una historia brillante 邦題 恰も煌めくかのような事件簿
ご存知警視庁の職員の活躍を新聞記者が追う。
飯田晃は幕張メッセで開かれている一般社団法人日本包装機械工業会主催の「JAPAN PACK 2019」を見学に来ている。
晃はA新聞社の社会部の記者で、今日は担当記者の河合澄夫の代わりに取材をしている。
此の催しでは、包装機械、包装資材、包装材料加工機械、製菓製パン・食品加工機械、医薬・化粧品関連機械、検査機・試験機、製造加工機器・包装関連機器、コンポーネント、包装用ロボット、流通関連機器、環境関連機器など様々なものを見る事が出来る。
スーパーやコンビニなどに陳列してある食料品その他の包装資材に興味があったのでと言うのが表向きの理由だ。
話は先週に遡り、晃は都内の或るホテルで起きた事件を調査・取材していたのだが・・、先ずは其方の記事は次の様なものであった。
「・・十月二十五日の朝刊。Tホテルの客室で二十四日午前十一時五十分頃男性が死亡しているのをハウスキーパーが発見し、ホテルから警察に通報・・」
この事件を担当する管轄署は丸の内警察署だが、何故か警視庁捜査一課が扱う事になった。
警視庁の発表では死亡したのは都内M市にある大手のM商事会社勤務の男性54歳・・・、死亡原因は四階の客室内にいたところを銀座西五丁目のNビルの屋上から狙撃されたようで頭部貫通の即死。
被害者の所持品であるバッグからは、会社関連の書類とS包装会社の試作した幾つかの製品が載ったファイルとDummy(試作見本)が見つかった。
Nビルの屋上からは硝煙反応が出た。
使用された銃は不明。7.62mm弾が窓ガラスを破り被害者の頭部を貫通し発見された。
Nビルから被害者までの間には首都高速とJR高架線路があるが、距離は数百メートル。
何処かの軍隊等に所属していた者の犯行とも思われるが、その意味では加害者はある程度限定されるので、警視庁が警察庁を通じて外務省とも連絡を取りながら直接捜査する事になった。
晃は警視庁の表で同窓生の総務部広報課課長中多美紀と会った。
彼女は叔父が被害者の商事会社の社長と知り合いだと言う。
晃は、SATの模擬狙撃の捜査の模様を見に行った。
見慣れた顔、隠匿係の今川義元と真田幸村の二人も一課とは別に来ていた。
晃は美紀にそれとなく被害者の勤務していた商事会社から、被害者の携わっていた業務と取引先である被害者の所持品のファイルとDummyについて聞いて貰えないかと打診してみた。
美紀は同窓時代に晃と恋仲になっていた事もあったから、満更赤の他人では無いしとは思ったのだが・・。
美紀は笑みを浮かべると、「私は、現在は警察官ですからね」と前置きをしてから、口に人差し指を充てると、「実は、同じ事を、貴方だけで無く、ある人からも依頼されているから、分かり次第報告しなければならないのだけれど、其れも表向きの話では無い様だから、まあ、ついでにという事で・・」と、片手を振ると自分のデスクに戻って行った。
晃は、美紀が消えた警視庁の表示を見てから視線を上階に移すと呟いた。「そんな事言うのは、多分、あそこにいる義元さんくらいじゃないかな」
其の晩、早速美紀から連絡が来た。
「ファイルとDummy(試作品)は化学兵器用の防御Maskと防護服、其の兵器を完全密閉する容器の様で、新型化学兵器に対する対策の為に試験的に必要だったUSAのある部署からの受注だったみたい。
ああ、化学兵器と言っても色々あるんだけれど、・・・・・・・・・・・合成オピオイドから派生した・・・・・・(すなわち化学兵器)の一種で、暴露後1〜3秒以内に効果を発揮し2〜6時間意識不明にすると言われているものなど。この・・は・・・・・・・・・で使用されたことで・・・なったんだけれど、人質・・人のうち・・人が・・・・・・したことからその非致死性については疑問視されているようなの。・・・・・は事の全容を明らかにしていないのだけれど、・・・・・・カルフェンタニルとレミフェンタニルが検出された。前者はオピオイド系鎮痛剤フェンタニルのアナログ、後者は超短時間作用性の合成麻薬。効能・効果は「・・・・・・」であり、・・・・・・。だから、かなり画期的に改善された新型・・・というか、・・・・・の様なものに使用される完全密封容器のDummyだった様なの」
晃は其れでかと頷きながら、拳を握りしめる様にすると、「現代では・・・とは、・・などの・・・・・により、人や動植物に対して被害を与えるため使われる。『・・・・・・』では、・・・・・・や、それを放出する・・・・・も含むものとしていて、・・・や・・・・・などの・・・・・・を用いる場合は、・・・・・ではなく・・・・・に分類されることが多いね。此の国でもオウム真理教事件でサリンを使われたが、今時そんなものを造って実戦に使用するのはテロ組織でも無い。・・・・・・止条約に違反しない程度の ・・・・・・と呼ばれていても、・・・・・・・・・・・・・・・・・・文字通りの死亡の危険がないわけではなく、濃度や暴露時間などによるため分類は相対的なんだけれど。USAはおそらく・・・・・・の研究と対処方法の為に実験材料として使用する際の「容器」の受注をした可能性はあるな。此れはスクープと言うよりも、機密として公表の仕方は難しいな。分かった、其れで、肝心なそれらの製造元なんだけれど、何処の会社なの?」と、美紀が、「パンフに記載のあった『・・・・・という・・・などを作っている会社』らしいわ。今度の「JAPAN PACK 2019」に出品する可能性があるから、見に行った方がいいんじゃない」
「それって、兵器とは縁が無いいろいろな包装容器や収納関係に使われるモノなどの会社が出店する催しなんじゃない?・・うん?そうか、此の国の技術はハイレベルと言われている・・、あり得るな。盲点かも知れない・・」
晃が幕張メッセの中を物色していると、見慣れた顔の人物が・・。
「ああ、お久し振りですね。でも無いかな。あなたはどうして此処に来たんでしょうか?ひょっとしたら・・」
晃は、微笑んでいる義元の目を見ながら、「う~ん、記者の勘とでも・・言っておきましょうかね・・、ところでお二人共、やはり・・ですか?」と言うと、幸村が、「義元さんが行きましょうって言うもので、先程会場の案内を見たら、『・会社』のボックスはこの先ですよ。どうせ・・、そうなんでしょ?なら、一緒に、と行きますか、ねえ、義元さん」、義元は相好を崩すと、両手を後ろ手に組むなり歩き始めた。
・会社のボックスのフロントではコマーシャルレディーが、・社の製品に興味があり覗いたり質問をしたりする客の相手をしている。
電光掲示板が、「・・常識をくつがえし、・・・の未来を変えていく。 「・・」ことのスペシャリスト。 それが私たち「・」です。 時代の変化とともに、・・・・・のありかたも変わり続けています。 業界の先頭を駆けるフロントランナーとして、 これまでの常識にとらわれることなく ・・」と文字を流している。
客の殆どは・・や・・・などの関連会社や商社など興味のある人達の様だ。
幸村や義元も客に混ざって商品の一覧の中から事件に関係のある商品を探してみたが、流石に・・Protectに関する類のものは極秘なのか、展示会場には見当たらない。
晃と幸村が宛が外れたかと顔を見合わせている隣では、義元が・会社の会社案内のパンフを手に持ったまま暫し黙している。
幸村がどうしたのかと思って義元に声を掛けようと・・するまでも無く、義元が口を開いた。「殺害された・・は大手商事会社の営業部長でしたから、ありとあらゆる商品を扱っていてもおかしくはないですよね。ですから、其の会社を調べたところで埃も出ないでしょう。・・Protectまで受注を受けたところで闇勘定にすれば社内でも其の取引を知る人間はごく僅かでしょう。其れよりも直接の生産者であるメーカーの方が商品の種類からして絞り易いかも知れませんね」
其の義元が手にしている会社案内に記載された文字に二人の視線は集中した。
・会社の社長の名は「・零・」。
晃がiPhoneで苗字の検索をしたところ、・会社の本社及び営業所が網羅されている・県に九十名程、・・に九名、・・にも三名、全国でも珍しい苗字である事が分かった。
晃が美紀から聞いた話では焼津市に、案内にも本社は・・・・・から・・・に移転されたとなっている。
被害者の住まいは・・だが、・会社の営業所は・・にもある。
晃が義元を見ながら、「成程、此れが偶然なのか・・、其れとも・・」と、義元は頷くと、「ぶんやさん(新聞記者)の勘では、何か・・行き当たりましたか?」
晃は頷きながら、「私は・市にある・高校の出なんですよ。・・の大学に入学まで・市にいたので、・・・・・には詳しいですから、具体的な商品の確認に取材に行ってみますよ。・新聞社の課長や・中央警察署署長は同窓生ですから協力して貰えるかな?警察官では無いしな義元さんからも連絡しておいては貰えませんか?管轄外だから難しいかな?ところで、遺体はまだ司法解剖等で安置室ですか?」
義元が、「其れは葬儀は何時かという事でしょうか?葬儀に行けば社長の・・さんも来られるかも知れませんね。若し親族であれば・・。・・までは?私も隠密の身のようなものですからね。遺体の状況については、鑑識の織田さんでも分かるでしょう、葬儀に付いても至急確認しておきましょう」
亘は、二人の会話を聞いていたが、「其れなら決まりですか?先ずは事件に関係する取引商品は、被害者の遺留品であるパンフレットの・・Protect、つまり、マスク・・・・・・の密閉容器は・会社にM商事会社が発注した。後は取引の実態の裏付けを取るだけ。其れから、USAが試験的な目的で其の商品を必要としていて、最終的には其れがどうして殺害事件に繋がったのか?其の加害者は?・・、あれ?義元さん・・?」
義元は口に人差し指をあてると小声に変え、「・・其処にいる男、話を聞いている様ですね。私達と同じ目的で・・」と、其の男が突然ボックスの人混みから離れて早足で歩きかける。
「幸村君!」
走り出した男を、義元と幸村が追い掛ける。
晃もスクープかと思い、二人の後を追い掛ける。
男はメッセの中を人を突き飛ばしながら逃げまくる。
幾ら大きなメッセでも出口は限られている。
男は三方から追い詰められ、拳銃を取り出した。
その場の四人の動きと拳銃を見て、群衆は悲鳴を上げながら雪崩の様になり避難しようとする。
「!(ちぇっ、こいつら死ね!)」
男が発砲しようとする寸前、幸村がタックル、続いて義元が身体を押し曲げながら男の腕を捻ると、素早く手錠を掛ける。
晃のフラッシュが焚かれる。
義元が暴れる男に試す様に、「・・You had done something ridiculous!~とんでもない事をしましたね!」。
大人しくなった男と二人を見比べる様に晃が、「通じるんですね」と、義元が、「CIAですよ。実行犯じゃない。今はこんなのがうじゃうじゃ動いていますからね。舌を噛まれちゃ・・。」と言いながら、男の口にハンカチを突っ込む。
晃は、・県に向かった。
・会社には、前以てアポを取っておいたから、専務が出て、取材に応じてくれると言う。
専務は、「M商事からの発注で、何も怪しいものを提供している訳では無いですから。どうぞご覧になって下さい。警察署からも連絡があったようですが、では、出掛けましょう」と、・社のロゴが横腹に書かれた社用車でF営業所兼工場まで向かった。
工場内ではいろいろな製品に混じって、該当するモノを見る事が出来た。
晃はなかなか見る事が出来ないだろう貴重な製品を見せて貰ったが、企業秘密に係る事なので話を聞くだけで写真は撮らなかった。
専務から、「社内の会議で、これ等の製品については聞いていたが、具体的にどの様に使用するのかまでは知らず、注文通りに優れた技術を駆使してニーズに答えるのがメーカーとしての義務であるし、詳しい事は分からないが飯田(晃)さんの話から想像する限りでは、世界の平和に役に立つ・・ですか・・」との返答を得た。
事件の事は承知で、非常に残念な事だ。被害者は社長の従弟にあたり、社長は・・営業所に出張がてら、明日、従弟の葬儀に出る予定になっているとの事だった。
葬儀の件は晃も義元からの連絡で聞いていた。
晃は、製品を見る事によって事のイメージが湧いてくる様な気がしたのだが、あくまでも・・・製品だから、改めて、・・・を使用する組織や国に対する防備の研究の為に使用するのだとの思いを感じた。
被害者の葬儀には義元と幸村も来ていた。
葬儀には・社から・・営業所の所長と社長が参列したようだ。
義元が社長から聞いた限りでは、他の同業者にも声を掛けたようだが、・社の技術度を考えての受注に至ったらしいとの事であった。
葬儀の終了間際に行ったから十分に話を聞く事が出来た。
・社の現地での件については、晃が義元に報告をしておいたら、やはりM商事にあたるという事になった。
三人は挨拶をしてからM商事会社に向かった。
Ⅿ商事にはアポを取ってあったから、海外担当部門が調査に応じてくれた。
対・・空間用のものだけに高度な技術を必要とするのだが、海外でも難しいと言われている様に、結論として一社しか製造出来ない事が分かった。
M商事としては、今回の事件についてUSAの発注元に報告しているところだとの事だった。
帰りの車中で、晃は、此処まで捜査一課とは全く会う事が無かったが、その辺りに付いてはと心配をしたら、義元が上手く警察庁長官クラスの上層部から官房長官付きの奥手警視監を通して、競合はしないようにとの条件付きで命令を受けているとの事だった。
晃は、今回の事件に限らず本来は、当然ながら警察の公開発表上でしか聞けない事になっているから、その辺りは充分含んで取材する事を守り、事件の全容が発表されるまでは写真や記事も控える事を約した。
「ところで、残る疑問点は一体誰が加害者なのか?それと、今後も・会社が製造を続けるのか、それとも中止になるのか・・?」と、幸村が運転をしながら話した時、助手席の義元のスマホが振動し、ほぼ同時に晃のiPhoneも・・。
「はい、義元ですが・・、あっ・・やはり・・怖れていた事が・・、分かりました」
義元はスマホをしまいながら、幸村に、「幸村君、此れから・市まで直行できますか?私は急いだほうが良い様な気がするので・・今午後零時を過ぎたばかりですから、時間は十分にありますが・・・」と、義元のスマホの内容がどんな事だったのか、晃も自分宛に・新聞社から掛かって来た内容から、凡その察しがついた。
三人は・・高速の車中で、二人に寄せられた情報を話す事になったのだが・・。
先ず義元が運転中の幸村に、「奥手警視監からですが、・・警から連絡が入ったそうで、・会社の工場が何者かに襲われたらしいのですが、今現場は・・機動隊が取り囲んでいるようなんです。幸村君、『拳銃の用意は宜しいですか』・・ああ、運転中でしたね、失礼」と、遅れて晃が、「私にも・新聞社から連絡がありまして、現場付近の道路は封鎖されている様で、田舎町ですから、地元住民も非難したり大騒ぎになっている様ですよ」と、義元が、「飯田さん先日見学・・いや・・取材に行かれたんですよね・・」其の会話が終わるまでも無く晃が、「ええ、ですから、場所は分かります。・・インターで下りて・・号線を・に向かったところにあります、道案内は私が・・」
三人の乗った車が・・号線を進んで行くと、・・川の手前から・・号・・・・号線の辺りは・・の機動隊が全面封鎖をしている様で、進めないから、一旦近くにある・・の本社迄戻って駐車場に車を停めると、社員に車で現場まで送って貰った。
晃が見物人に混じって見守る中、義元と幸村は・・の責任者の山本警部に手帳を見せて状況を窺った。
山本が敬礼をしながら二人に説明を始めた。「ご苦労様です。今日午前中におかしな連中が三人本社に入るなり工場の所在と『容器』は何処かを尋ねながら、拳銃をチラつかせたそうなんですよ。連中はすぐに工場に向かったのですが、すぐに110番通報がありまして、拳銃を持っているとの事なんで、機動隊の出動となったのですが。あそこの工場の窓は見えますか?あの窓の隙間から中が見えるのですが、責任者の増田工場長が人質になって製品の事をいろいろ尋ねている様子が分かります。
咄嗟の判断で工員の殆どは逃げています。その際威嚇射撃があったようですが、工員に怪我は無かった様です。ああ、それで、連中はどうも・・では無い様なんですが、仲間同士で話す時には・語を使ったと脱出した工員は言っております」
義元が頷きながら、「そうでしたか、先日の逮捕した・・・の仲間か・・。いや、此れは此方の話なんですが、失礼。おそらく間も無くSATの登場になると思いますが」と、山本が、「メガフォンで投降を呼びかけたのですが、教えた番号にスマホからの連絡があり、連中の要求は増田工場長を人質にとったまま製品のDummyと製造関係の書類を持って前に止まっているトラックに乗って逃走しようという訳なんですが・・」。
幸村が工場と周りの状況を見回しながら、「此の包囲網を突破して逃げるのは無理だな。仮に逃げたにしてもいきなり海外に行くには空港まで行かなければならないが其れは無理・・、何処にも逃げようが無いでしょ。どうするつもりなんでしょう・・、あっ、義元さん、ひょっとしたら?」。
山本が、「本当は、連中は製品や書類を持ってすぐに、我々が到着する前に交番の警察官なら、発砲して逃げるつもりだったらしいのですが、増田工場長がわざと時間を掛けてそれらのものの所在を明かさなかったから、我々が間に合ったと、逃げられた工員から聞いています。暫く出方を見て、場合によってはSATの強行突入となるかも知れませんね」
幸村は晃に此処から港は近いのかと尋ねた。
晃が、「此処から・・港まではすぐですが、・内でも有名な・港ですよ・・?」
幸村が義元にその旨を伝えると、義元は頷きながら、「逃げ場と言ったら・・か無いですからねえ。・・なのは彼等にとっては却って好都合かも知れませんねえ」
義元は・語で投降を呼びかけて、「決して悪いようにはしないから」と言いながら・・・の様子を窺った。
義元は人質の交換条件を出した。
増田工場長を開放する代わりに、自分ともう一人が人質になるからとの条件だった。
・・・は最初は拒否するような素振りだったが、人質が増えるのならと考えたのか、「応じる」と返答をした。
ただ、条件は当然ながら拳銃を持っていないか身体検査をするという事で、拳銃は彼らの目の前で山本に手渡してから両手を挙げ乍らゆっくりと工場内に入り、無防備な事を示した後身体検査を受けた。
それ以前に到着していたフォアグリップとレーザーホログラムサイトを装着したMP5Kを手にしたSATと打ち合わせをしていた。
SATは更に、海上保安庁特殊警備隊(SST)にも連絡をとった。
義元と幸村が工場内に入り両手を挙げ乍ら近付いて行く。
連中は製品や書類を工場の彼方此方から集め、脱出の準備をする。
其の荷物だけでも手に持っては逃走の邪魔になるからと、人質の二人に荷物を持つように指示をしたので、二人は言われるままに荷物を抱えた。
荷物の中には工員から聞いていた余分なものまで。
普通なら此処でSATが狙撃或いは突入するところなのだが、打ち合わせどおり人質二人を挟むように・・・が拳銃を人質の頭にピタリつけながら工場の前に止めてあったトラックに近付く。
周りを取り囲んだSATや機動隊に道を開けさせると、・社のロゴが見えるトラックに素早く乗り込んだ。
トラックは幸村が運転を命ぜられて、目的地・・・まで進む。
SATを乗せた車も裏道を猛スピードで走って行く。
幸村は時間を稼ぐ様にゆっくりとトラックを走らせた。
誰の目にも・が見えて来た。
有名な・・であるから漁師が操業をしていたりするのだが、時間的に殆どの漁船は操業中で・には見慣れない原子力船が見えた。
トラックの揺れに身をまかせながら義元は以前起きたある出来事の事を考えていた。
其の出来事を報じる戦国新聞の文字が義元の脳裏を流れて行く。
「・・産の・・・・・に関わったとして・・・・・・・措置をとった・・・3隻が、その後1年間で・・に少なくとも計・回・・したことが分かった。国連が・・・・・なか、制・・・使われた・が・・を訪れ、前後には・・・・・の・に入っていた。・・が・・・の迂回・・に・・・を利用している虞がある・・・。」
義元が夢から覚める様に我に返った時、トラックは・・に到着した。
・・が二人を小突くように・していた原子力船に乗る事を促した。
二人は荷物を抱えながらゆっくりと、波に揺れている原子力船に乗り込んだ。
最後に二人を監視しながらmaddahの一人が乗り込んだ後、すぐに原子力船は港を出・沖に全速前進。
晃は、・会社の社員に送って貰って・までは来たのだが、残念ながらそこから先には進めない。
晃は突然おかしな事を思い出した。
此方に・・・高速で向かう途中の車内で、義元が幸村に言った言葉を。
「確か、『幸村君、拳銃の用意は宜しいですか』だったが、拳銃が使えない可能性は前以て分かっていたとすると・・、あれは、ひょっとすると、何かの暗号だったのではないか」と、記者の勘がそう言わせた。
・・・の中にも自動小銃を構えた・・が数人いた。
SATはSSTが用意した・・に同乗すると、遅れて後を追う。
・には・・不明の・・がほぼ・・状態で微動している姿が見えた。
原子力船は計画どおり・・に近付き並んで・した。
・から幅の広いエスカレーターが下りてくると、・・達は次々に乗り込んで行く。
二人もエスカレーターを伝い乗り込んでいく。
荷物は二人が持ったまま上がって行く。
全員が上がり終わったところで、・・が動き始めようとした時、SSTの巡視艇が猛追撃で追い付いた。
SSTからスピーカーを通じ、停止命令が出た。
・・は逃げようとしたのだが、其の前方には海上保安庁の巡視船が立ちはだかった。
小振りの砲身がぐるっと回ると照準を・・に合わせる。
SSTの巡視艇が・・に横付けされ、SATなどが乗り込んで来る。
自動小銃が火を噴くかと思われた直前、義元は幸村に何か呼びかける。
数で圧倒するSAT達の攻撃を予測したCIA諜報員達は戦闘態勢に入り、人質にまで手が回らない。
幸村が両足の靴の底の中に潜めていた超小型の催涙銃を取り出すと其の一つを義元に放ってよこした。
義元は、工場から持って来たモノの中から、小型消火器を片手に、もう一方の手には催涙銃が握られている。
機先を制しての二人の攻撃が始まった。
まさかの背後からの不意打ちに諜報員数名が催涙ガスを浴びて戦線を離脱せざるを得なくなる。
ほぼ同時に対面するSAT/SSTと諜報員達の自動小銃が火を噴いた。
転倒したCIAに二人が手錠を掛ける。
残りの諜報員も銃撃戦で次々に倒れる。
洋上commandは完全に決着がついた。
其の時、・・からSSTの巡視艇に無線が入っていた。
謎の機動部隊の目的は、此れでは無かった。
上空を航空自衛隊の戦闘機F-15(俗にUSAと日本ではイーグルと呼ばれる三十年前の機体)三機があっという間に・・。
無線からは、「航空母艦クイーンエリザベスが接続水域航行中。レッドゾーンの外側に沿って航行船舶に、即告去るように警告中・・」と、自衛隊機が航空母艦に急接近し、あわや戦闘状態に・・。
其の後二国の艦船は黙したままレッドゾーンの外をラインに沿って移動し始め、単なる示威行為でおさまった。
義元と幸村、其れに晃、おや?中多美紀も、の四人が、内幸町にあるホテルの高層レストランで飲食しながら話をしている。
先ずは義元が乾杯の音頭を取りながら、「今回のUSAによる化学兵器製造に繋がる日本の技術は守られましたね。警察庁からの非公式な情報では、USAも・テストを中断する事になったという事ですよ。技術の進歩が、逆に、化学兵器に使われては意味が無いですからね。良い物が悪い事に使われては本末転倒というもの、・社はその技術を世界に示した訳ですから、今後も平和産業のリーダー格として先陣をきって行く事でしょうね。まあ、何れにせよ、丸く収まって良かった。其れでは乾杯!」と乾杯の後、美紀が飲み干したグラスをテーブルに置いて、「化学兵器は禁止されているもの。ベトナム戦争でも使われたけれど、結局子供達の様な弱者が一番被害に遭う事になるのだから、世界から追放すべきね」と言えば、晃が、「其れはそう幸村さん、お手柄だったじゃない。CIA相手にまともに戦ったんだから、調理係も大したものですね」、グラスを片手に持ったまま片手で頭を掻く様な仕草で幸村が、「偶々ですよ。話は飛ぶけれど、最後に自衛隊の戦闘機、あれは旧型と言う人もいるけれど、性能は、基本設計の優秀さとレーダーをはじめとした電子機器、搭載装備の近代化が進められ、現在でも能力的に最も均衡のとれた、信頼性のおけるトップクラスの実力を持つ戦闘機といえるそうですけど、航空母艦相手に、互角に意思表示が出来るという事は、素晴らしい、もう日本は新型などの導入は必要無いですね」、アラカルトの料理を摘まみながら晃が、「そりゃ、やはり、進駐軍・GHQが押し付けた平和憲法を何とか遵守して来れた国なのだから、世界でも戦後一度も紛争に至らなかった国は我が国だけじゃないかな。ある意味では、何故参加しないのだという国々の非難の声を撥ね除けて来れたが、其れは憲法を大事にしたからだという事に尽きる。敗戦の教訓を生かしながら『「広島の惨劇は繰り返すな」という意味の "No more Hiroshimas." 』を世界中に訴えた。本来、政権がもっと外交手腕に優れているのであればという事に繋がる訳なのだが。例えば、国交の無い国などには・・・のルートを通し交渉をすれば、例の・・被害などの難問も解決に至るという事を知らない(勿論Give and takeは必要~敬意を表し・・・でも交渉次第。他国を色眼鏡で見ていれば何事も進展する訳が無い。いらずパートナー及び関係国が妨害。)。また、これ以上は軍備の拡張をすべきでは無いですね。戦国新聞の記事を見ても専守防衛が失われつつあり、敵地攻撃など全く幻想と。其れでなくとも発癌物質垂れ流しUSA基地の問題が今回の化学兵器に関連していたとは・・自国内で被害が出るのを怖れ、此の国の基地は治外法権ですから何をしても一切分からない、その為に全く逆の仮想敵国という読み違いというもので、近々ICBMを使用した核攻撃の的になってしまう虞(おそれ)があることは明白ですね。
無意味な・・兆もの防衛予算を国民の血税補填に充てれば、まあ、中立国が理想ですが、其処までは望まなくても何処の国とも友好条約を締結し平和で国民主権の国造りが出来れば最高ですね」
突然、聞きなれた声が。「おや?調理係のお二人さん・・うん、総務迄・・、こんな値段の高いホテルで宜しくやっていていいんですか?景気が悪くなって、非常勤公務員も減らす(またこの約一~ニ年前の予言通りになりそうだが。)と言う声が国民から聞こえているのに・・」
捜査一課の黄門達も現れた。
義元がフォークの料理に口を添えながら、「黄門さん、今回は済みませんでしたね。ご活躍を奪ってしまったようで、誠に心苦しいばかりですが・・」と、美樹が、「此の料理美味しいわよ。黄門さん達もどう?心配しなくても、今夜は全て晃さんの お・ご・り!、スクープで金一封を貰ったからって、民間会社もいいところあるわね。国民の税金で国は成り立っているのだから、もう、その上に胡坐をかいている簡単な資格試験合格の上級国家公務員なんて自慢できる時代は終わったって こ・と・か・な!もう一回乾杯しましょうよ、黄門さん達もどうぞ一緒に」。
黄門達も満更では無いという顔付で、「それじゃあ、私達もお相伴(しょうばん)といきますか。おい、この際、格好つけてる場合じゃ無いって!また先を越されて食べられてしまうよ。有難く戴かないと、ねえ、警視殿?」。
辺りは薄紫色に暗くなり、臙脂の絨毯の上の人々が浮かれた様にホテルの照明に映える時、街の灯りは負けじとばかりに、色とりどりの宝石の様に美しさを増していった。
「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」
「All persons fictitious disclaimer」
「Fictitios omnes Terms」
「이 이야기는 소설이며 실제 인물 · 단체와는 전혀 관련이 없습니다.」
「by europe123」」
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英語が堪能な警視が部下と共に大活躍をする。