからの、朝。
5回くらい拒否したことがある。
でも平気だ。その人は待ったりしない、スタコラサッサと決まった時間になると行ってしまう。バイバーイ。
私にとって電車というものは、私の白馬の王子様である。彼が私をお姫様抱っこして、歩く。その人はとても大きくて、歩幅が大きいものだから、私は速く移動できる。ゆらゆら揺れるけれど、もう慣れた。私はその人に身を任せて、大人しくしがみつくことができる。ときどきその人が小石にぶつかり、こけることがあるけれども、私は、彼に落とされることはないので、大丈夫なのだ。
私はその人に置いていかれることがある。
「きょうは、むり。」
特に、私が本当に彼を必要として焦っているときの夕方。
5回くらい拒否されたことがある。
でも平気だ。私は待てばよいのだ。スタコラサッサと決まった時間になると行ってしまう。バイバーイ。
私にとって電車というものは、私のツンデレ王子様である。彼が私をお姫様抱っこして、歩く。その人はとても大きくて、歩幅が大きいものだから、私は速く移動できる。でも彼は、計画に沿った動きしかしない。彼は、冷酷なのだ。ときどき彼が小石にぶつかり、遅れることがある。私は、そのとき彼が私を抱っこしてくれることを知っているので、大丈夫なのだ。
電車